エレミヤ書12章14節~17節

14節:主はこう言われる。「わたしの民イスラエルに受け継がせたゆずりの地に侵入する、悪い隣国の民について。見よ。わたしはその土地から彼らを引き抜き、彼らの間からユダの家も引き抜く。

・14~17節で、裁きに用いた異邦人への忠告が示される。
・イスラエルの民へのゆずりの地に侵入する悪い隣国の民についての預言。
・歴史的事実として、イスラエルの民が捕囚されると、近隣諸国の民が移住した。
 (サマリヤ人、ナバテ人、エドム人、モアブ人、ペリシテ人など) (捕囚政策)
・神は約束の地にいる移住民を、また異邦人の中にあるユダの民を、引き抜く。
イスラエルの民を捕囚の身としたが、入ってきた異邦人もこの地から追い出す!
地の回復をなさる神⇒契約に基づく行為の実践

<解説>アブラハム契約とシナイ(モーセ)契約の「土地」に関して
●アブラハム契約(無条件契約)・・神の一方的な恵みの契約
 ・アブラハム、イサク、ヤコブ・・(イスラエル)に約束の地を与えられた。
 ・従って、約束の地の所有権はイスラエルの民に付与された。(決定事項)
●シナイ(モーセ)契約(条件付契約)・・その土地の占有権は、条件付きで付与される。
 ・土地に住み、祝福を受ける権利は、神のことばに従うことで獲得できる。
 ・約束の地の所有権はイスラエルの民に付与された(決定事項)従わなければ、その  土地から追い出されることになる。しかし、所有権は維持されたままである。

<アッシリヤ捕囚とバビロン捕囚について> 
アッシリヤ帝国・・初期(BC3000年頃)、古、中、新アッシリヤに区分される。

新アッシリヤは、BC900年代前半~滅亡まで。(北イスラエル発生と同期)
アッシリヤ捕囚・・主目的→占領地に民族同化による勢力の抑制、反乱防止、職人確保。
恐怖政治による支配体制。敵に降伏を強いるシステム。⇒大量虐殺、捕虜、拷問、強制移住の実施。(BC722、Ⅱ列17:6)(捕囚者は長い行列で行軍。途中死者も多数出たと考えられる。)
バビロン(バビロニア)帝国・・BC3000年から存在。農耕民族。BC1000年頃アッシリヤと戦うが、BC700年代にアッシリヤの支配下となるも、BC612年ニネべを滅ぼし、アッシリヤは滅ぶ。バビロンはBC539年、キュロスによって征服され滅ぶ。翌年にイスラエル帰還命令が出る。
バビロン捕囚・・主目的→帝国発展のための知的資源確保(エリート層中心)。
比較的穏健な移住政策。捕囚民は、主にバビロン周辺に集められ、共同体を維持させた。

 

<アッシリヤ帝国とバビロン帝国について>

●アッシリヤ帝国 帝国拡大のための恐怖政治による支配体制。厳しい捕囚政策。
・滅亡の理由の一因として、恐怖政治に対する他の民族の反感が大きく影響した。最終的に、バビロンに滅ぼされる。

[聖書箇所]

イザヤ10:5~6→裁きの杖としてアッシリヤが用いられる。
イザヤ10:12~15 →アッシリヤによる神への傲慢に対する裁き。
ナホム3:1~7→アッシリヤの首都ニネべの滅亡。
●バビロン帝国 拡大がある程度確立した帝国の安定を意図した支配体制。穏健な捕囚政策。
・エレミヤ1:14、25:9→バビロンの王ネブカドネツァルがユダを裁くために用いられる。しかし、彼は神の許しを超えて暴虐を行い誇ったため神から裁きを受ける。
[聖書箇所]

イザヤ47:5~11→バビロンの傲慢に対する裁き。
ダニエル5:22~31 →ペルシア帝国による滅亡が示される。

15節:しかし、彼らを引き抜いた後、わたしは再び彼らをあわれみ、彼らをそれぞれ自分のゆずりの地、あるいは自分の土地に帰らせる。

・「彼ら」・・引き抜いたすべての人民。
・神は、引き抜いた民を、それぞれの地に戻すと言われる。
・ユダヤ人は約束の地へ、異邦人はそれぞれの土地へ復帰させる。
聖書箇所:[申30:1~6、イザヤ11:11~12:6、アモス9:14~15、ゼカリヤ10:8~12、

