エズラ記10章1節~44節

1節:エズラが神の宮の前でひれ伏して、涙ながらに祈り告白しているとき、男や女や子どもの大会衆がイスラエルのうちから彼のところに集まって来た。民は涙を流して激しく泣いた。

エズラの悔いる気持ちは、涙に変わり、嘆きになっていた。
大会衆がエズラの周りに集って来る。
その理由に、集って来た大会衆も激しく泣き始めた。(エズラの思いに同調)
神の民としての誇りは打ち砕かれ、心から悔いている民。中には、大祭司などの指導者たちの振る舞いに違和感を持っていた人たちも、いたと思われる。


2節:そのとき、エラムの子孫の一人エヒエルの子シェカンヤが、エズラに言った。「私たちは、自分たちの神の信頼を裏切り、この地の民のである異国人の女を妻にしました。しかし、このことについてイスラエルには今なお望みがあります。

シェカンヤ・・・エラムの子孫のエヒエルの子(エズラ10:26・・雑婚の罪人の子)
シェカンヤは、指導者たちの振る舞い違和感を持ち、この忌み嫌うべき状況を恥じる気持ちでいたのではないか。
「今なら望みがあります」⇒シェカンヤは、神はこの罪過の下にある民を救おうとエズラを導かれたと思った。


3節:今、私たちは自分たちの神と契約を結び、主の勧告と、私たちの神の命令を恐れかしこむ人々の勧告にしたがって、これらの妻たちと、その子どもたちをみな追い出しましょう。律法にしたがってこれを行いましょう。

4節:立ち上がってください。このことはあなたの肩にかかっています。私たちはあなたに協力します。勇気を出して、実行してください。

エズラにエールを送るエルサレムの神を恐れる者たち。
「律法にしたがってこれを行いましょう。」 エズラと同調する思い。
奮い立って、私たちを導いてください。あなたに従います。
神の民として歩む姿勢がエズラに示された⇒神はエズラの今後の活動の下地を整えられた

5節:エズラは立ち上がり、祭司、レビ人、全イスラエルの長たちに、この提案を実行するよう誓わせた。すると彼らは誓った。

エズラは、立ち上がり、この民の提案の実行を誓わせた。彼らは進んで誓った。

決して強制ではなく、集った民の意識が一致し、進んで誓ったものと思われる
目的意識が一致した瞬間である。常に神はこうした状況を備え、エズラを導かれる。

6節:エズラは神の宮の前を去って、エルヤシブの子ヨハナンの部屋に行った。そこに行って、パンも食べず、水も飲まずにいた。捕囚から帰って来た人々の不信の罪を嘆き悲しんだのである。

エルヤシブは、ネヘミヤ時代の大祭司となる人物。
その子ヨハナン・・エルヤシブの孫・・「子」はヘブル語で「孫も含めた子孫」の意味。
当時の大祭司は、ヨヤキム(ヨシュアの子or孫)。
エズラは断食する。民の罪深さに嘆き悲しんだ。
自然と断食に入って行ったと想像する。神との対話の時間。

 

7節:そして、通達がユダとエルサレムに出された。それは、捕囚から帰って来た者はみなエルサレムに集合するように、というものであり、

8節:また、三日のうちに来ない者はみな、指導者たちや長老たちの決定にしたがってその全財産を聖絶され、さらにその人は、捕囚から帰って来た人々の会衆から除名される、としていた。

通達が出された→3日の間に、エルサレムに集合すること。
集合しない者は全財産の聖絶、その者は神の民から除名とする。

エルサレムのみならず、周辺に散る民の移動時間を考慮しての3日間
聖絶という言葉から、何やらただ事ではない様子がすぐに伝わる

9節:ユダとベニヤミンの男はみな、三日のうちにエルサレムに集まって来た。それは第九の月の二十日であった。こうして、すべての民は神の宮の前の広場に座り、この件で、また大雨のために震えていた。

