エレミヤ書30章12節~31章1節

12節:まことに主はこう言われる。「あなたの傷は癒やされがたく、あなたの打ち傷は痛んでいる。
13節:あなたの訴えを擁護する者もなく、腫れものに薬を付けて、あなたを癒やす者もいない。

・主は、イスラエルの苦難について語ります。
・その傷はひどい状態になる。
・助ける者は誰もいない
※イスラエルを擁護する国は一つもなくなる。
※完全孤立した、深刻な状態を示している。

14節:あなたの恋人たちはみな、あなたを忘れ、あなたを尋ねようともしない。わたしが、敵を打つようにあなたを打ち、容赦なくあなたを懲らしめたからだ。あなたの咎が大きく、あなたの罪が重いために。

・ひどい傷の原因は、神の裁きだから。容赦のない裁き。
・助ける者はないことが強調されている。
※その恋人とは、偶像礼拝者たち。神の裁きを見て、イスラエルから離れて行く。
・孤立状態であることに気づくイスラエル。
※イスラエルの罪、咎があまりに重い結果である。

15節:なぜ、あなたは自分の傷のために叫ぶのか。あなたの痛みは癒やされがたい。あなたの咎が大きく、あなたの罪が重いために、わたしはこれらのことを、あなたにしたのだ。

・「癒されがたい」・・不治の病にも似た状態。恋人に助けを求めても無駄なこと。
※「咎」・・単数形・・イエスのメシア性の拒否。
※「罪」・・複数形・・贖罪の手段を失って積み重なった罪。
裁きは厳しいものになる。

16節:それゆえ、わたしは言う。あなたを食う者はみな、かえって食われ、あなたの敵はみな、捕らわれの身となって行き、あなたから略奪した者は、略奪され、あなたをかすめ奪った者は、わたしがみな獲物として与える。

・神の救いが示される。
・イスラエルの癒しの第一ステップ
・神は、イスラエルを厳しく裁いた国々を例外なく裁かれる。

17節:まことに、わたしはあなたの傷を治し、あなたの打ち傷を癒やす。──主のことば──まことに、あなたは『捨てられた女』、『尋ねる者のないシオン』と呼ばれた。

・イスラエルの癒しの第二ステップ
・「捨てられた女」、「尋ねる者のいないシオン」と呼ばれるようになる。→完全孤立を意味する。→真に頼るべきは「神」という悟りに至るイスラエル。
・神はイスラエルの不治の病の如き苦しみを癒し、その状態から解放する。

18節:──主はこう言われる──見よ。わたしはヤコブの天幕を回復させ、その住まいをあわれむ。都はその丘の上に建て直され、宮殿はその定められている場所に建つ。

・「ヤコブの天幕を・・」・・(英)the fortunes of Jacob’s tents
※(ヘ)shevut, shevit・・「捕虜」「監禁」、のほかに「幸運」「運命」の意味。
※NIV→the fortunes、NKJV→the captivity
・天幕・・一時的な住まい。→ミカ書2:12の「羊の囲い(ボツラ)」を指す。
※ボツラは、マタイ24:15~16に忠実な人(レムナント)が逃げる先。
・ヤコブは一時的に避難のために逃れた。→一時的な住まい
・一転して、神はヤコブを良き運命に回復させる。(ヘ)shevutの字義から。
・「丘」・・(ヘ)tel・・「丘」、「都市の廃墟の山」。その廃墟の上に都市を造る。
※「都」・・集合的単数形から「約束の地のすべての都市」を指している。
※宮殿は正当な場所に建てられる。

19節:彼らから、感謝の歌と、喜び笑う声が湧き上がる。わたしは人を増やして、減らすことはない。わたしが尊く扱うので、彼らは小さな者ではなくなる。

・感謝の歌、賛美、喜びの声が満ち溢れる光景。
・神はこの民の人口を増やされる。
・神は、立ち返った民を尊重する。迫害されるような存在にはならないということ。
※従順なイスラエルの姿が浮かぶ

20節:その子たちは昔のようになり、その会衆はわたしの前で堅く立てられる。わたしはこれを圧迫する者をみな罰する。

・「昔のように」・・エジプトから解放された当時の君主制に立ち返る。神への従順。
・これから以降、民は神の前にブレることなく、固く立つ。偶像礼拝は二度としない。
・イスラエルを厳しく扱った異邦人抑圧者たちは、神が確実に裁かれる。

21節:その権力者は彼らのうちの一人、その支配者はその中から出る。わたしは彼を近づけ、彼はわたしに近づく。いのちをかけてわたしに近づく者は、いったいだれか。──主のことば──

・「権力者」、「支配者」・・ユダヤ人の中から出るメシアを指している。
※イエス・キリストを指している。メシア預言。
・神は彼を近づけ、彼は神に近づく。→メシアは自由に神に近づくことができる。
※「いのちをかけて」・・ASV→「大胆に」
※新共同「彼のほか、誰が命をかけて私に近づくであろうか、と主は言われる」
※メシアを長とする君主制が成立する。

22節:あなたがたはわたしの民となり、わたしはあなたがたの神となる。」

・ユダヤ人から出たメシアのもと、イスラエルは本来の姿に再生する。
※神に救われた国として、また神の民として回復する。

23節:見よ。主のつむじ風が憤りとなって出て行く。渦巻く暴風が悪者の頭上に荒れ狂う。
24節:主の燃える怒りは、去ることはない。主が心の思うところを行って、成し遂げるまでは。終わりの日に、あなたがたはそれを悟る。

・「つむじ風」、「暴風」は、神の怒りを示す。
・この怒りの暴風は邪悪な者の頭上で荒れ狂い、怒りが収まるまで裁きは止まない。
・主の思うところに民が到達するまで続く→メシア拒否の悔い改めのときまで。
※イスラエルの民は、この裁きが自分たちの救いの手段だと知る。
※ホセア書6:1~3によれば、この悟りは苦難の最後の3日間と示している。

31章
1節:「そのとき──主のことば──わたしはイスラエルのすべての部族の神となり、彼らはわたしの民となる。」

・「イスラエルのすべての部族」→イスラエルの12部族全部。
・イスラエルがメシアなるイエスを受け入れ、12部族全部が神の民となる。

 

『後ろ盾』
・イスラエルの民は、完全に孤立した状態となることが示されている。それまで恋人のように関係を築いてきた諸国から見放されることになるイスラエルの民。すがるところはどこにもない。
・私たちそれぞれの人生においても、孤立状態になる時がある。多少の孤立は妥協などで
回避できるが、周囲のすべてに否定される完全孤立は身の置き所を無くすほどの辛さである。
・しかし、私たちクリスチャンに「孤独」という環境はない。常に神が共にいる人生だからである。それは、自分の力に頼む生き方ではなく、神という絶大な後ろ盾を持って歩む人生だということ。
・そのためにも、日頃の主との対話の質を高め、どんな時も動じることのない歩みを目指しましょう。この後ろ盾は、詩編23:4のように、私たちの人生の究極の時にその真価を発揮します。
「わたしはあなたに命じたではないか。強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたが行くところどこででも、あなたの神、主があなたとともにいるのだから。」ヨシュア記 1:9

2025年11月06日