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・エレミヤ書29章15節~20節

メッセージ

エレミヤ書29章15節~20節

15節:あなたがたは、『主はバビロンで、私たちのために預言者を起こされた』と言っていた。

・「あなたがた・・言っていた」は、「かつてからあなたがたは・・言っていた」。
・「バビロンで、私たちに預言者を起こされた。」→嘘を語る偽預言者を信じた。
・偽預言者たちは、「王族や神殿の残存はバビロン捕囚が短期間で終わることを意味する」という偽りの預言をし、人々に希望を与えた。

確かに、バビロンには正しい預言者(ダニエル、エゼキエル)はいたが、人々は、バビロンの偽預言者は神が立てたと主張した。

神は偽預言者を遣わしていない!→ユダに残る民の罪が示される

16節:まことに、主はこう言われる。ダビデの王座に着いている王と、この都に住んでいるすべての人々と、捕囚としてあなたがたとともに出て行かなかったあなたがたの同胞について、

・ユダに残っているゼデキヤ王や捕囚を免れて残った民への宣告。

17節:万軍の主はこう言われる。『見よ。わたしは彼らの中に剣と飢饉と疫病を送り、彼らを悪くて食べられない腐ったいちじくのようにする。

・エレミヤ24:1~10で示された「腐ったイチジク」のようにする、という宣言。
※BC597年以降に成就、方法は、剣、飢饉、疫病による。捕囚、神殿破壊。

18節:わたしは剣と飢饉と疫病で彼らを追い、彼らを地のすべての王国にとっておののきのもととし、わたしが彼らを追い散らした先のすべての国々で、のろいと恐怖のもと、嘲りとそしりの的とする。

・この裁きが世界中のすべての人々にとって恐怖、また嘲りとそしりの的となる。
・バビロン捕囚の悲劇のみならず、AD70年の神殿崩壊と世界離散を指す。
・この世界離散は、さらなる世の恐怖とそしりの的となった。

19節:彼らがわたしのことばを聞かなかったからだ──主のことば──。わたしは彼らに、わたしのしもべである預言者たちを早くからたびたび遣わしたのに、あなたがたは聞かなかったのだ──主のことば。』

・裁きが長期にわたる理由が示される。
※神が遣わした真の預言者の声を聴かずに拒否したのがその理由。

真の預言者とは、① 律法に忠実かどうか。②預言が言葉の通りに成就するかどうか。 

20節:私がエルサレムからバビロンへ送ったすべての捕囚の民よ、主のことばを聞け。

・捕囚地の民は、ユダに残された民よりも良い生活を送っている。
※だからと言って、ユダの地の民と同じ過ちを犯してはならない!と警告している。
※その失敗は、偽預言者に聞き従ったことである。

「主のことばを聞け」この指示が、厳命であることを知る必要がある。なぜなら、近い未来は決して明るくはないから。

 

♦捕囚の民とエレミヤ24:5~6の考察

<捕囚先での生活様式の模索> 
■エレミヤ24:5~7の良いイチジクとは→「捕囚先で幸せにしようと目をかける」の意。
■捕囚された民は、捕囚先で幸いに生活できる保証が与えられた。

・生活様式は29:4~7で示されている。→4つの行動規範。
※行動規範は示されたが、神の民としての生活様式を模索する民。
※彼らの捕囚地での生活には制限があった。
①神殿をなくした民には、犠牲制度の実施が不可能だった。
②祭司、レビの奉仕が機能しない→神殿が存在しないので。
③神の民としての存在を維持する必要性があった。
信仰をどう守るか?それが問題だった!
神のことば、律法を読み、教え、学ぶことが信仰の中心になっていった。

♦捕囚民の礼拝

<捕囚先での礼拝と特徴> 
■捕囚先での礼拝形態
・会堂(シナゴーグ)で、律法の朗読、教えがあり、「ことば」中心の礼拝となった。 会堂はバビロン捕囚中に出来た。
■捕囚先での礼拝の特徴
①教師の台頭・・律法解釈の教え。解釈者が権威的となる。
②細則の議論、設定・・安息日や食物規定など。律法を守ることの防御柵づくり。
③口伝による継承・・律法順守の為の補助規定の誕生。
F博士談:神殿を失った民の善意の工夫として、動機は良かったが・・、ここから人間的、宗教的な保護主義が始まるきっかけになったともいえる
その後、神殿再建の時を迎え、エズラ、ネヘミヤは「モーセの律法」への原点回帰、聖書中心主義を推進する。それまでなかった犠牲を捧げる礼拝が回復した。

 

♦第二神殿建設後の礼拝の考察

<神殿再建後の変化> 
■神殿再建後の礼拝→バビロンから来たユダヤ人の影響は大きかった
①エルサレムの律法学者は、バビロン出身が多い。→学び、教えが中心。
②律法研究・・細則の設定へ。「ラビ」の存在感が増して行く。
③律法解釈を重んじる。・・解釈の系譜を重んじる。
④信仰は神の教えの分析が中心となって行く。→行いが重視、優先となる。
※バビロン捕囚時に培われた「善意の工夫」が口伝解釈偏重主義へと変化。
※「律法の囲い(防御柵作り)」の思想が制度化されて口伝律法へ。
※エズラによる原点回帰はまだ良かったが、BC3~1世紀にはパリサイ派が台頭し、「神のことば」よりも「人の伝統」(口伝律法)が優先される状態。
イエスの時代には、口伝律法が最高権威となり、メシア拒否という結果になる。

 

