ネヘミヤ記13章1節~14節

1節:その日、民が聞いているところでモーセの書が朗読され、その中に、アンモン人とモアブ人は決して神の集会に加わってはならない、と書かれているのが見つかった。

・その日→ネヘミヤは奉献式の後、12年間エルサレムで働き、BC433年に王のもとに行き、しばらくしてエルサレムに戻ったある日。
・アンモン人、モアブ人の集会参加禁止の条項が読まれた。

2節:それは、かつて彼らが、パンと水をもってイスラエル人を迎えることをせず、かえってバラムを雇ってイスラエル人を呪わせようとしたからであった。私たちの神はその呪いを祝福に変えられた。
3節:民はこの律法を聞くとすぐに、混血の者をみなイスラエルから切り離した。

(異邦人の問題) 

・申命記23:3~5、民22章を参照。モアブ人の悪行。
・民はすぐに、混血の者を皆、イスラエルから切り離した。

4節:これより以前、祭司エルヤシブは、私たちの神の宮の部屋を任されていて、トビヤと親しい関係にあったので、
5節:トビヤのために一つの大きな部屋をあてがっていた。以前その部屋は、穀物のささげ物、乳香、器、またレビ人や歌い手や門衛たちのために定められていた、穀物と新しいぶどう酒と油の十分の一、さらに祭司のための奉納物を保管するところであった。

(アンモン人トビヤの問題) 

・この排斥が起こる以前に、祭司エルヤシブは、親しい関係にあったトビヤに部屋を与えていた。
・この部屋はかつて奉献式の時、レビ人のための奉納物の保管所であったところ。
・トビヤはアンモン人(ネヘ2:10)。城壁再建の妨害者。排斥されるべき人物である。

6節:この間ずっと、私はエルサレムにいなかった。私が、バビロンの王アルタクセルクセスの三十二年に王のところに行き、その後しばらくして王にいとまを乞い、
7節:エルサレムに帰って来たからである。そのとき私は、エルヤシブがトビヤのために行った悪、すなわち、神の宮の庭にある一つの部屋を彼にあてがったことに気づいた。

(大祭司エルヤシブの愚行)

・アルタクセルクセスの第20年(1章1節)に、ネヘミヤがスサからエルサレムに来てから、アルタクセルクセス王の32年(BC433年)まで12年が経過している。
・BC433年に王のところに行き、しばらく(恐らく2年くらい←中川先生の見解)して、いとま乞いしてエルサレムに帰ってみると…という展開である。
・大祭司エルヤシブが、アンモン人トビヤに、神の宮の部屋を与えている事実。
中川先生によればマラキはこの時期に活躍したと言われる。マラ1~2章。

8節:私は大いに気分を害し、トビヤ家の家財をすべてその部屋から外へ放り出し、
9節:命じて、その部屋をきよめさせた。そして私は、神の宮の器を、穀物のささげ物や乳香と一緒に再びそこに納めた。
10節:また私は、レビ人の分が支給されていなかったために、務めに当たるレビ人と歌い手たちが、それぞれ自分の農地に逃げ去っていたことを知った。

(ネヘミヤの対応) 

・この部屋のトビヤの家財をすべて放り出しきよめさせた。
・本来の用途として、その部屋を回復させた。・・・!
奉献式の時、民が率先してレビ人、祭司のために捧げた奉納物の部屋が空いている。
レビ人への捧げものがなされていない。レビ人は、生活のため自らの農地に逃げ去っていた。

11節:私は代表者たちを詰問し、「どうして神の宮が見捨てられているのか」と言った。そして私はレビ人たちを集め、元の職務に就かせた。
12節:ユダの人々はみな、穀物と新しいぶどう酒と油の十分の一を貯蔵庫に持って来た。

(レビ人の回復) 

・代表者への厳しい詰問。城壁完成時に誓った内容(10:39)は守られていない。
・おそらく厳しい処分があったと想像する。
・レビ人たちを集め、復帰させた。それは、ユダの民への𠮟責でもあった。
・ユダの人々は、奉納物を所定の場所に持ってきた。(神の宮の回復)

13節:そこで私は、祭司シェレムヤ、学者ツァドク、レビ人の一人ペダヤに貯蔵庫を管理させ、マタンヤの子ザクルの子ハナンを彼らの助手とした。彼らが忠実な者と認められていたからである。彼らの任務は仲間に分配をすることであった。

(ネヘミヤの対応) 

・保管庫の管理者の任命。祭司シェレムヤ、学者ツァドク、レビ人ペダヤ。
・助手はハナン(マタンヤの子孫)
・仲間に分配する任務・・・彼らは神に対して忠実な者と認められていた。

奉納されたものが正しく、歌い手やレビ人に分配されなかった⇒分配が正しくされず、次第に民は奉納品を納めなくなる。上層部の腐敗が見え隠れ!

14節:私の神よ、どうか、このことのゆえに私を覚えていてください。私が神の宮とその務めのためにした数々の誠実な行いを、ぬぐい去らないでください。

(ネヘミヤの祈り) 

・「私を覚えていてください」・・真の信仰者がここにいます!
・「神の宮とその務めのためにした数々の誠実な行いを、ぬぐい去らないでください。」
・新共同訳
「わたしの神よ、それゆえわたしを心に留め、神殿とその務めのために示した、わたしの真心を消し去らないでください。」
神の宮の綻びが上層部に見え始めた状況
ネヘミヤの祈り⇒改めて襟を正し、この信仰を守り、祝福してほしという素直で真摯な祈り

ネヘミヤ記とマラキ書との関連を通して

マラキ書の執筆年代は具体的には分かっていませんが、ネヘミヤ記の頃と重なるだろうと想定して考察。(中川先生は、ネヘミヤを励ました預言者と言われている)

マラキ書の1、2章においては、民と祭司の堕落ぶりを指摘。外国人に対する上層部の対応や、レビ人への捧げものの処理などを指摘。

奉献式を過ぎて12年が経過し、もう堕落があちこちに現れている現実。心の底から神に信頼することの難しさが顕著に露呈し始めた。

 

・人には感情が与えられている。喜びや悲しみや怒り、快楽・・。真理としての認識と、その真理を喜ぶ感情とをはっきりと区分しなければならない。(感情に働くのが偶像礼拝)

・真理という揺るがない土台を心に据えよう。感情が優先すると、到底長続きはしない。学びは必要不可欠!

・感情に左右されない信仰を建て上げましょう。『愚かな者は感情のすべてをぶちまけ、知恵のある人はそれを内に収める。』箴言29:11

 

2023年12月07日