マタイ24:31、マルコ13:27]
・AD70年の離散の民となり、1948年にイスラエルが帰還。歴史は人の想像を超えて展開している。
・この帰還が、所有権と占有権の両立成就ではない。祝福を受けていないことは明白。
・両立の成就は、DKNJ以後のメシア的王国(千年王国)のときである。

16節:彼らがかつて、バアルによって誓うことをわたしの民に教えたように、もし彼らがわたしの民の道をよく学び、わたしの名によって『主は生きておられる』と誓うなら、彼らはわたしの民のうちに建てられる。

・未来に成就する預言的メッセージが語られる。これはエレミヤへの真の応答であろう。
・異邦人に向けたメッセージであり、全人類に向けたメッセージ。(預言)
・かつて異邦人は、イスラエルの民にバアルに従うことを教えた。
・その異邦人がイスラエルの神に従い、熱心に学び、「主は生きておられる」と誓うようになれば、イスラエルの民の中で祝福を受けることになる。
※この預言から、異邦人がユダヤ人から正しい道を学ぶ機会があることが分かる。
※異邦人の国々は神の民の中で構築され祝福を受ける。メシア的王国。
エレミヤが目線を向けるべき所は、ユダヤ人と異邦人の救いが成就するメシア的王国である。今はその成就の途上にある。

17節:しかし、彼らが聞かなければ、わたしはその国を根こそぎ滅ぼす──主のことば。」

・「彼らが聞かなければ」・・ユダヤ人から学ぶことを拒否したら、根絶すると言われる。
・異邦人が神に従わない道を選ぶなら、異邦人の国も民も滅ぼす。
・ゼカリヤ14:16~19→異邦人がエルサレムに上り仮庵の祭りを祝うかどうか?
⇒年に1回の異邦人の義務。もし守らなければ災害、疫病などの罰が下る。
・この状況はメシア的王国(千年王国)において成就する
詩篇2:9にある「鉄の杖」は千年王国に入っても、心に現れる罪の性質を打ち砕くもので、千年王国の第1世代から第2世代になるとき出現する。(旧約では詩編のみ。黙示録2:27、12:5、19:15に記載。)
※ 千年王国は民主主義制ではなく、神の絶対君主制。エルサレムから発せられる公正な法に信者は素直に従うが、不信者にとってはシンドイ状況となる。

 

<12章の総括> 
12章は、エレミヤの激しい糾弾にも似た神への質問から始まり、最後は神のエレミヤにたいする未来像を示すという応答で終わっている。
神はエレミヤに、真の平安は地上にはなく、神が計画しておられるメシア的王国にある事を示された。
エレミヤにとって衝撃的な事件をも乗り越える力を与える希望を、神はエレミヤに与えられ、同じ目線に立つことを期待された。
エレミヤはその希望を確信して、神の目線に近づき、改めて預言者としての働きの意味を知り、恐れを乗り越えて歩む力が増し加わったと思われる。それは信仰の増し加わりであり、神がエレミヤを成長させられたのである。

 

『希望は主から』
・神は、エレミヤの苦しみも悲しみも全てわかったうえで、エレミヤに気付きの促しをなされた。それが真の平和の実現という希望の提示である。
・新約の時代の私たちには、更に明確に未来の希望が示されている。この希望があるから、私たちは、死をはじめとする困難を軽々と乗り越えて、永遠の人生を恐れず歩めるのである。
・人間にとって最終的に必要なものは何かを教え、それを快く与えてくださったお方は、私たちの天の父なる神です。聖霊は私達にそのことを明確に教えています。
・内住される聖霊を与えられているという事は、この希望を心にしっかりと持ち、希望の歩みを、力強く進んで行く力を得ているという事です。
「どうか、希望の神が、信仰によるすべての喜びと平安であなたがたを満たし、聖霊の力によって希望にあふれさせてくださいますように。」ローマ15章13節

2025年03月14日