ミカ1章1節

1節:モレシェテ人ミカにあったのことば。これは、ユダの王ヨタム、アハズ、ヒゼキヤの時代に、彼がサマリヤとエルサレムについて見た幻である。

預言者ミカについて:

「ミカイヤ」の短縮形で、「誰が【主】のようであろうか」と言う意味。
活動時期はユダの王「ヨタム」、「アハズ」、「ヒゼキヤ」の時代に跨って活動する預言者。
同時期に活動した他の預言者は、ホセア、イザヤ。中川先生によれば、イザヤとは親交があったとのこと。ホセアとも繋がりはあったと想像する。
出身地は、エルサレムから南西30キロの「モレシェテ」(所有の意)出身。
地名などの意味を用いて語る、言葉遊びのような、表現力(文才)がある。

 

時代背景

ヨタム王の時代 Ⅱ歴27:1~9

ヨタムは「主は完全」の意。
ウジヤ王の勢いに乗り、ウジヤ王の敬虔さに従い、ウジヤ王の如く善王と されるが、民は偶像礼拝にいそしみ、市中では神の教えは軽視されていた。
暴利を貪る利己主義(商人)の横行 → 正義と公正の衰退
城壁、城塞、やぐらを数多く建設。
アンモン人に勝利し、3年間、高額の朝貢を得ていた。

 

アハズ王の時代 Ⅱ列16章、Ⅱ歴28章
ハズは「彼は握っている」の意。
偶像(バアル)礼拝、人身御供など、北イスラエルに倣う。悪王。
北イスラエルのペカ王と、ダマスコのレツィン王が反アッシリヤ同盟を組むが、 アハズはその同盟入りを拒否。イザヤはこれを奨励。(イザ7:1~メシア出生預言)
ミカ書にも、イザヤ書にも、救い主の来臨に関する記述があることに注目!
イザヤの助言に従わずアッシリヤに助けを求め、難は逃れたが、アッシリヤへの 朝貢の厳しさ、偶像礼拝の強制(神殿の改築)など、かかる重圧は過酷となった。

 

ヒゼキヤ王の時代 Ⅱ列18~20章、Ⅱ歴29~32章、イザ36~39章

「主は(私の)力」という意。
律法への不従順が原因で捕囚となった北イスラエルを見て、父アハズの偶像礼拝を徹底的に排除し、政治的に反アッシリヤ姿勢となる。善王。
反アッシリヤ秘密同盟の締結のため、バビロンの使節に宝物倉をすべてを披露。イザヤはこの時、ユダがバビロン捕囚となると預言。(Ⅱ列20:12~19、イザ39章)
アッシリヤのセンナケリブ王は、反乱鎮圧のため遠征し、ユダのラキシュを占領し、ヒゼキヤはアッシリヤに朝貢するが、アッシリヤはユダを包囲。イザヤの奨励によりヒゼキヤは神に信頼し、その結果、一夜にして18万5千人が死に、撤退した。
病気となったヒゼキヤは、回復して15年の延命。(イザ38:1~9、日時計の証)

 

ウジヤ王の時代に勢力拡大は図れたが、その後アッシリヤが勢力を拡大し、ついには北イスラエルが、攻め滅ぼされる事態となる時代。
いつの時代も、リーダーの資質、見識、統率力が国家の存亡に大きく影響する。特に、アハズ王の諸行は、神の目に余る。そのような中でのメシア出生預言は、今後の厳しい道のりの表明ともとれる。
ウジヤ王が築き上げた勢力は、みるみる削ぎ落されて行く南ユダ。神への信頼が益々失墜して行くきっかけの時代。こんな時代を背景として、ミカは神の預言を語った。イザヤ、ホセアと言う二人の預言者と重なって存在していたことにも注目。

2022年08月19日