ネヘミヤ記4章1節~23節

1節:サンバラテは私たちが城壁を築き直していることを聞くと、怒り、非常に憤慨して、ユダヤ人たちを嘲った。

2節:彼はその同胞とサマリアの有力者たちの前で言った。「この哀れなユダヤ人たちは、いったい何をしているのか。あれを修復して、いけにえを献げようというのか。焼けてしまった石を瓦礫の山の中から拾って、生き返らせようというのか。」

・再建を妨害するホロン人サンバラテ。彼はサマリヤの総督(エジプトで発見されたパピルスに名がある)
・サマリヤは、様々な形で妨害を工作する。神殿の時は擦り寄り、断られるという一件がある。
・城壁再建が始まり、サマリヤ人や有力者(新共同:兵士)たちはイスラエルの民への嘲りを語る。
・「修復して神をたたえようというのか?そんなことできるわけがない!」→神を蔑ろにしていることば!

 

3節:彼のそばには、アンモン人トビヤがいて、彼も「彼らが築き直している城壁など、狐が一匹上っただけで、その石垣を崩してしまうだろう」と言った。

仲間のアンモン人トビヤも、再建を小馬鹿にして嘲る。
・「簡単に崩れてしまうに違いない!」。

神殿は出来ても、城壁再建がイスラエルの民に出来る訳がないと踏んでいる
エルサレム、そしてイスラエルの民は相当に恥を受けている状態であると推察できる

4節:「お聞きください、私たちの神よ。私たちは軽蔑されています。彼らの侮辱を彼ら自身の頭上に返し、彼らが捕囚の地でかすめ奪われるようにしてください。

5節:彼らの咎をおおい隠すことなく、彼らの罪を御前から消し去らないでください。彼らが、建て直している者たちを憤慨させたからです。」

・妨害者の情報が入って来る度に、ネヘミヤは、常に神への祈りを絶やさない。
  ①神に信頼する民を軽蔑する者→これは神を軽蔑し、侮辱する事に等しい。
  ②従って、私たちがかつて受けたバビロン捕囚と同様の裁きに値する状態と判断!
  ③この嘲りは、決して見逃されてはならない事です。
・ネヘミヤは、単に敵の滅びではなく、神を嘲る者への適正な裁きを神に委ねている事に注目!

 

6節:こうして私たちは城壁を築き直し、城壁はすべて、その半分の高さまでつなぎ合わされた。民に働く気があったからである。

・工事は順調に、急速に進み、短時間でおよそ半分の高さまで城壁が繋がった。
・6:15の52日間の完成から逆算すると、約4週間が過ぎたころと解説。(中川先生)
・その原動力は、民の働く気持ち・・ネヘミヤと神の民のアイデンティティ + ネヘミヤの計画と統率力。

常に城壁の全体が、毎日修復されて行く光景は、イスラエルの民の力を表している!

7節:サンバラテ、トビヤ、アラブ人、アンモン人、アシュドデ人たちは、エルサレムの城壁の修復がはかどり、割れ目もふさがり始めたことを聞いたとき、激しく怒り、

8節:皆でエルサレムに攻め入って混乱を起こそうと、陰謀を企てた。

・サンバラテ、トビヤ(北)、アラブ人(東)、アンモン人(南)、アシュドデ人たち

(西)。反ユダヤ主義者たち。➡四方が敵という状態にある!

・再建の急速な進展は、彼らを妨害の実力行使へと駆り立て、計画を始めた。(サタンは見えぬところで働く)
敵の目には、放っておけないと思えるような、再建の進捗状況!

9節:そこで私たちは、私たちの神に祈り、彼らに備えて昼も夜も見張りを置いた。

10節:ユダの人々は言った。「荷を担ぐ者の力は弱り、瓦礫は山をなしている。城壁を築き直すことなど、私たちにできはしない。」

・ネヘミヤ、そして民は神に祈り、昼夜を問わず見張りを置いた。(再建作業に負担が増す)
・ユダの人々にとっては、負担ばかりが増すばかりで、再建は無理とまで思っている状況。見る者の立場により、光景は違って映る

はじめは勢いがあり、物事に取り組むも、肉体的にピークが来ると、初めの達成意欲は萎えてしまい、何事もネガティブな発想になってしまうことはありませんか?そんな時に、更にネガティブになるような情報が入って来るものです。

11節:私たちの敵は言った。「彼らが気づかないうちに、見つけないうちに、彼らの真ん中に入り込み、彼らを殺して、その工事をやめさせよう。」

12節:そのため、彼らの近くに住んでいたユダヤ人たちはやって来て、四方八方から十回も私たちに言った。「私たちのところに戻って来てください。」

・敵はそんな弱気のイスラエルの民を揺さぶるかのように、内部攪乱情報をぶちまける。(常套手段)
・「内部にスパイを侵入させ、人々を殺し、再建計画をぶち壊す!」
・新約時代・・使徒20:29~30・・内部に入り込む異端による情報操作・・破壊工作。
・エルサレムの周囲に住む、城壁再建に従事する者の家族を、大いに混乱させた。
・「早く戻って来て!」と執拗に求める背後に、敵の情報操作の激しさが見える。

マタイ14:25~33 ペテロの湖上の歩みの失敗
イエス様は、「何故、疑ったのか?」と、諫めるように質問される。

はじめは良かったのに!
既に私たちは神の子であることを疑ってはいけない!ただしい方向を見上げ、どんな時も、私たちを良き方向へと導かれる主に信頼した歩みを目指しましょう!

