アモス2章6節~3章15節

2章

6節:はこう言われる。「イスラエルの三つの背き、四つの背きのゆえに、わたしは彼らを顧みない。彼らが金と引き換えに正しい者を売り、履き物一足のために貧しい者を売ったからだ。

7節:彼らは、弱い者の頭を地のちりに踏みつけ、貧しい者の道を曲げている。子とその父が同じ女のもとに通って、わたしの聖なる名を汚している。

8節:彼らは、すべての祭壇のそばで、質に取った衣服の上に横たわり、罰金で取り立てたぶどう酒を自分たちの神の宮で飲んでいる

賄賂と引き換えに、正しい者を有罪にし、取るに足りない金銭目当てに、貧しい者を公正に扱わない裁判官。申命記16:19
こうした上層部の人間は、弱者を押さえつけ彼らの訴えを聞かない。
彼らは、父と子で、同じ女、すなわち神殿娼婦と淫行する。レビ記18:3、21
彼らは、すべての祭壇のそばで、質草にとった衣服の上に横たわり、申命記24:12~13
罰金という不正で葡萄酒を得、自分たちの神殿でバアル礼拝的酒宴をする。偶像礼拝

弱者の虐待、淫行、偶像礼拝をし、神の民にあるまじき行為を重ねていた。北イスラエルは繁栄していたが、相当な格差社会構造であった。宗教心は熱心であったが、それは本物の神に対してではなかった。

 

9節:彼らの前からアモリ人を滅ぼし尽くしたのは、このわたしだ。彼らは杉の木のように背が高く、樫の木のように強かった。わたしは、その上の実も下の根も滅ぼし尽くした。

10節:あなたがたをエジプトの地から連れ上り、四十年の間、荒野の中であなたがたを導き、アモリ人の地を所有させたのは、このわたしだ。

11節:わたしが、あなたがたの息子たちから預言者を、あなたがたの若者からナジル人を起こしたのだ。そうではなかったか。イスラエルの子らよ。ーのことば―

そもそも、
アモリ人(カナンの先住民、高身長で屈強な人種)を壊滅したのはわたし神である。
何のために?・・選民イスラエルのためにである。
エジプトから解放し、40年間荒野の中であなたがたを導き、改めてカナンの地を私有させたのは誰か?そして、必要な時に預言者を与え、またナジル人を与えてきたのは。

それは、何故か?それは約束であり、神が民を愛しておられるからである。
⁂ナジル人とは、神が民と共にいる「しるし」を示す人。聖別された者

《特長
酒を断つ。(葡萄酒、強い酒)
聖別期間中、髪を切らない。
死体に近づいてはならない。


12節:しかし、あなたがたはナジル人に酒を飲ませ、預言者には『預言するな』と命じた。

神のしるし、神の声をことごとく無視する、神を忘れた民よ!!

13節:見よ。このわたしが、あなたがたを押しつぶす。束を満載した荷車が押しつぶすように。

14節:足の速い者も逃げ場を失い、強い者も力をふるえず、勇士も自分を救えない。

15節:射手も立ちおおせず、足の速い者も逃げられず、騎手も自分を救えない。

16節:勇士のうちの、心の強い者も、その日には裸で逃げるようになる。―のことば。」

圧倒的な強さが、北イスラエルを覆いつくし、逃げることもできず、反抗もできず、ただ、押しつぶされてゆく光景。神の怒りがどれほどのものかを考えさせられる。

 

3章

1節:「イスラエルの子らよ。聞け。主があなたがたについて告げた、このことばを。わたしがエジプトの地から連れ上った、あなたがたすべての部族についてのことばを。

出エジプト以降、主があなたがたに告げていたことばを聞け!思い出せ!それは申命記に記された契約事項。

2節:わたしは、地のすべての種族の中から、あなたがただけを選び出した。それゆえ、あなたがたのすべての咎のゆえにわたしはあなたがたを罰する。」
「あなたがただけを」・・イスラエル民族限定を強調している。
「選び出した」は原語で見ると「知った」であり、これは契約関係を指す。
選民としての特権は、同時に選民としての応答が発生する。
クリスチャンも同様、救われた者は、神の期待に応える生き方が求められる。神のあわれみに与ったことに対する感謝と応答が必要!

