ダニエル書11章36節~45節

天使の預言はエピファネスから、まだ起こっていない反キリストの預言に展開して行く。旧来は、36~45節は、エピファネスの延長線上と見られていたが、実際に起こっていない「エジプトの征服(42節)」や「海と聖なる麗しい山・・(45節)」があり、ここが遠未来の預言となっていることに注目!

 

36節:この王は思いのままにふるまい、すべての神よりも自分を高く上げて大いなるものとし、神々の神に向かって驚くべきことを語る。彼は栄えるが、ついには神の憤りで滅ぼし尽くされる。定められていることがなされるからである。

(この個所が、近未来と遠未来の分岐点であり、二つが重なる融合点)
エピファネスを上回る大迫害者の登場が示唆されている。つまりエピファネスは型である。
「この王」・・反キリスト。自身を神とする。ダニエル7、8章で語られた人物。(Ⅱテサ2:3~4、黙13:1~8参照)
「驚くべきことを語る」・・原語では「ののしる」の意味。「神々の神」・・唯一の神。
「神の憤りで滅ぼし尽くされる」・・二つの側面からの滅ぼし。
①悪の支配は終わり世界的な復活を示す
②聖なる民の頑なさを打つ・・反キリストに3年半の繁栄を赦し、気付きを促す。(ゼカリヤ書13:8~9にユダヤ人の3分の2が殺される預言がある。)
「定められていることがなされるからである。」・・取り消し不可能な決定事項という意味。
異邦人の時の最終的支配者が反キリストであり、彼は独裁的な存在となる。


37節:彼は先祖の神々を心にかけず、女たちの慕うものも、どんな神々も心にかけない。すべてにまさって自分を大いなるものとするからだ。

反キリストの3つの特長が示される。

① 先祖の神々を無視
② どんな神々も心にかけない。
③ 自分を大いなる者(神)とする

「先祖の神々」・・異邦の神々をさす、従がって反キリストは異邦人である。(過去からの神々)
「女たちの慕うもの」・・当時のタンムズ教(エゼ8:14)というカルト宗教。(その時代の流行りの宗教)
反キリストは自分を神として称賛する。自分を全てに優るものとしている。かつてのサタンは神に憧れ、堕落した。
エゼキエルに見るイスラエルの暴虐
・エゼキエル8章は、民の偶像礼拝により主の栄光(シャカイナ・グローリー)が去るという預言の箇所。
・その中には、民や祭司が神を忘れ、様々な偶像礼拝をしている様が示されています。
・ちなみに、エゼキエルはダニエルと同世代で、もともとは祭司。捕囚以降、預言者となったようです。

38節:その代わりに彼は砦の神をあがめ、金、銀、宝石、宝物をもって、彼の先祖たちが知らなかった神をあがめる。

「砦の神」・・軍神(強さと軍事力を約束する)要塞の神、すなわちサタンを指す。
異邦人の祖先も知らない悪魔(サタン)を彼は崇める。

39節:彼は異国の神の助けによって城壁のある砦を取り、彼が認める者には栄誉を増し加え、多くのものを治めさせて、代価として国土を分け与える。

この個所は、反キリストの世界の支配方法についての言及である。
「異国の神の助け」・・悪魔(サタン)の超自然的な力(黙示録13:1~8)を受けるという意味。彼は金銀で悪魔を崇める(38節)。
※ かつてサタンはイエス様を誘惑しようとした。(マタイ4:3~11)、反キリストはその誘惑に載った。
「城壁のある砦を取り」・・最強の要塞をも打ち破る超自然的な力によって世界を征服する。
「彼が認める者には栄誉を増し、」・・「認める」はヘブル語で「告白する」・・彼を崇める者を優遇する。エピファネスが、イスラエルを支配した方法と酷似。
栄誉を与え、民を支配(政治的権威の付与)させ、国土を分け与える。→その見返りは彼らの忠誠心。

「忠誠心を示す」とは、
・黙示録13:16~18の見ることが出来る。
・反キリストの信者は、反キリストの信者を獲得すること(信者の数を増やすこと)で、 忠誠心を示さねばならないのだろう。
※ 物理的なことに目を奪われる人間を簡単に支配する反キリスト。(心の向く方向が問題)

40節:終わりの時に、南の王が彼と戦いを交える。北の王は戦車、騎兵、および大船団を率いて南の王を襲撃し、国々に侵入し、洪水のように通り過ぎる。←この訳は問題がある

