ダニエル書5章1節~31節

5章の背景:ネブカドネツァル王は亡くなり、5章では彼の孫ベルシャツァル王が登場。5章のこの日、バビロンはペルシアに滅ぼされる。年代としてはBC539年。ネブカドネツァル王が死んで23年が経過。王位継承争いの中、ナボニドスが王位に着いたのがBC556年と言われている。

 

1節:ベルシャツァル王は、千人の貴族たちのために大宴会を催し、その千人の前でぶどう酒を飲んでいた。
2節:ベルシャツァルは、酒の勢いに任せて、父ネブカドネツァルがエルサレムの宮から持ち出した金や銀の器を持って来るように命じた。王とその貴族たち、および王の側室たちや侍女たちがその器で飲むためであった。
3節:そこで、エルサレムの神の宮の本殿から持ち出した金の器が運ばれて来たので、王とその貴族たち、および王の側室たちや侍女たちはその器で飲んだ。
4節:彼らはぶどう酒を飲み、金、銀、青銅、鉄、木、石の神々を賛美した。
5節:ちょうどそのとき、人間の手の指が現れ、王の宮殿の塗り壁の、燭台の向こう側のところに何かを書き始めた。王は、何かを書くその手の先を見ていた。
6節:すると、王の顔色は変わり、いろいろと思い巡らして動揺し、腰の関節はゆるみ、膝はがたがた震えた。

5章の背景→ネブカドネツァル王の孫ベルシャツァルが王位。時はBC539年。
バビロン滅亡となる夜、ベルシャツァル王は千人の貴族のための宴会を開催。
ベルシャツァル王は、酒の勢いもあり、ネブカドネツァル王が持ち帰ったエルサレムの宮の金銀の器で飲んだ。彼らは様々な偶像を賛美した。(いと高き神は含まれていない)
その時、人の手の指が現れ、宮殿の燭台の向こう側の壁に何かを書き記した。
それを見ていた王の顔色が変わり、腰が抜け、脚が震えた。
ベルシャツァル王:名の意味は『ベル神よ、王を守りたまえ。』の意味。父ナボニドスとの共同統治であった。遺跡に証拠あり。世界史では、父が表出。ちなみにベルテシャツァル(ダニエル)の意味は、『彼の命を守りたまえ。
宴会:各種、各地の偶像を一堂に集めて、ペルシアに対する士気向上を図っていた。当時の偶像礼拝は酒がつきもの。宮の器を単なる道具とした。

7節:王は大声で叫び、呪文師、カルデア人、占星術師たちを連れて来させた。王はバビロンの知者たちに言った。「だれでも、この文字を読んでその意味を私に示す者には、紫の衣を着せて首に金の鎖をかけ、この国の第三の権力を持たせる。」
8節:そのとき王の知者たちがみな入って来たが、彼らは、その文字を読むことも、王にその意味を告げることもできなかった。
9節:それで、ベルシャツァル王はひどくおびえて、顔色が変わり、貴族たちも途方に暮れた。
10節:王母は、王とその貴族たちとのやり取りを聞いて、宴会の広間に入って来た。王母は言った。「王よ、永遠に生きられますように。いろいろと思い巡らし動揺してはいけません。顔色を変えてはなりません。
11節:あなたの王国には、聖なる神の霊の宿る人がいます。あなたの父上の時代、彼のうちに、才気と聡明さと、神々の知恵のような知恵があることが分かりました。あなたの父上であるネブカドネツァル王は、彼を呪法師、呪文師、カルデア人、占星術師たちの長として立てられました。
12節:王がベルテシャツァルと名づけたダニエルのうちに、夢を解き明かし、謎を解き、難問を解くすぐれた霊と知識と聡明さがあることが分かっていますので、今、ダニエルを召して、その解き明かしをさせましょう。」

大声で知者たちを呼び、その文字の解読を指示。できた者には紫の着物と第三の権力という褒美。
しかし誰も答えず、王は弱り果てる。(かつてのダニエルの存在は忘れられていた。)
王の母(ネブカドネツァル王の娘)がやってきて、ダニエル(ベルテシャツァル)の存在を教える。
ダニエルは、かつてネブカドネツァル王の夢を解き、王は彼の働きに報いて、知者たちの長にした。
彼は『神の霊が宿る人』であり、彼に解読をさせるよう勧める。
王の立ち居振舞:彼の動揺は相当の激しく、王の威厳など感じられないほどと考えられる。かつてのネブカドネツァル王の教訓は、活かされていない。 
ダニエル:およそ80歳。現役からは離れた存在。

