エレミヤ書1章4節~19節
4節:次のような主のことばが私にあった。
5節:「わたしは、あなたを胎内に形造る前からあなたを知り、あなたが母の胎を出る前からあなたを聖別し、国々への預言者と定めていた。」
・受胎前から、神はエレミヤを預言者と定めていた。
・単なる称号の贈与ではなく、預言者としての必要が全て与えられた。(アブラハム、モーセと同様)
・その活動は、ユダのみならず諸国に及ぶ。(46~51章:諸国への預言)
6節:私は言った。「ああ、神、主よ、ご覧ください。私はまだ若くて、どう語ってよいか分かりません。」
・エレミヤの応答・・若い私には無理!→人前で語るには不十分です!
・「若い」・・経験が浅いという感覚がある。
・エレミヤは、預言を語るには、周囲の人を説得するというようなスキルが必要と思っていたのではないか。
※エレミヤの召命の年齢は13~14歳など諸説あるが、25歳ぐらいと考えられる。
7節:主は私に言われた。「まだ若い、と言うな。わたしがあなたを遣わすすべてのところへ行き、わたしがあなたに命じるすべてのことを語れ。
・神はこの応答を却下!遣わす全ての所で、命じる言葉を語れ!と言われる。
・預言者に経験は不要。神の言葉を繰り返し伝えるのがその責務である。必要なのは忠実さ!
8節:彼らの顔を恐れるな。わたしがあなたとともにいて、あなたを救い出すからだ。──主のことば。」
・神はエレミヤの心の中に、周囲の人々への恐れを見ている。
・神は「救い出す」と言っている。つまり「何らかの厳しい状態があっても、必ず救う!」と言っている。
・アブラハム(創15:1)、モーセ(民21:34)、ダニエル(10:12)に同じような内容のことばを与えている。
9節:そのとき主は御手を伸ばし、私の口に触れられた。主は私に言われた。「見よ、わたしは、わたしのことばをあなたの口に与えた。
・エレミヤの口に神が触れられ、「わたしのことばをあなたの口に与えた」と言われた。
・エレミヤは、預言者のことばは神から来るものと確信した。
・エレミヤは、その実体験から、預言者としての不安が全て取り除かれたであろう。
10節:見なさい。わたしは今日、あなたを諸国の民と王国の上に任命する。引き抜き、引き倒し、滅ぼし、壊し、建て、また植えるために。」
・神は改めてエレミヤをユダと諸国の預言者として正式任命し、また任務を示した。
破壊のメッセージの預言と回復のメッセージの預言をユダ、そして諸国に示し、それが成就する。
11節:主のことばが私にあった。「エレミヤ、あなたは何を見ているのか。」私は言った。「アーモンドの枝を見ています。」
12節:すると主は私に言われた。「あなたの見たとおりだ。わたしは、わたしのことばを実現しようと見張っている。」
・アーモンドの木の枝→「(ヘ)シャケイド(shawkade)」 (言葉遊び…掛けことば)
動詞shawkad「 見る、見張る、見守る、起きている」の派生語。
・何を見ているのか?→アーモンドの木の枝 →アーモンドは冬からの目覚めを示す木。速やかさの象徴。
・「エレミヤよ、あなたの預言は神がしっかりと見張る。その預言は速やかに成就する。」
※エレミヤは近未来預言(バビロン捕囚)が実現してそれを体験。→ 遠未来預言の成就も確信できることになる。
アーモンドの木:
1.アロンの杖(民17:8)
2.メノラーのデザイン(出25章)
3.白髪になる事(伝12:5)
13節:再び主のことばが私にあった。「あなたは何を見ているのか。」私は言った。「煮え立った釜を見ています。それは北からこちらに傾いています。」
14節:すると主は私に言われた。「わざわいが北から、この地の全住民の上に降りかかる。
・何を見ているのか?→煮え立った釜が北からこちら(南側)に向かって傾き、中身が流れ出している。
