哀歌4章1節~22節
4章の構成
a)包囲状況
・包囲戦の影響:1~10節
b)裁きの原因、希望の崩壊、エドムの裁き
・裁きの原因:11~16節
・希望の崩壊:17~20節
・エドムの裁き:21~22節
1節:ああ、金は黒ずみ、美しい黄金は色あせ、聖なる石は、道端のいたるところに投げ捨てられている。
א「aleph」
アクロスティックワード:eichah 、ake 「ああ」 不平、驚き、困惑した悲嘆の思い。
※「黄金、聖なる石」・・人々の比喩。神殿崩壊前は、その内外部に金が多かった。
※しかし、食糧がなくなるとそれらは価値を失う。腹は膨れない。
2節:高価であり、純金で値踏みされるシオンの子らが、ああ、土の壺、陶器師の手のわざと見なされている。
ב「bet」
アクロスティックワード:b’nei 「息子たち」
※かつては最高品質の金。
※それが、土の壺ほどの価値もない。
3節:ジャッカルさえも乳房をふくませて、その子に乳を飲ませる。しかし、娘である私の民は、荒野のだちょうのように無慈悲となった。
ג「gimmel」
アクロスティックワード:gam 「~さえ」
※獰猛なジャッカルさえ、子に乳を与えるが、ユダの民はそうではなかった。
※「娘」・・ユダ全員。彼らが「ダチョウ」のようになった。
・ダチョウは強靭な足の爪で卵を割ってしまう。→無慈悲な行為に似るユダの母親。
4節:乳飲み子の舌は渇いて上あごにへばり付き、幼子たちがパンを求めても、割いてやる者もいない。
ד「dalet」
アクロスティックワード:davak 「くっつく」
※舌が上あごにへばりつくほどの喉の渇き。母親は子に乳を与えられず、町に水はない。
※幼子に与えるパンがなく、与える人もいない。ユダの民が飢饉により変貌する様子。
5節:ごちそうを食べていた者たちは街頭で痩せ衰え、緋色の衣で育てられた者たちは堆肥をかき集めるようになった。
ה「hey」
アクロスティックワード:ha’ochlim 「食べていた者たち」
※かつて豪華な食事をしていた者たちは、食糧を探して街をさまよっている。
※裕福だった人々が、動物の排せつ物に身を寄せる異様な光景。
※落差の激しさを示している。
6節:娘である私の民の咎はソドムの罪よりも大きかった。人の手によらずに、一瞬で崩壊したソドムより。
ו「vav」
アクロスティックワード:vay’yigdal 「そしてより大きい」
※飢饉の原因はユダの民の不義。ソドムの罪より重い。エゼ16:48~50
※ソドムは一瞬で裁かれたが、ユダの裁きは破壊の苦しみを経験するものであった。
<創世記14章より>
アブラハムは神を信頼していたため、サレムの王メルキゼデクが彼を最高の敬意で扱った。その時ソドムは、不義によって統治していた。その後、時が経過し、そのイスラエルの道徳水準は低下してソドム以下となり、バビロンによって裁かれた。しかし、無条件契約により、イスラエルの民の滅びは免れた。
7節:その聖別された者たちは雪よりも清く、乳よりも白かった。そのからだは珊瑚よりも赤く、容姿はサファイアのようであった。
ז「zayin」
アクロスティックワード:zaku 「より純粋であった」
※「聖別された者たち」・・一般的には「貴族」。フルクテンバウム博士によると、ここではナジル人を指しているとのこと。
・ナジル人(民6:1~21)①男女とも参加可能、②期間限定、③ある制限あり、④犠牲をもって終了
※彼らは光り輝いていた。
8節:しかし、彼らの顔はすすより黒くなり、街頭でもそれと分からない。彼らの皮膚は干からびて骨に付き、乾いて木のようになった。
ח「chet」
アクロスティックワード:chashach 「より黒い」
※人々の極度の飢餓状態が描写されている。
9節:剣で殺される人は、飢えで殺される者たちより幸せであった。その者たちは、畑の実りがないために、痩せ衰えて死んでいった。
ט「tet」
アクロスティックワード:tovin 「より良い」
※「剣の死」・・即死 ⇔「飢餓の死」・・苦しみ衰弱して死んでゆく
※後半の訳は難解。→「彼らは貫かれたために流れ出た」とも解釈できる。
10節:あわれみ深い女たちが、自分の手で自分の子を煮た。娘である私の民が破滅したとき、それが彼女たちの食物となった。
י「yod」
アクロスティックワード:yedei 「~の手」
※母親は自分が生き延びるために自分の手で自分の子を食べる光景。
※飢餓がユダの民を残酷へと誘う。