10節:祭司エズラは立ち上がって、彼らに言った。「あなたがたは神の信頼を裏切った。異国人の女を妻にし、イスラエルの罪過を増し加えた。

11節:だから今、あなたがたの父祖の神、主に告白して、そのみむねにかなったことをしなさい。この地の民、異国人の女たちから離れなさい。」

第9の月(11~12月の寒い時期)の20日、ユダとベニヤミンの男たち三日の内に集まった。
場所は神殿の前の広場。全員が9月の大雨と、事の重大さに震えていた。
エズラは、雑婚の罪を民に指摘する。それが更なる神の裁きとなる恐れを込めて。
集合する者たちの一部の罪だが、イスラエルの民全員の問題として受けとめている。


12節:全会衆は大声をあげて答えた。「必ずあなたの言われたとおりにします。

大声で合意する民の声。「必ずあなたの言われたとおりにします!」

モーセの律法に従って歩もうとするエズラの思いと、民の思いが、ここに一致した!

13節:しかし、民は大勢いて、大雨の時期ですから、私たちは外に立っていることができません。しかも、これは一日や二日のしごとでもありません。私たちはこのことで大いに背いてきたのですから。

エズラの指示に、大声で応答する全会衆。
皆の心の目的は、一致していた。律法に忠実であろう。「指示に従います!」
ただ、今すぐに実行するのは難しい状況。大雨で寒く、また簡単には行かない。
雑婚の実態は、家系、周囲の人たちの情報など、調査に時間を要す。


14節:全会衆を代表して私たちの指導者たちに、ここにとどまっていただきたい。そして、私たちの町で異国人の女を妻にした者はみな、定められた時に、それぞれの町の長老たち、さばき人たちと一緒に出頭するようにしていただきたい。そうすれば、このことについての私たちの神の燃える怒りは、私たちから去るでしょう。」

提案・・全会衆の代表として指導者はここに残り、各人が町に帰って、その者たちを連れて約束の日までに、その町の長老、さばき人と共に出頭させてほしい。
神は赦してくださるはずです。(罪を洗い出し、清めるという強い意志が伺える)

更に、異邦人の嫁を、ユダヤ教に改宗させるという手段もある。
そのためにも、2~3日で終わるような仕事ではない。

15節:アサエルの子ヨナタンとティクワの子ヤフゼヤだけはこれに反対し、メシュラムとレビ人シャベタイの支持を得たが、

アサエルの子①ヨナタン、ティクワの子②ヤフゼヤ、③メシュラム、レビ人の④シャベタイは、この提案に反対した。→①、②、④は非雑婚者。メシュラムは異邦人の娘と既婚。(10章29節)

エズラの指示には合意していた。時間をかけて実行することに反対したと考えられる。
メシュラムは自分の罪深さを恐れ、早く実施したいと考えたのではないか。


16節:捕囚から帰って来た人々は、その提案どおりにした。祭司エズラは、彼らの一族のそれぞれのために、かしらの者たちを、みな名指しで選り分けた。こうして、彼らはこの件を調べるために第十の月の一日に検討を始め、

17節:第一の月の一日までに、異国人の女を妻にした男たちについて、みな調べ終えた。

エズラ直々に、それぞれの一族のかしらたちを任命した。エズラの思いが伝わる。
調査は第10の月の一日から翌年第1の月の一日までかかった。(12月末~3月末)
現在は、アルタクセルクセス王の第7年。エルサレム到着が第5の月(7章8節)。(到着から5か月後)
こうしたエズラの威厳は、かねてアルタクセルクセス王より与えられた権威もあるが、

人々を動かしたのは、彼の純粋な、イスラエルの民への愛と神への愛という、正義と公正の思いだったであろう。

18節:祭司の子らのうちで異国人の女を妻にした者が分かった。エホツァダクの子ヨシュアの息子たちと、その兄弟たちのうちのマアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダルヤであった。