13節:そこで、ダニエルが王の前に連れて来られた。王はダニエルに対して言った。「私の父である王がユダから連れて来た、ユダからの捕虜の一人ダニエルとはおまえのことか。
14節:おまえのうちには神々の霊が宿り、また、おまえのうちに、才気と聡明さとすぐれた知恵があることが分かったと聞いている。
15節:ところで、私は、知者、呪文師たちを私の前に召し、この文字を読ませて、その意味を私に告げさせようとしたが、彼らはそのことばの意味を示すことができないでいる。
16節:しかし、おまえは解釈することができ、難問を解くことができると聞いた。今、もしおまえが、その文字を読み、その意味を私に告げることができたなら、おまえに紫の衣を着せて首に金の鎖をかけ、この国の第三の権力を持たせよう。」
17節:そのとき、ダニエルは王の前で答えた。「贈り物はご自分で取っておき、報酬はほかの人にお与えください。しかし私は、その文字を王のために読み、その意味を告げましょう。
18節:王よ。いと高き神は、まさしくあなたの父上ネブカドネツァルに、国と偉大さと栄光と威光をお与えになりました。
19節:神が父上にお与えになった偉大さによって、諸民族、諸国民、諸言語の者たちはことごとく、父上の前に震えおののきました。彼は思いのままに人を殺し、思いのままに人を生かし、思いのままに人を高め、思いのままに人を低くしました。
20節:こうして彼は、心が高ぶり、霊が頑なになり、高慢にふるまったので、その王座から引きずり降ろされ、栄光を取り上げられました。
21節:そして、人の中から追い出され、心は獣と等しくなり、野ろばとともに住み、牛のように草を食べることになり、からだは天の露にぬれて、ついにこう知るようになりました。いと高き神が人間の国を支配し、みこころにかなう者をその上にお立てになるのだと。

ダニエルの過去の実績とその聡明さを聞いた。王は、ダニエルなら解明できるだろうと思った。
解明したら、「紫の衣と第3の権力」を約束する。
報酬は無用、ほかの人にあげてください、と褒美、報酬は断るが、解読はするダニエル。
18~19節で、父祖ネブカドネツァル王の過去の業績を語るダニエル。
20~21節で、その傲慢な態度に対する神の戒めを語るダニエル。
この時、神からの戒めの言葉は、「いと高き神が人間の国を支配し、御心にかなう者をその上にお立てになる」ということ。

家訓とすべき戒め:ネブカドネツァル王は、神に示された戒めを受け入れたが、次の世代には伝わらない。ベルシャツァル王は絶対的主権を認めておらず、その結果が多数の偶像礼拝である。

22節:その子であるベルシャツァル王よ、あなたはこれらのことをすべて知っていながら、心を低くしませんでした。
23節:それどころか、天の主に向かって高ぶり、その宮の器を自分の前に持って来させ、あなたと貴族たちとあなたの側室や侍女たちは、それを使ってぶどう酒を飲みました。あなたは、見ることも、聞くことも、知ることもできない銀、金、青銅、鉄、木、石の神々を賛美しました。しかしあなたの息をその手に握り、あなたのすべての道をご自分のものとされる神を、あなたはほめたたえませんでした。
24節:そのため、神の前から手の先が送られて、この文字が書かれたのです。
25節:その書かれた文字はこうです。『メネ、メネ、テケル、ウ・パルシン。』
26節:そのことばの意味はこうです。『メネ』とは、神があなたの治世を数えて終わらせたということです。
27節:『テケル』とは、あなたが秤で量られて、目方の足りないことが分かったということです。
28節:『パルシン』とは、あなたの国が分割され、メディアとペルシアに与えられるということです。」