♦捕囚が及ぼした影響の考察

<まとめ> 

■神への信仰を守るはずの口伝律法が、形式主義的、ラビ的ユダヤ教へ。
・エズラ時代に、原点回帰を目指して犠牲制度が回復はしたが、根本的な霊的側面は神から離れはじめ、イエスが来臨した頃は口伝律法最盛期となる。
■人間の心の弱さ
・「人は信仰を守るためと言いながら、神のことばに注目せず、いつの間にか”規定の守り方“を重視するようになる」・・心に刻まれる律法の必要性。
・信仰は、“制度、慣習、解釈”に規定されるものではなく、その根底にある神を信じることである。
エレミヤ書では、心に刻まれるべき、“新しい契約”が次章から示されてゆく。改めてバビロン捕囚の意味を感じ取っておく必要を感じる。

『聖書的温故知新』
・『温故知新』の意味は、過去のことを研究し、そこから新しい知識や気づきを得ること。私たちは過去の出来事が記載されている聖書を学んでいる。まさに温故知新の精神である。
・しかし、聖書は単なる過去の事象だけではなく、神のみこころが預言としてはっきりと明記されている。これは明らかに、私たちが未来に向けて得なければならない教訓と希望の提示である。
・過去を見て、さらに未来を見て私たちがあるべき本来の姿を見出し、希望をもって歩め!と神は教えてくださっている。これほどに人間を正しく導く書物が、ほかにあるだろうか?
・神はこの時代に、この1冊を残されて、私たちに理解を求めている。問題はこれを正しく理解して、神のみこころを学び、聖書に従って歩むこと。これからも共に歩んで行きましょう!
「聖書はすべて神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練のために有益です。神の人が全ての良い働きにふさわしく、十分に整えられた者となるためです。」テモテ 第2 3:16~17

エレミヤ書29章1節~14節

時代背景

<バビロン反逆の要因> 
歴史的視点から見る外的要因①

・バビロニア年代記・・BC595~4年にバビロンの内部トラブルが発生、捕囚のユダヤ人の一部が関与した。ネブカドネツァル王がユダヤ人2名を処刑している(エレ29:21~22)
※トラブルの原因は、エルサレムとバビロンの偽預言者たちが語るバビロン崩壊の預言。
・歴史展開
BC605年:カルケミシュの戦いでバビロンが勝利し、国際秩序を掌握。
BC597年:エホヤキン王と共に第2次捕囚(職人・兵士など上層部がバビロンへ)。
BC597年:ゼデキヤ(エホヤキンの叔父)がバビロンの傀儡王として即位。
BC594年頃:周辺諸国(エドム、モアブ、アンモン、ツロ、シドン)がエルサレムに使者を送り、反バビロン同盟を画策(エレミヤ27、28章の舞台)。
この時期、バビロンは東征に向かい、更に帝国内では政変やその周辺属国に不満あり。その動きを「神が味方する兆候」と誤解した可能性あり。


歴史的視点から見る外的要因②

BC594/593年頃:ネブカドネツァル王はバビロンでの反乱(エラムなど諸地域の不安定)に対処しており、ユダや周辺諸国は「今が好機」と考えた。エレミヤ27〜29章の背景。

BC593年:ネブカドネツァルは諸属国をバビロンに召集し、忠誠を再確認。ゼデキヤもバビロンに出向いたと考えられる。(エレ51:59・・ゼデキヤ王の第4年)→ 反乱は未遂に終わる。
BC589年頃:ゼデキヤはエジプトに支援を期待し、反乱を決行。(列Ⅱ24:20、エゼ17:15~16)
BC588〜586年:ネブカドネツァルがエルサレムを包囲。BC586年の神殿破壊、捕囚へ。(エゼ17:17~)


当時の情勢からみる内的要因
・バビロンの東征の展開に遅れが発生し、西が手薄となり、バビロン内部のトラブルもあり、偽預言者や上層部たちは、バビロン崩壊すなわちイスラエルの回復が近いと誤解した。※神は、ネブカドネツァル王がしもべであり、地上の権限を委ねたと宣言していた。
・「主の宮がある限り安全だ」という思い込み(エレ7:4)※民は「神殿がある限り、神が国を守ってくださる」から、エルサレムの陥落を信じない。→ この思考が「バビロンを打ち破って自由を得られる」という幻想に発展。
・偽預言者の宣言(エレ28:3-4)※「2年のうちに主はバビロンのくびきを砕き、捕囚民や器をエルサレムに戻す」→ 2年以内の「勝利宣言」は、民に自由を勝ち取る確信を与えた。
大事なことは、神に従うか、人間の希望的観測に従うか。もちろん、神です!

1節:預言者エレミヤは、ネブカドネツァルがエルサレムからバビロンへ引いて行った捕囚の民、すなわち、長老で生き残っている者たち、祭司たち、預言者たち、および民全体に、エルサレムから次のような手紙を送った。

・第2回捕囚(大規模)の後・・2節のエコンヤの記述で確定。
・手紙の送付・・宛先は上層部でない捕囚された人々。※長老たち、祭司たち、預言者たち、そして民全体。預言者の中には、第1次捕囚ではダニエル第2次捕囚ではエゼキエルがいた。そして多くの偽預言者たちも。

2節:この手紙は、エコンヤ王、王母、宦官たち、ユダとエルサレムの首長たち、職人、鍛冶がエルサレムを去った後、
3節:ユダの王ゼデキヤが、バビロンの王ネブカドネツァルのもと、バビロンへ遣わした、シャファンの子エルアサとヒルキヤの子ゲマルヤの手に託したもので、そのことばは次のとおりである。

・BC597年のバビロン捕囚の後ということは明白。
・ゼデキヤ王に派遣された2名の人物。
①シャファンの子エルアサ・・エレミヤを信頼する者(26章参照)。

②ヒルキヤの子ゲマルヤ・・ヒルキヤはヨシヤ王時代の大祭司。Ⅱ列22:4など。
※派遣理由・・27章にあった周辺国の大使の集結がネブカドネツァルの耳に入り、それを陰謀と疑われ、その火消しのために二人が派遣された。(詳細は不明)  
・この派遣を利用して、エレミヤは手紙を捕囚地の民に届けることができた。

  
4節:「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。『エルサレムからバビロンへわたしが引いて行かせたすべての捕囚の民に。

・捕囚されて行った(神が行かせた)民への神のことば。→神の民への愛が感じられる。
※決して見捨ててはいない!                 

