ダニエル書7章9節~28節
ベルシャツァル王の元年、ダニエル67歳の時、神は彼に4つの獣の幻を見せます。その獣は異邦人による帝国の姿を表すものでした。
9節:私が見ていると、やがていくつかの御座が備えられ、『年を経た方』が座に着かれた。その衣は雪のように白く、頭髪は混じりけのない羊の毛のよう。御座は火の炎、その車輪は燃える火で、
10節:火の流れがこの方の前から出ていた。幾千もの者がこの方に仕え、幾万もの者がその前に立っていた。さばきが始まり、いくつかの文書が開かれた。
幻が続きます。ここで第3回目の幻を見せられます。
4つの獣の幻の後、まったく異なる景色になります。10節にあるように、これは裁判の光景です。
『年を経た方』→歴史を貫かれる存在→神、が裁かれる。
衣は真っ白。頭髪は羊毛のよう。そして御座は火炎(裁き)。車輪は火。火の流れ(川)が出ていた。
幾千の仕える者と幾万の裁かれる者。その前で、文書が開かれ裁きが始まった。
羊毛のような髪:黙示録1:14と同じような表現。
11節:そのとき、あの角が大言壮語する声がしたので、私は見続けた。すると、その獣は殺され、からだは滅ぼされて、燃える火に投げ込まれた。
12節:残りの獣は主権を奪われたが、定まった時期と季節まで、そのいのちは延ばされた。
8節に登場した小さな角(反キリスト)に注目するダニエル。
その小さな角である獣(反キリスト)は主権を奪われ、地上の活動はできなくなる。
この獣(反キリスト)は霊的な裁きとなる燃える火(ゲヘナ)に投げ込まれた。
残りの反ユダヤ主義、またはそれに加担した諸国の王たちとその国民は、地上における主権は剥奪されたが、即座に裁かれることはなく、しばらくの間、死(永遠の死)が伸ばされた。
羊と山羊の振り分け →異邦人の裁き(マタイ25:31~46)
燃える火の中:黙示録19:20参照。偽預言者も共に投げ込まれる。
11,12節の第4の獣と黙示録との関係:黙示録13:1~5。竜(サタン)の登場。
・豹、熊、獅子⇒第1、第2、第3の獣の影響が残っている。(歴史の流れ)
・その頭(トップ)は反キリストを指している。
・ダニエル書では途中が省略されて、メシア的王国の完成に及んでいる。
13節:私がまた、夜の幻を見ていると、見よ、人の子のような方が天の雲とともに来られた。その方は『年を経た方』のもとに進み、その前に導かれた。
14節:この方に、主権と栄誉と国が与えられ、諸民族、諸国民、諸言語の者たちはみな、この方に仕えることになった。その主権は永遠の主権で、過ぎ去ることがなく、その国は滅びることがない。
15節:私ダニエルの心は私のうちで悩み、頭に浮かんだ幻は私をおびえさせた。
16節:私は、傍らに立っていた者たちの一人に近づき、このことすべてについて、彼に願って確かめようとした。すると彼は私に答えて、そのことの意味を告げてくれた。
また幻が現れます。第4回目の幻です。
人の子→メシア、イエスキリストが、天の雲→シャカイナ・グローリーと共に神の御前に来る。
メシアの地上来臨を指す。(実際には地上再臨)
国、民すべての主権と栄誉がメシアに与えられ、王国の全国民はこの方に仕える。
メシア的王国の完成が示されている。
主権は永遠にメシアに与えられ、メシア的王国は滅びることが無い。
しかしダニエルは、御国よりも獣、特に第4の獣にショックを受けていた。
ダニエルは、ひとりの御使いに願って質問すると、彼はその意味を教えてくれた。
17節:『これら四頭の大きな獣は、地から起こる四人の王である。
18節:しかし、いと高き方の聖徒たちが国を受け継ぎ、その国を永遠に、世々限りなく保つ。』
19節:それから私は、第四の獣について確かめたいと思った。それは、ほかのすべての獣と異なっていて、非常に恐ろしく、牙は鉄、爪は青銅で、食らってはかみ砕いて、残りを足で踏みつけていた。
20節:その頭には十本の角があり、もう一本の角が出て来て、そのために三本の角が抜け落ちた。その角には目があり、大言壮語する口があった。その角はほかの角よりも大きく見えた。
21節:私が見ていると、その角は聖徒たちに戦いを挑み、彼らに打ち勝った。
22節:しかしそれは『年を経た方』が来られるまでのことであり、いと高き方の聖徒たちのためにさばきが行われ、聖徒たちが国を受け継ぐ時期が来た。
さらっと応える御使い。その内容は概略的。
4つの獣は人間による4人の王→4つの帝国主義の歴史を示す。神に反する歴史でもある。
海から出てきた獣が地上で繰り広げる帝国主義支配。
しかし、神の聖徒たちが、国(地上)を受け継ぎ、メシア的王国は永遠に続く。
ダニエルは第4の獣について疑問を抱いた。