 

3節:約束もしていないのに、二人の者が一緒に歩くだろうか。

「約束をしていないのに」・・原語で見ると、2節の「知る」と重なる。
従って、更に訳せば、「契約関係にない二人(神とイスラエルの民)が、ともに歩むということがあるだろうか?」という訳。契約関係にあるということが重要。
更に、「一緒に歩く」・・ということばは、アブラハムとイサク、新約で言えば、天の父なる神とイエス様の関係に似る。共に、ビジョンが一致していることがポイント。
私達も神のビジョンを共有し、信頼してクリスチャン人生を歩む必要がある。


4節:獲物もないのに、獅子が森の中で吼えるだろうか。何も捕らえていないのに、若獅子がその洞穴で声をあげるだろうか。

獅子が吠える・・神が怒られる。それは獲物、すなわち罪人がいるからだ

罪人が確定したのだから、神(御子)が見えないところから裁きを下される。

 

5節:罠も仕掛けられていないのに、鳥が地の鳥網にかかるだろうか。何も捕らえていないのに、鳥網が地面から跳ね上がるだろうか。

罪を犯したから、神の裁きに会う。罪を犯したから、神の怒りが発動したのだ。約束を反故にする民の非忠実的な行動を、神は指摘している。


6節:角笛が町で鳴らされたら、民は驚かないだろうか。町にわざわいが起こったら、がそれをなされたのではないか。

平穏に生活しているところに、突然、戦いの角笛が鳴り響いたら、民は驚く。
自分が罪人だと気づかない者にとって、突然の侵略は、わざわいであるが、
そのわざわいは、神のなさった裁きであることを知れ。


7節:まことに、である主は、ご自分の計画を、そのしもべである預言者たちに示さずには、何事もなさらない。

預言者アモスは、心の底から、「神のみことばを聞け!」とばかり、預言する。神は決してご自分の計画を事前に預言者に示さずに、裁きを下すことはない。


8節:獅子が吼える。だれが恐れないでいられよう。である主が語られる。だれが預言しないでいられよう。

獅子が吠える。それは神の裁き。その裁きは本当に恐ろしいことなのだ。だからこそ、神は、必ず事前に預言せずにはおられない。愛の神だから。

 

9節:「アシュドデの宮殿とエジプトの地の宮殿に告げよ。「サマリアの山々の上に集まり、その町の大いなる混乱と、そのただ中の抑圧を見よ。」

アシュドデの宮殿・・ペリシテ人、エジプトの地の宮殿・・エジプト人。彼らに、サマリヤすなわち北イスラエルの暴虐の証人となるよう命じる。つまり、その暴虐は彼らと同等、または酷いものだったと考えられる。


10節:彼らは正直に事を行うことを知らない。―のことば― 彼らは自分たちの宮殿に、暴虐と暴行を宝物のように蓄えている。」

律法に従わず、神を忘れ、神の民として忠実に行動しない北イスラエル。彼らは、宮殿、すなわち支配階級の政治は、暴虐と暴行を宝物としている。確かに豊かではあったが、内情は不正、搾取、そしてひどい格差社会だった。


11節:それゆえ、である主はこう言われる。「敵が、この地を取り囲み、あなたの権威を地に落とす。あなたの宮殿はかすめ奪われる。」

「敵が、この地を取り囲み、」・・北イスラエルを取り囲む大国・・アッシリヤ。
「権威を地に落とす」・・完全に征服される。
「かすめ奪われる」・・あっと言う間に捕囚される状況
北イスラエル王国は、大国に取り囲まれ、征服され、あっと言う間に捕囚されて行く。

Ⅱ列王17:5~8を参照)BC.722年のアッシリヤ捕囚の預言。


12節:はこう言われる。「羊飼いが獅子の口から二本の足、あるいは耳たぶだけでも取り戻すように、サマリアに住むイスラエルの子らは、寝台の隅やダマスコの長椅子とともに救い出される。

サマリヤ人の少数は生き残される。

 

13節:聞け。ヤコブの家に証言せよ。―である主、万軍の神のことば―

北イスラエル王国と共に、南ユダも含めて語られる神のことば。証言せよ!とは、まさにアモスが言われたことばであり、全イスラエルに伝える神の怒りの厳しさ。

 

14節:まことに、イスラエルの背きのゆえに わたしが彼の上に報いる日に、わたしはベテルの祭壇を罰する。その祭壇の角は折られ、地に落ちる。

15節:わたしは冬の家と夏の家を打つ。象牙の家は滅び、大邸宅も消え失せる。―のことば。」

ベテルの祭壇を罰し、子牛の像を破壊する。権威は地に落ちる。王家、高官に対する完全なる裁き。王家は冬、夏の別荘があり、象牙の大邸宅を有していた。それらはすべてかすめ奪われる。

2021年12月31日