5節:家を建てて住み、果樹園を造って、その実を食べよ。
6節:妻を迎えて、息子、娘を生み、あなたがたの息子には妻を迎え、娘を嫁がせて、息子、娘を産ませ、そこで増えよ。減ってはならない。
7節:わたしがあなたがたを引いて行かせた、その町の平安を求め、その町のために主に祈れ。その町の平安によって、あなたがたは平安を得ることになるのだから。』

・バビロンに定住するために取るべき4つの行動。
①家を建てる。
②果樹園を運営する→仕事をする、生計をきちんと立てることを意味する。
③結婚、子孫繁栄→イスラエル民族の増加。
④捕囚された町の平安を祈る。福祉的行動→公正な思い、平和の構築。
※こうした生活様式は、AD70年以降の離散の民の基盤となり、現在に至る

<フルクテンバーム博士>

こうした生活基盤に立つユダヤ人に対しての反ユダヤ主義について:
反ユダヤ主義は、ホスト国が混乱期(財政難など)になると激化する→(例)ナチスドイツ
ホスト国が安定していれば反ユダヤ主義は沈静→(例)アメリカ
※アメリカも混乱すれば反ユダヤ主義となるだろう。→ それが離散の民の状態。

8節:まことに、イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。『あなたがたのうちにいる預言者たちや、占い師たちにごまかされるな。また、あなたがたが見ている夢に聞き従ってはならない。
9節:なぜなら、彼らはわたしの名を使って、偽りをあなたがたに預言しているからだ。わたしは彼らを遣わしていない──主のことば。』

・捕囚先にも存在する偽預言者や占い師など。
・それらのことばに聞き従って変な夢を描いてはいけない、という警告。
※それらは神からのものではなく、自分たちの産物である。
・神はそのような預言者は遣わしていない。

    
10節:まことに、主はこう言われる。『バビロンに七十年が満ちるころ、わたしはあなたがたを顧み、あなたがたにいつくしみの約束を果たして、あなたがたをこの場所に帰らせる。

・改めて神の預言を示す。→バビロン捕囚の期間は70年間!(これは2度目の告知)
・70年の後に、神は民に慈しみの約束を果たす。→故郷に帰還させる。
※これは近未来預言。エルサレム帰還と神殿再建の命令が発布される。

11節:わたし自身、あなたがたのために立てている計画をよく知っている──主のことば──。それはわざわいではなく平安を与える計画であり、あなたがたに将来と希望を与えるためのものだ。

・ここから14節まで、最終的な回復の預言(遠未来預言)になる。
※「将来」(ヘ)acharit⇒後半、終わり、未来の予言・・遠未来預言。ユダヤ人の最終的回復に関する未来預言は、エレ30章~33章で語られる。
acharitの意味を誤解したのがダニエル→近未来と遠未来の区別の難しさ
①メシア的王国は捕囚の後に確立される。ダニエル 9:1~2
②王国設立の条件はイスラエル全体の罪の告白。ダニエル 9:3~19
③天使ガブリエルにより70週の預言が示される。ダニエル 9:20~27

12節:あなたがたがわたしに呼びかけ、来て、わたしに祈るなら、わたしはあなたがたに耳を傾ける。
13節:あなたがたがわたしを捜し求めるとき、心を尽くしてわたしを求めるなら、わたしを見つける。

・遠未来のイスラエル国家再生について示される。
・イスラエルが、心から神に呼びかけ祈るという時が来る。神は、彼らに耳を傾ける。
※それまでは民の声は神に届かない状態。→神と正対していなかったから。
※イスラエルの呼びかけは、心からの「求め」、悔い改めによる回帰。
※この心からの回帰の時、最終的な回復・再生が神によって成就する。
※ダニエルもそのために一心に悔い改めの祈りをした。時期は誤解したが・・・。
・DKNJの時、イスラエルは神を求め、心から悔い改める。
神は聖霊を与えられて、イスラエルの民は救いへと導かれ、DKNJは終焉へと向かう。

14節:わたしはあなたがたに見出される──主のことば──。わたしは、あなたがたを元どおりにする。あなたがたを追い散らした先のあらゆる国々とあらゆる場所から、あなたがたを集める──主のことば──。わたしはあなたがたを、引いて行った先から元の場所へ帰らせる。』

・「わたしはあなたがたに見出される」・・その時、民は正しく神に向き合う。
※イエス様を受け入れる時が来る。
・神は回復を実現する。世界規模の離散からの集結。→裁きの赦しを意味する。
※「土地の契約」の成就を意味する・・申命記30:1~5

<土地の契約>●アブラハム契約の土地に関する条項の発展形。申29:1~30:20。
・シナイ契約とは別物で、無条件契約である。
・「約束された土地で祝福を受けて住むためには、~」という内容。従順が条件となる。
・モーセ五書にありながら、捕囚となることが既に明示されているのは興味深い。(申30:1~4)
・神に従順になれば、約束の地に戻され、祝福を受けてその地に住むことになる。

未来の希望が提示されたが、イスラエルの民は自分達の考えで行動し、神に反逆する。
終末時代も、神は偽預言者が問題であることを示されていることに注目しよう!

