ヨエル1章1節~14節

1節:ペトエルの子ヨエルにあったのことば。

著者は、南ユダ王国の預言者ヨエル。名前の意味は「主(ヤハウェ)は神」。「エル」は神、「ヨ」はヤハウェの短縮形。彼は、自分の語る内容は主から与えられたものであると言っている。

著作時代は、ヨアシュ王の時代と考えられている。アモス書にヨエル書からの引用があり、アモス書がウジヤ王の時代に書かれていることから、ウジヤ王の前で、さらに偶像礼拝による悪が示されていないので、善王の時代であろうと言うことから、ヨアシュ王の時代に書かれたとされている。

 

2節:「長老たちよ、これを聞け。この地に住む者もみな、耳を傾けよ。このようなことが、あなたの時代に、また先祖の時代にあっただろうか。

3節:これをあなたがたの子どもたちに伝え、子どもたちはその子どもたちに、その子どもたちは後の世代に伝えよ。

4節:嚙みいなごが残した物は、いなごが食い、いなごが残した物は、バッタが食い、バッタが残した物は、その若虫が食った。

いなごの大群がユダの地を襲った。長老(老人)に声をかけているのは、これまでになかった大災害が発生したことの強調。この未体験の災害を子々孫々に伝えよ!という命令がなされている。4種類のいなごやバッタは、種類ではなく4という数字に意味がある。旧約聖書では、4という数字は破滅の激しさを象徴的に表す数字である。

 

5節:目を覚ませ、酔いどれよ。泣け。泣き叫べ。すべてぶどう酒を飲む者よ。甘いぶどう酒があなたがたの口から断たれたからだ。

いなごの襲来は穀物を食い荒らし、葡萄酒は製造不能となる。それまで気持ちよく酔っていた者たちは、大打撃を負う。

 

6節:ある国民がわたしの国に攻め上って来た。それは力強く、数え切れない。その歯は雄獅子の歯、それには雌獅子の牙がある。

その「いなご」のような異邦の民はイスラエルを攻める。力強く、数が多く、強暴。

 

7節:それはわたしのぶどうの木を荒れすたらせ、わたしのいちじくの木を木っ端にした。これを丸裸に引きむき、投げ倒し、その枝々を真っ白にした。

ぶどうの木やイチジクを再生不能にする。農産業は当時の主産業であり、それを壊滅。イスラエルの国家的破壊に見える。

 

8節:悼み悲しめ。荒布をまとったおとめが、その若いときの夫のためにするように。

9節:穀物と注ぎのささげ物はの宮から断たれ、に仕える祭司たちは喪に服す。

10節:畑は荒らされ、地も喪に服す。穀物が荒らされ、新しいぶどう酒も干上がり、油も涸れるからだ

11節:恥を見よ、農夫たち。泣き叫べ、ぶどう作りたち。小麦と大麦のために。畑の刈り入れがなくなったからだ。

12節:ぶどうの木は枯れ、いちじくの木はしおれた。ざくろも、なつめ椰子も、りんごも、野のすべての木々は枯れた。喜びが人の子らから消え去った。」

人々は若い妻が夫を亡くした時のように泣き悲しみ、祭司は主にささげる穀物や葡萄酒が無く喪に服するように嘆き悲しみ、農夫たちも収穫がなくなり恥を感じ泣き叫んでいる。

 

13節:荒布をまとって悼み悲しめ、祭司たちよ。泣き叫べ、祭壇に仕える者たちよ。私の神に仕える者たちよ、行って荒布をまとって夜を過ごせ。穀物と注ぎのささげ物があなたがたの神の宮から退けられたからだ。

14節:断食を布告し、きよめの集会を招集せよ。長老たちとこの国に住むすべての者を、あなたがたの神、の宮に集め、に向かって叫び求めよ。

ヨエルが祭司たちに、断食を布告し、きよめの集会を呼びかける。

残されたことは祈りだけ。粗布をまとい、悲しみ、泣き叫べ、夜も昼も!もう神にささげる物は何もないのだから!
断食し、長老ほか、老若男女、主の宮で、主に向かって叫び求めよ! 出来ることは、悔い改めて主に立ち返り、叫び祈ることだけだ。

 

いなごの大災害は、ユダの民にとって神の前に悔い改める機会となったが、ヨエルはこのいなごの災害をベースに将来の預言を語る。これは主の日に至る序章である。

2021年10月28日