7~8節が繰り返される。小さな角が大きく見えた。
その角は聖徒たちを打ったが、神がその角(第4の獣)を裁かれ、聖徒たち(イスラエルの民)が国を受け継ぐ時が来た。
ダニエルの疑問の『第4の獣』:ネブカドネツァル王を上回り、さらに凶暴な存在は、ダニエルの想像をはるかに超えていたと思われる。確かに、その様態はこの時の帝国とは異なる。
23節:彼はこう言った。『第四の獣は地に起こる第四の国。これは、ほかのすべての国と異なり、全土を食い尽くし、これを踏みつけ、かみ砕く。
24節:十本の角は、この国から立つ十人の王。彼らの後に、もう一人の王が立つ。彼は先の者たちと異なり、三人の王を打ち倒す。
25節:いと高き方に逆らうことばを吐き、いと高き方の聖徒たちを悩ます。彼は時と法則を変えようとする。聖徒たちは、一時と二時と半時の間、彼の手に委ねられる。
御使いは説明する。しかし、詳細ではない。
第4の獣→ローマ以降の帝国主義支配をする国。これは地球全体を支配し搾取する。
思想的にも支配が及ぶことが想像できる。7節「足で踏みつけていた」は宗教、思想の弾圧。
10国の10人の王の中に一人の王が立つ。これが反キリストである。これが3人の王を打ち倒す。
時(季節の行事→祭事)と法則(律法)を新たなものにしようとした。
聖徒たち(イスラエルの民)は3年半の間、反キリストの支配下に入ってしまう。→大患難時代後半の3年半
『第4の獣』→『第4の国』:帝国主義支配の国は、歴史を経てその様態が変わる。
・第4の獣の下半身が示すのは、2つになり(2脚になり)、更に10(10指)になること。
・第1段階:ローマ帝国、第2段階:2国の帝国→世界統一政府(現在も未体験)
・第3段階:10国からなる帝国、第4段階:反キリストによる支配
26節:しかし、さばきが始まり、彼の主権は奪われて、彼は完全に絶やされ、滅ぼされる。
27節:国と、主権と、天下の国々の権威は、いと高き方の聖徒である民に与えられる。その御国は永遠の国。すべての主権は彼らに仕え、服従する。』
28節:ここでこの話は終わる。私ダニエルは、いろいろと思い巡らして動揺し、顔色が変わった。しかし、私はこのことを心にとどめた。」
反キリストの支配は、神の裁きにより終了する。
彼は裁かれ、完全に打たれ滅ぼされる。(先んじて、偽預言者と共に火の池へ)
すべての主権のトップに、神の聖徒であるイスラエルの民が据えられる。
反キリストの反乱は神によって制圧され、メシア的王国が建つ。
ここで御使いの解説は終わる。
ダニエルは、恐れともいうべき不安を抱えつつ、それを記憶にとどめた。
ダニエルの不安:ダニエルの生活環境は、苦しいものではなかった。
・ダニエルの希望は、神殿とエルサレムの再建と思われる。
・獣の幻に自分の希望をリンクさせようとすると、再建は第4の獣の後と想像された。
・これまでのネブカドネツァル王との差が激しく、不安になったと考える。
この時神は、遠い未来に起こる終末を、噛み砕いて預言者としてのダニエルに示したのではないか!
7章について
2章のネブカドネツァル王の見た夢、『異邦人の時』に関する更なる情報が示された。
ベルシャツァル王の元年であり、まだ、ペルシア国の存在も極めて小さい頃。
ネブカドネツァル王の「異邦人の時」の夢の後、DKNJを通る預言がニ度示されている。
しかし、この段階で神の終末の展開を受け止めることは、ダニエルには難しいことだった。
それゆえ御使いは、少しづづ嚙み砕くように、ダニエルに終末を示しているのだと思う。
人生を通して神から預かる言葉には、それほどの重みがあるということ。
こうして残された預言書を通して、神のみことばに完全な信頼を持てること、また、信仰が益々増し加えられることに心から感謝!
だから私たちは、素直にキリストの律法に従って歩めるのです!ハレルヤ!
私たちを真に生かす希望の力
私たちの永遠のいのちの希望は、必ず成就します。その希望を心に抱き、原動力として歩んでいます。
希望は成就しますが、その希望の実現は人間には不可能な、超自然的な出来事です。
どんなに富を持っていても、費やしても、その権利や業は、入手不可能なのですが、・・
そのことの価値をどれほどに考えればよいでしょうか?すべてが用意された世界旅行?最上級の宇宙旅行?
地上の何ものにも代えられない喜びと楽しみを、神は何の条件もなく、この身に与えてくださいます。マイナスな感情な全て処理され、味わったことのない喜びと感謝があふれ出て来るのです。
この希望にどれほど私たちの胸、心が膨らむかによって、信仰の成長度合いも変化します。
神に近づくことの一つが希望の確信です。これからも益々皆さんと希望に胸を膨らませて行きたいと思います。