 

『信仰の深まり』
・モーセが神から、いわゆる「モーセの律法」を受け取ったばかりの頃に、神はイスラエルの民の離散を見ていたということは、彼らが将来この律法を守らず神に反することを知っておられたということ。
・しかし、最後にはイスラエルの民が心から悔い改めて神に立ち返る時が来ることを示されている。過去に聖書に書かれていることが、確実に成就して現在もその歴史が展開している。
・人は、大患難時代の未来が示されてもそれを無視し、イスラエルの民のごとく破滅へと突き進んでいる。主に信頼して正しい知恵を得た真の信仰者は、決してそのような末路には至らない。
・主は真実という言葉に値する完全なお方であり、信頼に値する唯一の愛の神。今日もこうして神の凄さ、すばらしさを知って信仰を深め、神の道を皆とともに歩めることに感謝!
「不信仰になって神の約束を疑うようなことはなく、かえって信仰が強められて、神に栄光を帰し、神には約束したことを実行する力がある、と確信していました。だからこそ、「彼には、それが義と認められた」のです。ローマ 4:20~22

エレミヤ書28章1節~17節

ハナンヤという偽預言者が、エレミヤの「捕囚期間70年」という預言に対抗するようなことばを、神の御名によって語ります。さてその末路は?

 

1節:その同じ年、ユダの王ゼデキヤの治世の初め、第四年の第五の月に、ギブオン出身の預言者、アズルの子ハナンヤが、主の宮で、祭司たちと民全体の前で、私に語って言った。

・ゼデキヤ王の第4年目の第5の月に起こった。
・ハナンヤ(Hananiah)
※ギブオン出身・・エルサレム北西8~9km。
※祭司の町。アナトテ(エレミヤの出身地)と同じ

・ハナンヤは、神殿で祭司と民の面前で エレミヤに向かってメッセージを語った。


2節:「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。わたしは、バビロンの王のくびきを砕く。
3節:二年のうちに、わたしは、バビロンの王ネブカドネツァルがこの場所から奪い取ってバビロンに運んだ主の宮のすべての器をこの場所に戻す。
4節:バビロンに行ったユダの王、エホヤキムの子エコンヤと、ユダのすべての捕囚の民も、わたしはこの場所に帰らせる──主のことば──。わたしがバビロンの王のくびきを砕くからだ。」

・ハナンヤの偽預言→くびきの破壊
①神は、諸国に負わせているバビロンのくびきを破壊する。
②神は2年以内に、奪われた宮の器も元の場所に戻される。
③捕囚されたエホヤキン王とすべての民も、2年以内に元の場所に帰らせる。
※注目すべきは、エレミヤの首にくびきがあること。→10節参照
※27章でエレミヤが指摘した偽預言者の一人(代表格)が、このハナンヤ。
※彼の預言は、2年以内にバビロン捕囚は終わり、すべてが回復するというもの。
エレミヤの預言と完全に異なる内容を展開する

5節:そこで預言者エレミヤは、主の宮に立っている祭司たちや民全体の前で、預言者ハナンヤに言った。
6節:預言者エレミヤは言った。「アーメン。そのとおりに主がしてくださるように。あなたが預言したことばを主が成就させ、主の宮の器と、すべての捕囚の民をバビロンからこの場所に戻してくださるように。

・祭司、民の面前で、エレミヤはハナンヤに言葉を返す。
・エレミヤの実直な性格が示される。
・ハナンヤの語る内容が実現してほしいと、皮肉ではなく、率直に思うエレミヤ。
※願わくは、ハナンヤの言うようになってほしいのだが、神のご意思は全く違うのだ!

7節:しかし、私があなたの耳と、すべての民の耳に語ろうとするこのことばを聞きなさい。
8節:昔から、私と、あなたの先に出た預言者たちは、多くの地域と大きな王国について、戦いとわざわいと疫病を預言した。

・しかし、神の御心は違うから、次の内容をよく聞いてほしい!
・過去の預言者たちは、諸国、大国に対して戦い、わざわい、疫病の預言をしてきた。
・平和になるという預言はなかったという事実。
※そういう意味で、ハナンヤの預言は異質なもの。

9節:平安を預言する預言者については、その預言者のことばが成就して初めて、本当に主が遣わされた預言者だ、と知られるのだ。」
10節:しかし預言者ハナンヤは、預言者エレミヤの首から例のかせを取り、それを砕いた。
11節:そしてハナンヤは、民全体の前でこう言った。「主はこう言われる。このとおり、わたしは二年のうちに、バビロンの王ネブカドネツァルのくびきを、すべての国々の首から砕く。」そこで、預言者エレミヤは立ち去った。

・平和を預言するなら、その預言が成就して、その預言者が本物とされる。
※申18:21~22参照
・この時点で、両者の真偽は判別不可。→2年の経過が必要。
・エレミヤがそう言うと、ハナンヤはエレミヤのくびきを破壊した。
※バビロンの束縛・・捕囚、奴隷制・・からの解放を意味している。
・神は2年以内に、すべての諸国のくびきを砕かれると、ハナンヤは宣言した。
・これを聞いて、エレミヤはその場を立ち去った。→2年のうちに、真偽が証明される。

12節:預言者ハナンヤが預言者エレミヤの首からかせを取って砕いた後、エレミヤに次のような主のことばがあった。
13節:「行って、ハナンヤに次のように言え。『主はこう言われる。あなたは木のかせを砕いたが、その代わりに、鉄のかせを作ることになる。

・場を離れたエレミヤに、神のハナンヤに対する預言が示され、それを告げる。
・ハナンヤはエレミヤの木製のくびきを破壊したが、その結果、鉄製のくびきが作られ、民はそれを負うことになる。
※ハナンヤのことばに騙されて、さらに頑なになる民。バビロンへの反抗の助長。

14節:まことに、イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。わたしは鉄のくびきをこれらすべての国の首にはめて、バビロンの王ネブカドネツァルに仕えさせる。彼らは彼に仕える。野の生き物まで、わたしは彼に与えた。』」