13節:そこで私は、民をその家族ごとに、城壁のうしろの低い場所の空地に、剣や槍や弓を持たせて配置した。

14節:私は彼らの様子を見て立ち上がり、有力者たちや代表者たち、およびその他の人たちに言った。「彼らを恐れてはならない。大いなる恐るべき主を覚え、自分たちの兄弟、息子、娘、妻、また家のために戦いなさい。

・英語訳を参考に、ネヘミヤの対策を考察。
・すぐに対策を打つネヘミヤ・・家族を置いて働く人々を、一時的に配置換えする!
  ①城壁の低い所、高い所、開かれた場所・・全体の東側、中枢部近辺を警備し、強固   にする。
  ②置いてきた周囲の家族の元に派遣し、家族を守らせる警護団を配備した。
  ③代表者・有力者に、敵を恐れず、神を恐れ、家族を守るために戦闘態勢を取れ!と   命じた。

ネヘミヤはこれをすぐに実行した。敵は、その用意周到さと本気度にたじろいだと思われる。

 

15節:私たちの敵が、自分たちの企みが私たちに悟られたこと、神がそれを打ち壊されたことを聞いたとき、私たちはみな城壁に戻り、それぞれ自分の工事に当たった。

・敵は自らの思いが先読みされ、情報攪乱の失敗を自覚。
・これは、神が打ち砕いてくださったことと、皆が口にしている。
・皆、城壁の担当箇所に戻り、工事を再開した。

事前準備が行き届き、その迅速な対応力が敵を意気消沈させた!

16節:その日以来、私の配下の若い者の半分は工事を続け、もう半分は、槍、盾、弓、よろいで身を固めていた。隊長たちがユダの全家を守った。

17節:城壁を築く者たち、荷を担いで運ぶ者たちは、片手で仕事をし、片手に投げ槍を握っていた。

18節:築く者はそれぞれ剣を腰にして築き、角笛を吹き鳴らす者は私のそばにいた。

・その日から、工事スタイルが変化。(隙のない態勢)
  ①若者の半分は再建工事。
  ②若者の半分は武装し、戦いの専門家(隊長)が、ユダ・・つまり周囲の住民たちを巡回警護。
  ③荷の運搬係は、いつもや槍を携行し、臨戦態勢。
  ④建築係は腰に剣を帯びて、臨戦態勢。
  ⑤ネヘミヤのそばには角笛を鳴らす者(連絡、指示)が帯同していた。


19節:私は有力者たち、代表者たち、およびそのほかの人々に言った。「この工事は大きく、また範囲は広い。私たちは城壁の上で互いに遠く離れ離れになっている。

20節:どこででも、角笛が鳴るのを聞いたら、私たちのところに集まって来なさい。私たちの神が私たちのために戦ってくださるのだ。」

・連絡網を充実させると共に、角笛(祭司)の働きは、神との一体感、神の民の自覚を持たせる。
・指揮系統に抜かりが無い事を、周囲の敵に示すことになる。(勿論、周辺のイスラエル人へも)
・常にネヘミヤのとる行動は、神との一体感・霊的成長であり、民が体力的に厳しい時こそ価値が出る。

 

21節:こうして私たちはこの工事を進めたが、その半分の者は、夜明けから星が現れるまで槍を手にしていた。

22節:そのときまた、私は民に言った。「それぞれ自分の配下の若い者と一緒に、エルサレムの内側で夜を明かすようにしなさい。そうすれば、夜には見張りがいて、昼には働くことができる。」

・工事の半分の者たちは、朝から夜まで周辺警護に出ていた。
  →敵への警戒と共に、家族の心配を払拭し、且つ共有意識を保つ狙い。
・ネヘミヤは彼らに、夜は守られている城壁内で休むことを提案した。夜の城壁の警備は別。
・リーダーが導き、皆が協力し合い、労力を惜しまず、目標に向かって益々邁進した。

23節:私も、私の親類の者も、私の配下の若い者たちも、私を守る見張りの人々も、私たちの中のだれも服を脱がず、水場でもそれぞれ投げ槍を持っていた。

・城壁は52日で再建(6:15)されたとされているが、短期間とは言え、その集中度は半端ない!
・再建も後半になれば敵の攻撃にも備えなければならず、人手は減るし、体力は限界に近い。
・しかし、彼らはひるむことがない。その理由は、民に神の民としての自覚が芽生えてきたから。

 

ネヘミヤと民の一体感

常に予想される問題点を想定して、その対策を準備していたネヘミヤ
・四方の敵をよく分析し、どのような手段で攻撃してくるかを想定していたネヘミヤ。(用意周到)
・そうでなければ、短時間に再建工事が成し遂げられることは難しい。
・しかし、ネヘミヤは、すべては神の最終的な導きと認識し、おごることがない。(4:15)
・自らも働き、戦う民と同様のポジションにあり、結果、自然にリーダーと民との一体感が生まれる。


次第に成長して行く神の民(アイデンティティの確立
・はじめは意気揚々と歩み始めるも、何か問題が起こるとつい、世の中を見てしまう民。
・しかし、民はネヘミヤを見て、神に信頼し、それが確信に繋がり、どんどん神の民へと変わって行く。
・周辺を敵に囲まれながらも、次第に神への信仰心と知恵が増し加わり、霊的な成長が見て取れる。
ネヘミヤの導きの根底には、神と民との正しい関係構築があった
全ての基本は心の状態、すなわち信仰心であり、私たちも同様である。

2023年09月28日