・神のユダに対する厳しい裁きで、それは北からくる。(この時点で、どの国かは不明)
確実な神の裁きの告知。
15節:今わたしは、北のすべての王国の民に呼びかけている。──主のことば──彼らはやって来て、エルサレムの門の入り口で、周囲のすべての城壁とユダのすべての町に向かいそれぞれ王座を設ける。
・「呼びかけている」・・・神はこの時点ですでに裁きの準備を進めている。
・北の連携する諸国をエルサレムの門の入り口に集め、城壁とユダすべての町に対して王座を設けさせる。
・ユダの権利が全て失われていることが示されている。→ユダ王国の滅亡を意味する。(釜の内容)
16節:わたしは、この地の全住民の悪に対してことごとくさばきを下す。彼らがわたしを捨てて、ほかの神々に犠牲を供え、自分の手で造った物を拝んだからだ。
・裁きの理由が示されている。→偶像礼拝の罪(マナセ王の罪の結果)
・邪悪さ・・①自分たちの神の放棄、②他の神へのいけにえ献上、③偶像の製作と崇拝
・「さばきを下す」 は、「わたしは、わたしの裁きを宣告する」と書かれているもので、エレミヤ独特の表現。
〇アーモンドの木の幻→エレミヤの任務を命じている。その預言は神に見守られ、速やかに成就する。
〇煮え立った釜→来たるべき裁きのヒント。これから語られる預言の概略を示している。
17節:さあ、あなたは腰に帯を締めて立ち上がり、わたしがあなたに命じるすべてのことを語れ。彼らの顔におびえるな。さもないと、わたしがあなたを彼らの顔の前でおびえさせる。
・「さあ、・・・語れ!」 と励まし、背中を押す神のみことば。覚悟を決めて、立ち上がり、神の預言を語れ!
・反対圧力に負けるな!もし負けるなら、神があなたを敵の前でおびえさせる!8節の約束を信じて歩め!
18節:見よ。わたしは今日、あなたを全地に対して、ユダの王たち、首長たち、祭司たち、民衆に対して要塞の町、鉄の柱、青銅の城壁とする。
・神の宣言の成就。すでにエレミヤは無敵、鉄壁の要塞となっている。
・攻め立てる人々とは、ユダの人々→王たち、首長たち、祭司たち、民衆を指す。
攻撃例→エレ36:26、38:1~13、26:1~24、11:21~23
19節:彼らはあなたと戦っても、あなたに勝てない。わたしがあなたとともにいて、──主のことば──あなたを救い出すからだ。」
・神の保証・・わたしがともにいて、あなたを救い出す。
・エレミヤは殉教という死を迎えることは無いことの約束。
・エレミヤは確かに、多大な攻撃を受けることになる。しかし、エレミヤが負けることは無い。
・神が共にいてくださるという事は、そういう事である。従ってエレミヤは、最後は老齢で死ぬことを示している。
私たちの任務(クリスチャンとしての召命)
・エレミヤは、およそ25歳ぐらいの時、神から預言者として召しを受けました。彼は彼なりに預言者の定義を持っていましたが、それは神に、見事に却下されました。
・私たちも、外見からこういう職業にはこういう能力が必要!、とか、これをやるにはこんなことが出来なければならない!、というような定義付けをしてしまいます。世的な考えです。
・神のしもべとして働く者は、神の仰せに素直に従うことが優先されます。神は私たちの良い点も悪い点もすべて、行動も結果もすべてご存じの上で用いてくださるのです。
・新約時代の私たちへの神の期待は、神の子として相応しく生きることです。救われたということは、その期待に素直に喜びをもって応答し、新たな人生を歩むということ。これが私たちの基本的任務ではないでしょうか。
「それは、あなたがたが、非難されるところのない純真な者となり、また、曲がった邪悪な世代のただ中にあって傷のない神の子どもとなり、いのちのことばをしっかりと握り、 彼らの間で世の光として輝くためです。・・・・・・・」 ピリピ2章15~16節より