・27章の通り、神はネブカドネツァル王に人間界、動物界の権限を委譲した。
※鉄のくびきは、さらに厳しい支配となることを意味する。(神の裁きである)
※ハナンヤの預言とは正反対の内容。

15節:そこで預言者エレミヤは、預言者ハナンヤに言った。「ハナンヤ、聞きなさい。主はあなたを遣わされていない。あなたはこの民を偽りに拠り頼ませた。
16節:それゆえ、主はこう言われる。見よ、わたしはあなたを地の面から追い出す。今年、あなたは死ぬ。主への反逆をそそのかしたからだ。」

・エレミヤは、ハナンヤに神の預言を告げる。
・神はハナンヤを遣わしてはいない。(諭すように告げるエレミヤ)
・ハナンヤは人々を惑わし、嘘に信頼を置くように導いた。
・偽預言の罪により、ハナンヤは地上から追い出される。
・ハナンヤの死は、預言が発せられたこの年のうちに起こる。→申命記18:20参照。

17節:預言者ハナンヤは、その年の第七の月に死んだ。

・ハナンヤの死→同年第7の月・・ハナンヤが預言した第5の月の2か月後。
※エレミヤの預言、エレミヤが真の預言者であること、いずれも真実性が証明された。

しかし、イスラエル全体は偽預言に翻弄されて⇒神殿崩壊へ!

 

『エレミヤ的思考力』
・エレミヤは、ハナンヤが語る預言について、素直にその通りになってほしいと言った。それは彼の本音と同じであったと分かる。しかしエレミヤは、神の声をしっかりと聴いていた。
・ハナンヤは、自分が正しいと判断し、神の御心と同じと判断して語ったが、エレミヤは冷静に、自分の思いと神の御心との違いを把握していた。(自分の願望と神の御心の区別)
・「私のすること、言うことは、神と同じ!だから私は正しい。」そんな風に思ってはならない。私たちは、義となるためではなく、神の愛を実践することを期待されていることを覚えよう。
・神との対話の時間を持つことは、神の教えを聞き取り、霊的成長が図られる大切な時間である。その時間を通して、ハナンヤではなくエレミヤ的思考力が養えるよう、熱心に取り組みましょう。
「この世と調子を合わせてはいけません。むしろ、心を新たにすることで、自分を変えていただきなさい。そうすれば、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に喜ばれ、完全であるのかを見分けるようになります。」ローマ 12:2

 

エレミヤ書27章1節~22節

1節:ユダの王、ヨシヤの子のエホヤキムの治世の初めに、主からエレミヤに次のようなことばがあった。

・「ユダの王、・・エホヤキムの治世の初めに・・」、エレミヤに神からの命令。
※新共同:「ユダの王、・・ゼデキヤの治世の初めに・・」と書かれている

※さらに注釈では第1年ではなく、第4年としている。
ゼデキヤ王とするのが一般的見解で、エホヤキムは誤記と考えられている。

※年代は、BC594年~BC593年とされる。
理由: 

①3節、12節でゼデキヤ王と記されている。
②20節でエホヤキン(エコンヤ)がすでに捕えられているとの記述。
③28章の冒頭で、「その同じ年」とあり、「その」とは27章のことである。

そして、BC594年は、ゼデキヤ王がバビロンに反逆しようとする年である。(エゼ17:15)

2節:主は私にこう言われた。「あなたは縄とかせを作り、それをあなたの首に付けよ。

・象徴的行動→縄と枷、すなわち軛(くびき)を作り、首にはめよ。
※縄も枷も複数形→3節以降の、各国の王たちへの配布のため。

3節:そうして、エルサレムのユダの王ゼデキヤのところに来る使者たちによって、エドムの王、モアブの王、アンモン人の王、ツロの王、シドンの王に伝言を送り、

・これらの国はイスラエルと国境を接していた。
・東はエドム、モアブ、アンモン。北はツロ、シドン。これらの王に軛を配布せよ。
※軛とは、政治的支配の象徴。創27:40、Ⅰ列12:3~14、イザヤ9:4など
・軛を各国の大使に預け、それぞれの王に渡させ、さらに伝言を託した。

4節:彼らがそれぞれの主君に次のことを言うように命じよ。『イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。あなたがたは主君にこう言え。

・具体的な命令である預言をそれぞれの王に伝言する。彼らは偶像礼拝者である

5節:わたしは、大いなる力と伸ばした腕をもって、地と、地の面にいる人と獣を造った。わたしは、わたしの目にかなった者に、この地を与える。

・絶対的主権者である神を示す。まさに宇宙の主権者。
・神は、ご自身が認める者に、この地を与えることができる存在。

6節:今わたしは、これらすべての地域をわたしのしもべ、バビロンの王ネブカドネツァルの手に与え、野の生き物も彼に与えて彼に仕えさせる。
7節:彼の地に時が来るまで、すべての国は、彼とその子と、その子の子に仕える。しかしその後で、多くの民や大王たちが彼を自分たちの奴隷にする。

・神はバビロンのネブカドネツァル王にこの地域と野の獣(野生世界)を与えると決定。
※この声明は、ネブカドネツァルが神のしもべということも示している。
・「時が来るまで」・・ネブカドネツァルから3代目の時まで。
※ネブカドネツァル→エビル・メロダク(子)→ベルシャツァル(孫)
・その時が来ると、他の大王の奴隷となる。→キュロス王、ダレイオス王の侵略。

8節:バビロンの王ネブカドネツァルに仕えず、またバビロンの王のくびきに首を差し出さない国や王国があれば、わたしは剣と飢饉と疫病をもってその民を罰し──主のことば──彼の手で彼らを皆殺しにする。

