エステル記4章5節~17節

5節:エステルは、王の宦官の一人で、王が彼女に仕えさせるために任命していたハタクを呼び寄せ、モルデカイのところへ行って、これはどういうわけか、また何のためかと聞いて来るように命じた。
6節:ハタクは王の門の前の、町の広場にいるモルデカイのところに出て行った。

・エステルはモルデカイの意図を察し、最も信頼のおける宦官ハタクを遣わした。
・ハタクはモルデカイに会い、その話を聞いた。

7節:モルデカイは自分の身に起こったことをすべて彼に告げ、ハマンがユダヤ人を滅ぼすために王の宝物庫に納めると約束した、正確な金額も告げた。
8節:また、ユダヤ人を根絶やしにするためにスサで発布された法令の文書の写しを彼に渡した。それは、エステルに見せて事情を知らせ、そして彼女が王のところに行って、自分の民族のために王からのあわれみを乞い求めるように、彼女に命じるためであった。
9節:ハタクは帰って来て、モルデカイの伝言をエステルに告げた。

・ハマンとの因縁を語り、またハマンの提供する金額も告げ、法令文書の写しも提示した 。エステルは事件の概略は知っていたが、詳しい事情を知らなかったのだろう。
・それは、モルデカイがエステルに、王から憐みを求めることを命じるためであった。

 ユダヤの民の殲滅はないが、自分たちのことはわからない。だからこそ、自分たちがで きることをしようと、モルデカイは考えた。娘エステルが王妃となったのも神の摂理と 考えて・・。
・ハタクはその伝言をエステルに告げた。

10節:エステルはハタクに命じて、モルデカイにこう伝えた。
11節:「王の家臣たちも王の諸州の民も、だれでも知っているように、召されないのに奥の中庭に入って王のところに行く者は、男でも女でも死刑に処せられるという法令があります。ただし、王がその人に金の笏を差し伸ばせば、その人は生きながらえます。私はこの三十日間、まだ王のところへ行くようにと召されていません。」
12節:彼がエステルのことばをモルデカイに告げると、

・エステルの返信→召されていないのに、王がいる奥の中庭に入ると、だれでも死刑。   (暗殺の防止策
・しかし、王が金の笏を伸ばせば死刑は免れる。
・エステルは、この召しを30日間受けていない状態にある。➡王の心(気分)次第!
今のところそのチャンスは来ていません。何かほかに手立てはないでしょうか?⇦これが人の力で何とかしようとする姿勢!エステルはモルデカイの言うことが、親子関係から来る要請と受け取っていたかもしれない。しかし、モルデカイの目線は違っていた!
・エステルはこの内容をハタクに伝え、ハタクはモルデカイに伝えた。

13節:モルデカイはエステルに返事を送って言った。「あなたは、すべてのユダヤ人から離れて王宮にいるので助かるだろう、と考えてはいけない。
14節:もし、あなたがこのようなときに沈黙を守るなら、別のところから助けと救いがユダヤ人のために起こるだろう。しかし、あなたも、あなたの父の家も滅びるだろう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、このような時のためかもしれない。」

・王宮に居て、その時が来ても自分の命は助かるし、・・・などと考えてはいけない。
・ユダヤ人から離れて・・新共同:他のユダヤ人はどうであれ・・

  気持ちがユダヤ人と離れているともとれる厳しい言葉。一体感がない。
・あなたの行動に関わらず、神は何らかの方法でユダヤの民を救われる。(モルデカイの確信)
・あなたとあなたの父(モルデカイ)の家はその時、滅ぼされるだろう。
・エステルが妃になったのは、このような時のためではないのか?

モルデカイの言葉で、エステルに神の民としての使命感が目覚めた!

                 ↘王に優る神の存在、そしてその民!

祝福されていると同時に、その役割が与えられている。

気付きが促され、悟ったエステル!


15節:エステルはモルデカイに返事を送って言った。
16節:「行って、スサにいるユダヤ人をみな集め、私のために断食してください。三日三晩、食べたり飲んだりしないようにしてください。私も私の侍女たちも、同じように断食します。そのようにしたうえで、法令に背くことですが、私は王のところへ参ります。私は、死ななければならないのでしたら死にます。」

・返事にどれほどの時間がかかっただろう。十分に悔い改めていることは間違いない。
・モルデカイに返信した内容は断食の要請。
・スサの全イスラエルの民へ、エステルを支えるための断食の要請。
・エステルもその侍女たちも同様で、断食期間は三日三晩。(考える時間)
・法令違反してでも、王に会いに行く決意と覚悟。(神に委ねる姿勢)

断食に祈りが含まれていることは察しが付く。ユダヤの民として一致し、連帯感を持ち、且つ、自らもユダヤの民であることを大いに自覚した。

17節:モルデカイは出て行って、エステルが彼に頼んだとおりにした。

・モルデカイはエステルの要請を受けてスサに戻り、その通りにした。

 

捕囚の民として生きる弊害

私たちへの提言
捕囚下にあるユダヤ人のアイデンティティの変化。 
・モルデカイは忠実に神に信頼し、できる限り神に従おうとしたのではないか。
・一方エステルは、律法よりも、ペルシアの法令遵守の傾向が強かったのではないか。
エステルは特に恵まれた環境にあり、女性としては異邦人世界でトップ。
他のユダヤ人も、異邦人と繋がることで、商売などの利得を得ていたと考えられる。

その結果、民の意識は益々、形骸化の一途ではなかったか。
捕囚されておよそ100年。現在の100年前は大正時代→第一次大戦
断食の要請は、エステル自身も含め、ユダヤの民の意識に変化を与えた。 
・皆が神に向かい、一致団結し調和して向かう姿勢は、彼らのアイデンティティを回復させた。
この繋がりは、いつの時代も重要なテーマであり、現代でも一致し、調和して、集い、学び、実践することが、神の期待であることを認識しよう!

 

教会の存在意義

エステルは、モルデカイに目が向き、次にペルシア王に目が向いていたのではないか。

モルデカイは、神に信頼し、神に目が向いていた人物。ここにエステルとの信仰の一致が見られなかった。
エステルはモルデカイに目が開かれ、本当に恐れるべきは神であることを悟った。
私たちは、創造主である神の存在を知る者である。万物の創造主は、最高権威者でり、すべては神の御心のままになることを知っている。
しかし、目先のことに目が奪われ、いつの間にか自分の思いが優先し、この地での祝福を最優先してしまってはいないだろうか?
こうした過ちに陥らないためにも、教会は神を見上げて一致して歩むために愛をもって教えあい、励ましあい、皆の聖化のプロセスを進展させて行きます。

『謙遜と柔和の限りを尽くし、寛容を示し、愛をもって互いに耐え忍び、
  平和の絆で結ばれて、御霊による一致を熱心に保ちなさい。』 エペソ4:2~3


2024年02月08日