・ 患難時代のスタート時:世界の政治構造は「10国の王とイスラエル」という状態。
・ 患難時代の中間で、反キリストが政治権力を掌握。3人の王は殺されている。

(40節は患難時代後半の反キリストの征服について語られ、41~45節はその詳細
英語訳(NIV):「終わりの時の南の王は、彼(反キリスト)と交戦し、また、北の王は彼(反キリスト)に向かって、戦車、騎兵・・・と共に飛び出してゆく。彼(反キリスト)は多くの国々を侵略し、洪水のごとく一掃する。」
フルクテンバーム博士の対象は英語訳であり、「彼」を誰と見るかで内容が大きく変わる。
※ 新改訳、新共同の訳では「彼」がエピファネスとなるのでは?
この戦いで、南(エジプト)と北(シリア)の王、二人が打たれることになる。
北は、ロシアではない。シリア一択である。反キリストは両国を一気に通過(制圧)する。

旧来の教え⇒アンティオコス・エピファネス説
エジプト侵攻に失敗し、イスラエル経由で帰国し、この時、東と北からのトラブルが軍事活動を思い止まらせたが、更なる征服に動こうとしたとき、エルサレムと海岸の中間の国で死ぬ。

41節:彼は麗しい国に攻め入り、多くの者が倒れる。しかし、エドムとモアブ、またアンモン人のおもだった人々は、彼の手から逃げる。

「麗しい国」・・イスラエル。
患難時代の中間地点でイスラエル政府は崩壊し、反キリストが征服。黙11:1~2
反キリストは神殿に入り、自らを神として崇めさせ、世界政治を掌握する。
しかし、3つの国は反キリストの征服から除かれる。エドム、モアブ、アンモンである。
聖書の巻末地図 6を参照。エドムの下部にボツラ。
イエス様の警告との関係で、この場所(ボツラ)に逃れの場所がなければならない。
イエス様の警告
・イエス様は、その征服から逃げる警告を示す。マタイ24:15~16
・逃げる先は、ミカ2:12~13から、現代のヨルダンにあるペトラ(ボツラ)と分かる。

42節:彼は国々に手を伸ばす。エジプトの地もその手を免れることはない。
43節:彼は金や銀の秘蔵物と、エジプトのすべての宝物を手に入れ、ルブ人とクシュ人が彼につき従う。

反キリストの進撃開始。諸国を支配下におさめ、エジプトも攻め落とす。
こうして南の王、すなわちエジプトは打たれる。3人の打たれる王の一人目。
エジプトの財宝は全て戦利品として奪い、アフリカのルブ人(リビア)、クシュ人(エチオピア)を支配下におさめる。アフリカ支配が進むことを示している。

44節:しかし、東と北からの知らせが彼をおびえさせる。彼は多くのものを絶滅させようとして、激しく怒って戦いに出て行く。

「東と北」・・「メソポタミヤ(イラク)とシリア」。「おびえさせる」・・警戒させる、邪魔するの意味。
激しく怒って両者を打つ。イラク、シリアの王が打たれ、3人の王が打たれることになる。
その激しい戦いを見た7国の王は、完全なる服従姿勢とならざるを得ない。

45節:彼は、海と聖なる麗しい山との間に、本営の天幕を張る。しかし、だれも助ける者はなく、ついに彼は終わりを迎える。

ここに示されている内容は、反キリストの患難時代の前半期のこと。
「海」・・複数形であり、死海と地中海を指す。
「麗しい山」・・神殿の丘を指す。

本営の天幕 →イスラエルを軍事的首都とし、王室としての本部を置く。
彼は、あるとき命を落とす。その時、助けはない。
ここで反キリストの預言は終わるが、黙示録などの預言書からその先が見えてくる。
しかし、彼はサタンの力で甦る。(黙13:3) 反キリストは3国の王を殺す。
甦った反キリストは二人の預言者を殺害する。(黙11章)
甦りを見た人々はその力に驚く。
その結果、7人の国王たちは皆、彼とその権威に従うようになる。

 

今わかっていること、そして、まだわからないこと。
反キリストは、我々クリスチャンが地上に存在しない時に現れる存在です。
彼は、これまで人間が持っていた偶像には一切興味を持たず、自分を神とします。(37、38節)
しかし、崇める神はいます。先祖たちが知らなかった神・・とはサタンです。それはどんな支配をするのでしょうか?
謎は新たな研究意欲、知識欲を掻き立てますが、決して自分の感情や思いに寄せるようなことは止めましょう。
神は、預言に具体的な人名を出すこともできれば、難解な内容にもされます。
その難解さにも意味がある事を私たちは知る必要があります。
正しさというよりも、今はここまで分かって来た!という思いを持って。。
日々、謙虚さを求めて学び、生きてる間は素直に携挙に期待しつつ、私たちの次の未来に目を向けましょう。
すから、明日のことまで心配しなくてよいのです。明日のことは明日が心配します。苦労はその日その日に十分あります。」 マタイ6:34

2024年08月30日