・エレミヤの助言(ネブカドネツァルに仕えること)に従わないときの結果が示される。
・預言に従わなければ、剣、飢饉、疫病によって裁きを受けることになる。
※具体的には、バビロンによる破壊と捕囚。

9節:だから、あなたがたは、バビロンの王に仕えることはないと言っているあなたがたの預言者、占い師、夢見る者、卜者、呪術者に聞き従ってはならない。

・神に反する預言者、占い師、夢見る者、卜者、呪術者に聞き従ってはならない。

※フルクテンバーム博士は、外国の大使からゼデキヤと民に注意が向いたと解説。

10節:彼らは、あなたがたに偽りを預言しているからだ。それで、あなたがたは自分たちの土地から遠くに移され、わたしはあなたがたを追い散らして、あなたがたは滅びることになる。
11節:しかし、バビロンの王のくびきに首を差し出して彼に仕える国を、わたしはその土地にとどまらせる──主のことば──。こうして、人々はその土地を耕し、そこに住む。』」

・偽預言に聞き従えば土地を追われ、捕囚され、滅びることになる。
・しかし、神に聞き従ってバビロンの軛を負うなら、土地に残り、住むことができる。

12節:ユダの王ゼデキヤにも、私はこのことばのとおりに言った。「あなたがたはバビロンの王のくびきに首を差し出し、彼とその民に仕えて生きよ。
13節:なぜ、あなたとあなたの民は、主がバビロンの王に仕えない国に向かって語られたように、剣と飢饉と疫病で死のうとするのか。

・大使たちへのメッセージをゼデキヤ王にも同様に伝えた。
・バビロンに従えば、生き続けられる!
・もしバビロンに仕えないなら、剣、飢饉、疫病のさばきにより、滅ぶこととなる。

14節:『バビロンの王に仕えることはない』とあなたがたに語る預言者たちのことばに聞き従ってはならない。彼らがあなたがたに偽りを預言しているからだ。」
15節:「わたしは彼らを遣わさなかったのに──主のことば──彼らはわたしの名によって偽りを預言している。わたしがあなたがたを追い散らし、あなたがたも、あなたがたに預言している預言者たちも、滅びることになるのだ。」

・偽預言者の嘘に聞き従ってはいけない。
・神の名によって語る偽預言に従えば、預言した者とそれに従った者すべてが滅ぶ

16節:私はまた、祭司たちとこの民全体に向かって語った。「主はこう言われる。あなたがたは、『見よ、主の宮の器は、バビロンから今すぐにも戻される』とあなたがたに預言している、あなたがたの預言者のことばに聞き従ってはならない。彼らはあなたがたに偽りを預言しているのだ。

・祭司とユダの民への預言。偽預言に引っかかるな!
・偽預言者のことば→BC605年、BC597年で奪われた神の宮の器はすぐに戻ってくるという偽預言。

17節:彼らに聞き従ってはならない。バビロンの王に仕えて生きよ。どうして、この都が廃墟になってよいであろうか。

・かねてから言っているように、バビロンに仕えよ!そうすればエルサレムは守られる。
※神殿破壊される前の状態。

18節:もし彼らが預言者であるなら、もし彼らに主のことばがあるなら、彼らは、主の宮、ユダの王の宮殿、またエルサレムに残されている器がバビロンに持って行かれないよう、万軍の主にとりなしをするはずだ。

・正しい預言者なら、今残されている器が奪われないよう執り成しの祈りをするはず。
※神の御心に従うなら、これ以上悪化しないことを神に懇願するはずと、神は言う。

19節:まことに万軍の主は、神殿の柱、『海』、車輪付きの台、また、この都に残されているほかの器について、こう言われる。
20節:──これらの物は、バビロンの王ネブカドネツァルがユダの王、エホヤキムの子エコンヤ、およびユダとエルサレムのすべてのおもだった人々をエルサレムからバビロンへ引いて行ったときに、奪い取らなかったものである──

・都に残されている器について、神が語られる。
※①柱、②「海」、③車輪付き台、→Ⅰ列7:15~22、23~26、27~37
・第1次と第2次の捕囚時に奪い取られなかった器。
※Ⅱ列24:13~15(第二次捕囚の状況)

21節:まことに、イスラエルの神、万軍の主は、主の宮とユダの王の宮殿とエルサレムに残された器について、こう言われる。
22節:『それらはバビロンに運ばれて、わたしがそれを顧みる日まで、そこにある──主のことば──。そしてわたしはそれらを携え上り、この場所に戻す。』」
・今残っている器類もすべてバビロンに持ち去られる。(第3次捕囚、神殿崩壊)
※それは、神が彼らを見放すということ→捕囚と神殿破壊。神の臨在の消失。
・しかし、神が再び彼らを導くとき、それらの器はエルサレムに戻すと約束された。
神の言葉は聞き入れられず、偽預言者に導かれて、亡びの道へと突き進むゼデキヤと民。
捕囚の最終段階に近づきつつある中でも、神は民に助けを示しておられる!

 

『混沌の中に活かされる微力』
・エレミヤの預言は、すでに2度の捕囚によりその真実性が広まっていたと考えられます。外国の大使にまで進言する存在であったことからも推察できます。
・他方で、真の預言者に真っ向から反論する偽預言者の存在も相当に幅を利かせていたことが分かります。人が持つプライドや聞き心地の良いアドバイスに、人は大いに耳を傾けます。
・神が未来を聖書に示しておられるのは、この最終プロセスを見逃さず、そこに向かって歴史が展開していることを把握して、世の混沌に巻き込まれることを防ぐためとも考えられます。
・大患難時代へと突き進む人類の歴史。そんな中にあって神の栄光を示すために、どんなに微力であっても、全能なる神は私たちを愛の伝道者として用いてくださることを感謝して歩みましょう!
「しかし神は、知恵ある者を恥じ入らせるために、この世の愚かな者を選び、強い者を恥じ入らせるために、この世の弱い者を選ばれました。」コリント第一 1:27

