アモス1章3節~10節

「三つの背き、四つの背きのゆえに、わたしは彼らを顧みない。」のパターンがある。

数の満ちる様を表す。裁きの預言に必ず付く冒頭文が繰り返される。

数字の完全数7ということ、3(完全)と4(無限)ということから、そのような状況にまで罪が進んでいる。

「顧みない」・・これは厳しい意味を含む。

新共同訳:決してゆるさない。 口語訳:ゆるさない。「取り消しのきかない」の意味。


3節:はこう言われる。「ダマスコの三つの背き、四つの背きのゆえに、わたしは彼らを顧みない。彼らが鉄の打穀機でギルアデを踏みにじったからだ。

4節:わたしはハザエルの家に火を送る。その火はベン・ハダドの宮殿を焼き尽くす。

5節:わたしはダマスコのかんぬきを打ち壊す。王座に着いている者をアベンの谷から、王笏を持っている者をベテ・エデンから断つ。こうしてアラムの民はキルへ捕らえ移される。―は言われる。」

ギルアデ:アラムの王ハザエルとの激戦地。当時多くのイスラエルの民が住む。特にマナセ族、ガド族など。
ハザエルの家:ハザエル王家
ベン・ハダドの宮殿:ハザエルの息子の支配時代
イスラエルは徹底的に痛めつけられた。神がアラム(ダマスコ)を用いてイスラエルを裁かれたが、アラム(ダマスコ)もその非道により裁かれることになる。

 

⁂アラムの王ハザエルについて

Ⅱ列王記8:7~15・・ダマスコ(アラム)の王の交代劇。ハザエルがベン・ハダド(1世)を暗殺。ハザエルがイスラエルを虐待することも、神がエリシャを通して示された。
Ⅱ列王記9:14~15・・北イスラエルのヨラム王とアラムのハザエル王との戦い。
Ⅱ列王記10:31~33・・ハザエルがイスラエルの全領土で彼らを打ち破る。
Ⅱ列王記13:1~7・・ハザエル、ベン・ハダド(ハザエルの子で、ベン・ハダド3世)による北イスラエルへの厳しい虐げ。一人の人・・アッシリヤの王(アダッド・ニナリ3世)がアラムを攻める。

Ⅱ列王記16:5~9・・神はアッシリヤを用いて、北イスラエル18代ペカ王の時代に、ダマスコ(アラム)を裁かれる。民は捕囚となり、キルへ移される。

 

6節:はこう言われる。「ガザの三つの背き、四つの背きのゆえに、わたしは彼らを顧みない。彼らがすべての者を捕囚の民として捕らえ移し、エドムに引き渡したからだ。

7節:わたしはガザの城壁に火を送る。その火はその宮殿を焼き尽くす。

8節:わたしは、王座に着いている者をアシュドデから、王笏を持つ者をアシュケロンから断つ。わたしはエクロンに手を向け、ペリシテ人の残った者は滅びる。―である主は言われる。」

ガザは西の沿岸地域の都市国家
ユダヤ人の奴隷売買についての言及。ペリシテ(ガザ)はユダヤ人をエドムに売って、富を得ていた。

エクロンは一時北イスラエルの領地だった。

この預言は、南ユダ ウジヤ王の時代に成就している(Ⅱ歴代誌26:6)。

神はユダヤの民に対する虐げを決して見過ごしてはおられない。
各都市の権威を滅ぼし、残っていたペリシテ人も滅ぼされる。
ダマスコと異なり、ここでは明確に「滅ぼす」と言われている。取り消しはない!

 

9節:はこう言われる。「ツロの三つの背き、四つの背きのゆえに、わたしは彼らを顧みない。彼らがすべての者を捕囚の民としてエドムに引き渡し、兄弟の契りを覚えていなかったからだ。

10節:わたしはツロの城壁に火を送る。その火はその宮殿を焼き尽くす。」

ツロ(フェニキア)の裁き
ツロは奴隷貿易の拠点。エゼ27:13
すべての者をエドムに奴隷として売った。
兄弟の契り・・兄弟契約
ダビデ:Ⅱサム5:11
ソロモン:1列5:1~18
この契約を無視している。故に、神の怒りは、ガザよりも激しいものである。


2021年12月02日