エステル記7章1節~8章2節

1節:王とハマンは王妃エステルの宴会にやって来た。
2節:この酒宴の二日目にも、王はエステルに尋ねた。「あなたは何を願っているのか。王妃エステル。それを授けてやろう。何を望んでいるのか。王国の半分でも、それをかなえてやろう。」

・王とハマンが招かれ、エステルの2度目の宴会が始まる。
・酒宴も酣(たけなわ)、王はもう一度エステルに望みを尋ねる。
・王国の半分でも与えようというほど、彼女を愛していたことが分かる。

3節:王妃エステルは答えた。「王様。もしも私があなた様のご好意を受けることができ、また王様がよろしければ、私の願いを聞き入れて、私にいのちを与え、私の望みを聞き入れて、私の民族にもいのちを与えてください。
4節:私も私の民族も、売られて、根絶やしにされ、虐殺され、滅ぼされようとしています。私たちが男女の奴隷として売られるだけなら、私は黙っていたことでしょうが、そうはいきません。その迫害する者は、王のお受けになる損失を償うことはできないのですから。」

エステルは答える。

・私の願いとは、私の命と私の民族の命を救ってほしいということです。
・私の民族は、奴隷売買なら我慢もしますが、殲滅されようとしているのです。
「売られて」→大量の銀が王に支払われるということではないか。そうなると、王もユダヤ人殲滅に加担することとなる。
王の損失→奴隷で残すのと殲滅するのでは、生産性が違う。妃の死は、王の損失となり、世継ぎの問題にもかかわる。

5節:クセルクセス王は王妃エステルに言った。「そんなことをしようと心に企んでいる者は、いったいだれか。どこにいるのか。」
6節:エステルは言った。「迫害する者、敵とは、この悪人ハマンです。」ハマンは王と王妃の前で震え上がった。

・エステルは、その首謀者がハマンであることを王に告げた。
・心に企むだけでも許せぬほどの怒りの王。
エーッ!エステルがユダヤ人だったー!?震えあがるハマン!

7節:王は憤って酒宴の席を立ち、宮殿の園に出て行った。ハマンは王妃エステルにいのち乞いをしようとしてとどまった。王が彼にわざわいを下す決心をしたことが分かったからである。

・王は怒って席を立ち宮殿の園へ。心を落ち着けるためか、ハマンに対する処罰の検討のためか。(王の習慣・・法令や裁判に詳しい者たち7名の意見を聞く習慣。1:13~15)
王は自分の確認の甘さによる問題も感じていたかも知れない、・・この時点では、少しはお目こぼしもあったかも・・
・一方のハマンは、王の怒りが決定的と察知し、エステルに命乞いしようとした。

8節:王が宮殿の園から酒宴の広間に戻って来ると、エステルのいた長椅子の上にハマンがひれ伏していたので、王は言った。「私の前で、この家の中で王妃までも辱めようとするのか。」このことばが王の口から出るやいなや、ハマンの顔は青ざめた。

・当時の食事は、横になる姿勢でとるものであった。
・その長椅子の上に、ハマンは、エステルに命乞いのためにひれ伏していた。
・その姿が、王にはエステルを乱暴し辱めるように映った。王は大激怒する。
もう、何の恩寵も受ける余地はない。すべて裏目に出るハマン。さすがに万事休した。

「ハマンの顔は青ざめた。」が、新共同で「顔に覆いをかぶせた」となっており、英語訳でも「顔がおおわれた」となっている。第3版は「顔はおおわれた」である。⇒ギリシア、ローマでは処刑の際、殺される人物のしるしとして顔に覆いをかぶせた。ペルシアでも同じ慣習と考えられる。極刑が確定という意味!

9節:そのとき、王の前にいた宦官の一人ハルボナが言った。「ちょうど、王に良い知らせを告げたモルデカイのためにハマンが用意した、高さ五十キュビトの柱がハマンの家に立っています。」すると王は命じた。「彼をそれにかけよ。」
10節:こうしてハマンは、モルデカイのために準備しておいた柱にかけられた。それで王の憤りは収まった。

・宦官ハルボナの提案⇒あの暗殺防止したモルデカイ処刑のために、ハマンが用意した23mの柱が、ハマンの家にあります。
・王はすかさず命じた。「ハマンをその柱にかけよ!」。
・彼の処刑が終わって、王の憤りは収まった。エステルに対する愛情が明確。
ハマンは、モルデカイを掛けるために立てた柱に、自分がかけられる羽目になってしまった。妻や友人たちの言葉は、見事に成就した!妻や友人たちは、ユダヤ人を敵に回すことは危険という噂を広めることになるのでは。


8章
1節:その日、クセルクセス王は王妃エステルに、ユダヤ人を迫害する者ハマンの家を与えた。モルデカイは王の前に来た。エステルが自分と彼との関係を明かしたからである。

・ハマンが処刑されたその日、王はハマンの家をエステルに与えた。
・ハマン一家の滅亡を意味する。
・エステルは、モルデカイを王の前に連れてきた。自分との関係を説明。
モルデカイの暗殺の報告を仲介したのはエステル。エステルの親代わりであることも王に告げた。

2節:王はハマンから取り返した自分の指輪を外して、それをモルデカイに与え、エステルはモルデカイにハマンの家の管理を任せた。

・モルデカイは王から指輪を受ける。この指輪はハマンに与えたものだった。
・エステルからは、ハマンの家がモルデカイに与えられたも同然。育ての親への恩義、感謝。
ハマンの特権がモルデカイに与えられた。
ハマンの権威、地位がモルデカイに移ったことを意味する。

 

神に信頼し続ける信仰

モルデカイは、信仰により、神の教えに従って神以外には膝をかがめなかった。たとえ周囲の人がどうあろうと。

そうしたモルデカイを見て苛立ち、ユダヤ人と聞いて、先祖の恨みも含め、その民すべてを殲滅しようとする思いに縛られてしまったハマン。
ハマンはあっという間に人生を失い、モルデカイは、あっという間に王から登用されることとなる。

 

真に正しいものが神であることを知り、信頼して、従って歩むなら、決して無益な争いは発生しようがない。しかし、世の中は違う。
真の信仰者とは、そういう世の中の悲劇に向かう仕組みをよく知って、常に神の領域にいることを心掛け、むしろ世の光とならねばならない。
モルデカイは神に信頼し切った人物。その結果、彼は重用された。世界はこれからどんどん変わって行くが、どんな時も神を見失わず、共に歩んで行きましょう!

『穴を掘る者は、自分がその穴に陥り、石を転がす者は、自分の上にそれを転がす。』箴言26:27

2024年02月28日