エレミヤ書26章1節~24節

ヨシヤ王が死に、息子エホヤキムが王となった年。この王は悪王で、その治世のはじめに語られた預言と事件。1:18の「エレミヤの要塞化」が証明される箇所でもあります。

1節:ユダの王、ヨシヤの子エホヤキムの治世の初めに、主から次のようなことばがあった。

・エホヤキム王の治世の初め→ヘブル語の「治世の初め」は、1年間を指す専門用語。
※時代背景はBC608年・・BC609年からBC608年にかけてという事。

2節:主はこう言われた。「主の宮の庭に立ち、主の宮に礼拝しに来るユダのすべての町の者に、わたしがあなたに語れと命じたことばを残らず語れ。一言も省くな

・指示→「神殿の中庭で説教せよ」
・対象→祭り(3大祭りのいずれか)に集うユダのすべての人々
・注意→預言のことばを一つも省かず正確に伝えよ。(手心を加えるな)
※神のことばは正確。伝える者が正確を期すべき。聖書は誤りなき神のことばだから。

3節:彼らがそれを聞いて、それぞれ悪の道から立ち返るかもしれない。そうすればわたしは、彼らの悪い行いのために彼らに下そうと考えていたわざわいを思い直す。

・説教の目的・・民の神への立ち返り、悔い改めの機会の付与。
※「もし立ち返るなら、マナセ王の時の定まった裁きを遅らせよう」。→回避は不可

4節:彼らに言え。『主はこう言われる。もし、あなたがたがわたしに聞き従わず、あなたがたの前に置いたわたしの律法に歩まず、
5節:あなたがたに早くからたびたび遣わしてきた、わたしのしもべである預言者たちのことばに聞き従わないなら──実際、あなたがたは聞き従わなかった──
6節:わたしはこの宮をシロのようにし、この都を地上のすべての国々の、ののしりの的とする。』」
7節:祭司と預言者と民全体は、エレミヤがこのことばを主の宮で語るのを聞いた。

・神に従わず、律法を守らず、更に神が遣わした預言者のことばも聞かない状態。
・神はこの神殿をシロのように滅ぼし、ののしりの的とする。この預言と同じ預言が7章12~14節にある。7章の時代背景はBC598で、これの10年後のことである。

・祭司、預言者、すべての人がエレミヤの説教を聞いた。

シロ(聖書地図4のE・5)エフライムの地の都市で、エルサレム建設前の宗教、政治の中心地。
・約束の地に入って、初めて「会見の天幕」が設けられ、その後神殿が建てられた地。
・ペリシテが侵略し、陣営に契約の箱を持って行ったが奪われ、町も神殿も壊滅。(Ⅰサム4:3~22)
・その後、人は住んだものの老朽化した。(エレ41:5)


8節:主が民全体に語れと命じたことをみな、エレミヤが語り終えたとき、祭司と預言者とすべての民は彼を捕らえて言った。「あなたは必ず死ななければならない。
9節:なぜ、この宮がシロのようになり、この都がだれも住む者のいない廃墟となると、主の名によって預言したのか。」そこで、民全体は主の宮のエレミヤのところに集まった。

・祭司、預言者たちはエレミヤを捕まえ、裁判を待たずに評決→死刑。
・シロのように滅ぶと言った。これは律法違反と断じた。※申18:20の違反。エレミヤを偽預言者とみなした。
・エレミヤの罪を告発し、その行為の真意を問いただす祭司、預言者たち。
・そこに人々も集まって来た。
※エレミヤが神殿を軽視していると判断。
※神殿は彼らの目に力強く映っていた。

10節:これらのことを聞いてユダの首長たちは、王の宮殿から主の宮に上り、主の宮の新しい門の入り口で座に着いた。

・「首長たち」・・ヘブル語で政治的指導者。ここでは法的担当者と考えられる。
・「新しい門」・・ウジヤ時代(約1世紀前)に建てられた門(エレ36:10)。
※第1神殿のため門の位置については詳細は不明。
※門は裁判所として用いられた。創23:10~16、ルツ4:1~12など
※彼らが座に着いて、裁判の準備は整った。

11節:祭司たちと預言者たちは、首長たちと民全体に次のように言った。「この者は死刑に当たる。彼がこの都に対して、あなたがたが自分の耳で聞いたとおりの預言をしたからだ。」

・祭司、預言者たち→法的担当者(首長たち)と集った民衆にエレミヤを告発。
・罪名:偽預言を語り、神殿と都を辱めた罪。死刑に相当!

12節:エレミヤは、すべての首長と民に告げた。「主が、この神殿とこの都に対して、あなたがたの聞いたすべてのことばを預言するよう、私を遣わされたのです。
13節:さあ今、あなたがたの生き方と行いを改め、あなたがたの神、主の御声に聞き従いなさい。そうすれば、主も、あなたがたに語ったわざわいを思い直されます。

・告発されたエレミヤはその法廷で、神の命令に従い預言したことを語る。
※「神が私を遣わされた」→預言者の使命を全うした。
・更に、エレミヤは、この神の試みに国民全員が応じる責任があることを語った。
・神に立ち返り、悔い改めれば、神は裁きを思い留まる用意があるのだから・・。
※エレミヤは、自分の無罪よりも、民が神に立ち返ることが優先と認識。

14節:このとおり、私自身はあなたがたの手の中にあります。私を、あなたがたの目に良いと思うよう、気に入るようにしなさい。
15節:ただ、もしあなたがたが私を殺すなら、あなたがた自身が咎なき者の血の責任を、自分たちと、この都と、その住民に及ぼすのだということを、はっきり知っておきなさい。なぜなら、本当に主が私をあなたがたのもとに送り、これらすべてのことばをあなたがたの耳に語らせたのですから。」

