エレミヤ書1章1節~3節 前半

名前(1章1節)
 ・ヘブル語イメルヤフ・・語幹は「投げる、高揚する、任命する」
 ・ここから「主は投げる」、「主は高める」、「主は任命する」の意味。
 ・一般的な名前でもある。(Ⅱ列23:31、24:18、Ⅰ歴5:24、12:4、12:10、13 ネヘ10:1~2)
家族(1章1節)
 ・父はヒルキヤ。「神の一部」の意味。
 ・祭司・・・ヨシヤ王時代に活躍(BC641~609)
 ・ヨシヤ王時代、大祭司ヒルキヤがいたが、彼とは別人。(大祭司の拠点はエルサレム)

拠点(1章1節)
 ・「アナトテ」は、エルサレムの北東約5km。ベニヤミン族の地に在ったレビ人の町。
 ・各地に合計48のレビ人の町があり、そのうちの一つ。所有地というより、活動の地。
 ・アロンの子イタマルから続く子孫の出身地。→アロンの子孫に与えられた土地。
 ・イタマルの子孫のエブヤタルはダビデ時代の大祭司。
 ・ソロモン即位の時、エブヤタルはアドニヤを支持し、彼はソロモンによって故郷アナトテに追放となった。(Ⅰ列2:26) この大祭司エブヤタルの子孫がヒルキヤであり、エレミヤである。
父が祭司ということは、エレミヤがレビ族で、アロンの直系の子孫(祭司)であることを示す



婚姻
 ・彼は未婚であった。(16:1~4)
エレミヤの死
 ・諸説あるが、神の預言(1:8)があり、単にエジプトで老死したと考える。
エレミヤの召命と背景
 ・召命BC627年→およそ45年間の預言者人生。召命当時は25~30歳か。マナセ王時代に出生。
 ・同時代預言者:前半→(小預言)ナホム、ゼパニア、ハバクク、後半→(大預言)エゼキエル、ダニエル。

更に当時、女預言者フルダが活躍していた。(Ⅱ列22:3、14:20、Ⅱ歴34:3、22:8)
・彼の預言は嘲笑され、偽預言者とまで言われた。(涙の預言者、悲しみの預言者)

 

エレミヤ書の構成(4つの大分類)

 

エレミヤ書の特徴

10の特徴

①時系列で書かれていない。
②豊富な伝記資料が含まれている。
③著者の内面的闘争が記録されている。
④半分はヘブル語による詩的表現で、半分は散文形式で表現されている。
⑤ホセア書との類似点が多い。
⑥特定された場所で預言が語られる。(神殿、都市の門、刑務所、陶芸家、ヒンノムの谷)
⑦7つの悔い改めの告白をするエレミヤ。
⑧神がエレミヤに裁きを逃れる祈りをするなと命じられる。(決定事項だから)
⑨ユダとイスラエルを混合して使用。すでに北イスラエルは存在しないから。
⑩象徴的な意味を持つ行動の実行

1.亜麻布の帯をユーフラテス川原に埋葬(エレ13:1~11) 1100kmの長旅の実行
2.結婚の禁止(16:1~4)                      
3.陶芸の作製(18:1~12)      神は自由にイスラエルを扱う
4.陶芸の破壊(19:1~15)       神は自由にイスラエルを裁く
5.縄とかせ(枷)を送る(27:1~11)  バビロンへの降伏
6.かせを身につけよ(27:2、28:1~17) イスラエルの捕囚
7.土地の購入(32:1~44)       捕囚されても土地が戻る約束
8.レカブ人へのワインの強要(35:1~19) イスラエルの不従順の露呈
9.大きな石を埋める(43:8~13)    エジプトの陥落、ネブカド王の樹立
10. ユーフラテス川への巻物と石(52:59~64) バビロンの崩壊の象徴

 

神学的6つの特徴

①聖書の不滅性

・壊されても、神の言葉は生き延びる。神の言葉は様々な形で預言者に届く。

②神の教義

・神の絶対的主権により国家、歴史が支配される。神の全知全能と偏在。
・神に対する服従により、祝福がもたらされる原理原則。

③キリスト論
・メシア預言の存在
・エレ23:5~6・・・「神であり人である」という概念に言及。
④罪の教義

・人間の極度の罪深さが露呈(エレ17:9)。欺瞞と裏切りが人の心の悪の根源である。

⑤イスラエルの教義

・イスラエルの民と国家について、過去・現在・未来の神学的議論がなされている。
・モーセの律法→バビロン捕囚→離散→新しい契約(最終的にはイスラエルの救いへ)

⑥終末論(終末の教義)

・ダビデの王位の回復と再確立→メシアの再来
・苦難と共に訪れるメシア的王国の情報提供

霊的位置づけ

・エレミヤ書はヨシヤ王時代(ヨシヤ王の治世第13年)から語られる預言書です。(1:2)
・ヨシヤ王は善王とされ、その祖父マナセ王と父アモン王による腐敗の改革に取り組んだ。様々な改革は行ったが、人々の内的霊的な改革は改善されず、そのことにエレミヤは否定的であった。(3:6~10)
・マナセ王は最後に悔い改めて神に立ち返ったが、国の腐敗はひどく、神の怒りの回帰不能点を超えた。
・エレミヤの周辺には多くの偽預言者がいて、人々の霊的状態は悪化し、レビ人たちも不誠実であった。
・ヨシヤ王の誠実さから、彼の時代に破滅は無く延期されたが、裁きは取り除かれない。
・エレミヤは、救済には裁きしかないことを知り、民に語っていた。その答えがバビロン捕囚であった。

回帰不能点: ①カデシュ・バルネア事件
       ②マナセ王の偶像礼拝
       ③イエスのメシア拒否(ベルゼブル論争)

 

私たちはクリスチャン良貨!
ヨシヤ王は、最悪の状況を主に信頼して改善へと進めたが、民の内面は改善されず、むしろ悪化しました。民は神の御心に反する方向へ突き進みます。

「悪貨は良貨を駆逐する」とは、放っておけば悪いことが蔓延するという意味です。
エレミヤもまた、良貨のように悪貨に駆逐される立場になります。しかし神はエレミヤの人生を見ておられ、必ず永遠の祝福へと導いてくださいます。
日本のクリスチャン人口は全体の1%。その中の聖書本位主義者はいかほどでしょう。

地上において、主は必ずそんな本物志向のクリスチャンをしっかりと見ていてくださいます。
クリスチャン良貨は駆逐されるように見えても、消え失せはしません。むしろ光り輝く存在となって地上に帰還します。この福音に感謝!ハレルヤ!

「自分のいのちを救おうと思う者はそれを失い、わたしと福音のためにいのちを失う者は、それを救うのです。」マルコ8章35節

2024年10月03日