ベルシャツァル王はこの事実を知っていながら、傲慢になっていた。(神には向かわなかった)
ベルシャツァル王の行為は、存在しない神々を賛美し、王の人生をも管理される神を無視した。
それを見た神は、壁に宣言を示したのである。これは判決文である。決定が下ったということ。
『メネ、メネ、テケル、ウ・パルシン』⇒アラム語⇒貨幣単位(名詞)、動詞になると計量するなどの意。

「メネ」→「ミナ」・・数える

「テケル」→「シェケル」・・量る

「ウ」→接続詞・・そして

「パルシン」→「ペレス」→「半シェケル」・・分割する

『お前を数えて、数えて、量った。そして分割する(ことにした)』⇒国が分割されて、メディアとペルシアに与えられる。

 

知者たちに何も言わせなかった神:知者たちがアラム語を読めなかったということは考えにくい。神はこの時、知者全員がその文字に考えが及ばないようになされたのではないか?こうしてダニエルは再び表舞台に出てくることになった。
   
29節:そこでベルシャツァルは命じて、ダニエルに紫の衣を着せ、金の鎖を首にかけさせ、彼がこの国の第三の権力者であると布告させた。
30節:その夜、カルデア人の王ベルシャツァルは殺された。
31節:そして、メディア人ダレイオスが、およそ六十二歳でその国を受け継いだ。

ダニエルがベルシャツァル王に仕えたと言っても、直接の関りはこの時だけだった。
王はダニエルに褒美を与えた。第3の権力者となったダニエル。(父と自分の次の権威者)
王は、メド・ペルシアの動向は察していた。いずれはそうなるのかもしれないが、今すぐとは思わなかった。
バビロンの王宮は周囲をユーフラテス川が囲み、城壁も高く、難攻不落と言われていた。(大宴会のため備えの甘さがあったと考えられる)
その夜、キュロス王がバビロンの王宮に侵入し、ベルシャツァル王は殺される。BC539年である。
キュロスは62歳のメディア人ダレイオスにその国の管理を任せた。(キュロス王の叔父にあたる)

 

預言は成就する

キュロスの登場は、イザヤ書に預言されていた。
イザヤ書44章26節~45章2節←およそ150年前の預言
・エルサレム、ユダの町々の復興。
・バビロンの周囲の大河の干上がり(バビロンの滅亡)。
・エルサレムの再建と神殿の基が据えられる。
・キュロス王の登場。
この時は、まだダニエルはイザヤやエレミヤの預言を体系的に把握していなかった。(9章で把握する)
きっかけはキョロス王ではなかったか。イザヤ書に具体的な名がでているから。

 

エレミヤの預言27章6~7節の成就。
・ネブカドネツァル王によるバビロンの支配。
・ネブカドネツァル王の帝国は、子と、孫まで。
 ・エレミヤ→BC607~BC583年
 ・バビロン滅亡はBC539年に成就
神は、捕囚の前から、必ず解放されるということを預言してくださっていた。そこに神の愛がはっきり見ることができる。
その愛に応答する真の信仰者が、民を存続させる力となって働く!

 

新しい人生の歩み

捕囚に至るまで、神は何度も人々に気付きを与えられたが、決して聞く耳を持たなかった。
イエス様も言われたが、聞く耳を持つことは、心の状態が大きく影響する。自己中は、その耳を持たない。
地上にはバビロン捕囚のごとく大患難時代が起こるという、神の預言は真実であり、必ず成就する。
こうした預言の中に、神の愛を明確に見出すことができる。神に信頼する者は決して大患難時代を通らない!
神の御心に素直に従い、神の愛に委ねて歩む人生こそ、真のクリスチャンの道ではないか。

私たちの人生は、まるで新しいものに変わりました。栄光という名の人生です。

エペソ4:22~24
肉の人生にさえ、喜びや幸いがあるのなら、神による永遠の人生はどれほどに喜ばしく幸いでしょうか!
私たちは永遠の人生、それは地球や宇宙の寿命よりも永いということです。それが神の領域に生きる特権の一つです。
肉の世界に生きて、神の領域にいるということは、一枚の指定席券を持って搭乗を待っているようなもので、
ひとたびその席に着いたら、目の前には見たこともない素晴らしい世界が拡がります。感動と喜びが満ちるとき、これまで経験したことのない幸せが押し寄せてきます。神の愛を信じ、神を見上げて共に歩みましょう!


2024年05月10日