19節:彼らはその妻を離縁すると誓い、自分たちの罪過のために、雄羊一匹を代償のささげ物として献げた。

20節:イメル族のうちでは、ハナニとゼバデヤ。

21節:ハリム族のうちでは、マアセヤ、エリヤ、シェマヤ、エヒエル、ウジヤ。

22節:パシュフル族のうちでは、エルヨエナイ、マアセヤ、イシュマエル、ネタンエル、エホザバデ、エルアサ。

23節:レビ人のうちでは、エホザバデ、シムイ、ケラヤすなわちケリタ、ペタフヤ、ユダ、エリエゼル。

24節:歌い手のうちでは、エルヤシブ。門衛のうちでは、シャルム、テレム、ウリ。

25節:一般のイスラエル人のうち、パルオシュ族のうちでは、ラムヤ、イジヤ、マルキヤ、ミヤミン、エルアザル、マルキヤ、ベナヤ。

26節:エラム族のうちでは、マタンヤ、ゼカリヤ、エヒエル、アブディ、エレモテ、エリヤ。

27節:ザト族のうちでは、エルヨエナイ、エルヤシブ、マタンヤ、エレモテ、ザバデ、アジザ。

28節:ベバイ族のうちでは、ヨハナン、ハナンヤ、ザバイ、アテライ。

29節:バニ族のうちでは、メシュラム、マルク、アダヤ、ヤシュブ、シェアル、ラモテ。

30節:パハテ・モアブ族のうちでは、アデナ、ケラル、ベナヤ、マアセヤ、マタンヤ、ベツァルエル、ビヌイ、マナセ。

31節:ハリム族のうちでは、エリエゼル、イシヤ、マルキヤ、シェマヤ、シメオン、

32節:ベニヤミン、マルク、シェマルヤ。

33節:ハシュム族のうちでは、マテナイ、マタタ、ザバデ、エリフェレテ、エレマイ、マナセ、シムイ。

34節:バニ族のうちでは、マアダイ、アムラム、ウエル、

35節:ベナヤ、ベデヤ、ケルフ、

36節:ワンヤ、メレモテ、エルヤシブ、

37節:マタンヤ、マテナイ、ヤアサイ。

38節:バニ、ビヌイ、シムイ、

39節:シェレムヤ、ナタン、アダヤ、

40節:マクナデバイ、シャシャイ、シャライ、

41節:アザルエル、シェレムヤ、シェマルヤ、

42節:シャルム、アマルヤ、ヨセフ。

43節:ネボ族のうちでは、エイエル、マティテヤ、ザバデ、ゼビナ、ヤダイ、ヨエル、ベナヤ。

祭司の雑婚者→新共同訳参照⇒「大祭司ヨシュアの一族とその兄弟の中の、マアセヤ、エリエゼル、ヤリブ、ゲダルヤ。」
彼らは離縁を誓い、贖罪のための「代償のささげ物」として各雄羊一匹を献げた。
以下、祭司の雑婚既婚者は13名が記されている。祭司合計17名。
レビ人は6名、歌い手1名、門衛3名、
一般部族は86名。

合計113人の名前がリストアップされた
祭司以外の者たちの代償のささげものは記載はないが、献げられたと想像する。
この日まで、様々なことがあったと思われる。
結局、神の民として何を優先して生きるべきかが問われる!

44節:これらの者はみな、異国人の女を妻にした者であった。彼らの妻たちの中には、すでに子を産んだ者もいた。

この最後のことばには、哀れさがにじみ出ていると感じられる。
決して外国人を憎むというのではなく、神の霊的領域に移るための犠牲である。
エズラが流した涙には、こうした苦しみももしかしたら含まれていたのかもしれない。
離縁したり、正式に改宗したりと、手続きは繊細に扱われたと思われる。
しかし、かつて神は「聖絶」という言葉まで用いて、この地の異邦の民を忌み嫌われた。
それもこれも、神に従わなかった結果のことである。
ただし、この時は、離縁した者を冷たく追い出したとは思いたくないが・・・

こうしてエズラは、民と共に雑婚の罪に対して応答して、律法に従う一歩を刻んだ。

2023年08月17日