・私は神の預言者である。好きなように裁けば良い。
・しかし、罪のない血の報いは、国民全員が受けることになることを知れ。
※淡々と語るエレミヤに、偽預言者を思わせる態度は微塵もない。

16節:すると、首長たちと民全体は、祭司たちと預言者たちに言った。「この人は死刑に当たらない。彼は私たちの神、主の名によって、私たちに語ったのだから。」

・裁判官と人々の結論→「無罪!」 神の声を語っただけであると結論づけた。

17節:それで、この地の長老たちの何人かが立って、民全体に言った。
18節:「かつてモレシェテ人ミカも、ユダの王ヒゼキヤの時代に預言して、ユダの民全体にこう語ったことがある。万軍の主はこう言われる。シオンは畑のように耕され、エルサレムは瓦礫の山となり、神殿の山は木々におおわれた丘となる。

「この地の長老たち」・・預言者たちの巻物を記憶、研究する責任のある神学者
・その長老たちの何人かが立ち上がって人々に、かつての預言者について語り始める。
※モレシェテ人ミカ・・ミカ書の人物。イザヤと同時代の預言者。
・ミカ3:12 「シオンは耕され、エルサレムは瓦礫の山、・・」→エレミヤに似た預言。

19節:そのとき、ユダの王ヒゼキヤとユダのすべては彼を殺しただろうか。ヒゼキヤが主を恐れ、主に願ったので、主も彼らに語ったわざわいを思い直されたではないか。ところが、私たちはわが身に大きなわざわいを招こうとしている。」

・当時のヒゼキヤ王も民もミカを殺さず、神を恐れ祈り、それが神に聞かれ守られた。
※Ⅱ列19:1~7、14~19、Ⅱ歴、イザヤ、参照。
・エレミヤを殺すことは、ミカの例に反し、自分たちにひどい災難を招くと警告。

20節:主の御名によって預言している人がもう一人いた。キルヤテ・エアリム出身のシェマヤの子ウリヤで、彼はこの都とこの地に対して、エレミヤのことばすべてと同じような預言をしていた。

・預言者ウリヤ・・シェマヤの子。
・キルヤテ・エアリム出身(エルサレムの西およそ12km)。
・エレミヤと同様の預言を語る人物。良き預言者はエレミヤだけではないことに注目。

21節:エホヤキム王、すべての勇士、首長たちは、彼のことばを聞いた。王は彼を殺そうとしたが、ウリヤはこれを聞いて恐れ、エジプトへ逃げて行った。

・エホヤキム王は彼の説教を聞き、彼の処刑を決定。
・ウリヤは処刑を避けてエジプトに逃避。
※エレミヤは神に自然死を約束されたが、ウリヤはそのような約束は受けていない。

22節:そこで、エホヤキム王は人々をエジプトに遣わした。すなわち、アクボルの子エルナタンに人々を随行させて、エジプトに送った。

・エホヤキム王の初期(BC609~BC605)はエジプトと繋がりがあった。
※エジプトの協力を得られた可能性大。
・エホヤキム王はアクボルの子エルナタンをエジプトに派遣。
※アクボル→ヨシヤ王の重臣。Ⅱ列22:12~14(女預言者フルダへの派遣メンバー)   
※エルナタン→エホヤキムの重臣。エレミヤの最初の巻物を焼こうとするエホヤキム王を止めた一人。(エレ36:25)

23節:彼らはウリヤをエジプトから導き出し、エホヤキム王のところに連れて来たので、王は彼を剣で打ち殺し、その屍を共同墓地に捨てさせた。

・ウリヤは捕らえられ、王に剣で処刑された。死体は共同墓地へ。
※共同墓地とは、ケデロン渓谷の墓であろう。偶像礼拝の場所。

24節:しかし、シャファンの子アヒカムはエレミヤをかばい、エレミヤが民の手に渡されて殺されることのないようにした。

・シャファンの子アヒカムに守られ、エレミヤは殺されなかった。
※シャファン→ヨシヤの重臣。Ⅱ列22:12~14(女預言者フルダへの派遣メンバー)
※他のシャファンの息子たちと孫
ゲマルヤ(エレ36:10、25)・エレミヤの最初の巻物を焼こうとするエホヤキム王を止めた一人。
エルアサ(エレ29:3)・エレミヤに捕囚地の民へのことばを託される。
ゲダルヤ(アヒカムの息子、)・エルサレム陥落後、エレミヤを世話する人物。

・ユダ陥落後のユダの総督となる人物。   

シャファンは霊的に優れた人物で、彼に続く子孫に霊的に優れた人物も存在した。

 

『愛されている自覚』
・エレミヤは死刑の告発を受けても怯えることなく毅然として、預言者の働きを示し、加えて神の御心をすべての人々に語った。その強さはどこから来るのだろうか。
・神を愛せよとの命令が新約聖書にあるが、これは神は徹底的に愛しているという前提のもとに、愛する行為が求められているということ。この理解がないと、神との関係はとても脆弱になる。
・例えば、上司の息子はどんなに叱られても、決して見捨てられることはしない。しかし、身内ではない者が、いくら信頼しても失敗すれば見捨てられることになるのは仕方がないのが一般常識。
・今私たちは、天の父なる神と親子関係にある。どんなに失敗しても神は私たちを見捨てない。どんな時も、神に愛されていることを忘れないことがエレミヤのような強さの秘訣ではないだろうか。
「だれでも、イエスが神の御子であると告白するなら、神はその人のうちにとどまり、その人も神のうちにとどまっています。私たちは自分たちに対する神の愛を知り、また信じています。神は愛です。愛のうちにとどまる人は神のうちにとどまり、神もその人のうちにとどまっておられます。」ヨハネ第一 4:15~16

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