11節:主は憤りを出し尽くし、燃える怒りを注ぎ出された。主はシオンに火を放ち、火はその礎を焼き尽くした。
כ「kaph」
アクロスティックワード:(ヘ)kila 「成し遂げた」
※民に対する神の怒りの集大成がなされた。
※ユダ、エルサレムが神の怒りを受けたことを結論付けた。
12節:地の王たちは信じていなかった。世界に住むすべての者も。仇や敵がエルサレムの門に入って来るとは。
ל「lamed」
アクロスティックワード:lo, 「無」
※ユダヤ人を含む世界のすべての人々は、エルサレムが征服されるのを見て驚いた。
※かつて神はアッシリヤからエルサレムを守られたが、バビロンが攻め入り住民を苦しめた。
13節:これはその預言者たちの罪、祭司たちの咎のためである。彼らは、その町のただ中で、正しい人たちの血を流した。
מ「mem」
アクロスティックワード:meichatot 「罪のために」
※ユダの裁きの原因の一つは、偽預言者、偽祭司の不忠実。
※彼らは民を偶像礼拝に導き、エレミヤの殺害を謀り、偶像に命の犠牲を捧げさせた。
※エレミヤ7:29~34、32:31~36
14節:彼らは血で汚れ、目の見えない人のように街頭をさまよい、だれも彼らの衣に触れることはできなかった。
נ「nun」
アクロスティックワード:nau 「彼らはさまよう」
※「彼らは血で汚れ」・・モレク神への命の犠牲→不浄な者たち。民35:33~34
※彼らの衣服に触れれば不浄になるとして、結局、追放者として扱われる。
15節:「向こうへ行け。汚れた者」と人々は彼らに叫ぶ。「向こうへ行け。向こうへ行け。さわるな。」彼らは、立ち去って、なおもさまよい歩く。国々の中で人々は言う。「彼らは二度とここに寄留してはならない」と。
ס「samek」
アクロスティックワード:suru 「去れ」
※ツァラアトに冒された者のように扱われる偽預言者、偽祭司。
※彼らはさまよい、異邦人の地で避難所を求めても、悪い評判により追い出される。
16節:主ご自身が彼らを散らされた。もう彼らに目を留められることはない。祭司たちは尊ばれず、長老たちは敬われなかった。
פ「pey」→peyとayinが逆転
アクロスティックワード:pnei 「顔」、「存在」
※神は偽物たちから顔を背け、彼らを離散させた。
※彼らが尊敬されることはない。
17節:そのうえ、私たちの目は衰えていき、助けを求めたが、空しかった。私たちは、救いをもたらさない国に期待をかけ、見張り場で見張りをしたのだ。
ע「ayin」
アクロスティックワード: odeinah 「まだ、その上」
※「国に期待をかけ」・・ゼデキヤ王はエジプトに希望を置いた。
※イザヤ、エレミヤ、エゼキエルはエジプトに信頼しないよう告げていた。
→イザヤ36:6、エレミヤ37:6~10、エゼキエル29:6~7
※耳を貸さず、エルサレム滅亡の直前に、自分たちの希望のむなしさに気付く。
18節:私たちの歩みはつけ狙われて、広場を歩くこともできなかった。私たちの終わりは近づいた。私たちの日は満ちた。私たちの終わりが来たのだ。
צ「tzadi」
アクロスティックワード:tzadu 「彼らは狩る」
※ネブカドネツァル王は、進撃の後の生存者追跡の兵を送り、人々は死を覚悟した。
19節:私たちを追う者たちは、大空の鷲よりも速かった。山々の上まで追い迫り、荒野で私たちを待ち伏せした。
ק「koph」
アクロスティックワード:kalim 「より速い」
※追跡兵の速さは天の鷲よりも速い。
※高い山々で追跡され、荒野では、彼らは待ち伏せている。
20節:私たちの鼻の息、主に油注がれた者が、彼らの落とし穴で捕らえられた。私たちは「この方の陰なら、国々の中でも生き延びられる」と思っていた。
ר「resh」
アクロスティックワード:ruach 「息」
※鼻の息・・いのちを与えられるという表現。
※「油注がれた者」・・ゼデキヤ王を指す。(サウル王・・Ⅰサム 24:6)
※最後のダビデ王朝に連なるゼデキヤ王は捕えられ、希望は消え去った。
21節:ウツの地に住む娘エドムよ、楽しみ喜べ。だが、あなたにも杯は巡って来る。あなたは酔って自分の裸をさらす。
ש「shin」
アクロスティックワード:sisi 「喜ぶ」
※エドムに喜べと命じる。しかし、ずっと喜べるわけではない。皮肉である。
・エドムはBC587~BC586年にバビロンと連合し、エルサレム破壊に加担した。
→詩137:1~7、エレミヤ49:7~22
※神の怒りの杯がエドムに渡され、その杯に酔わされる。→裁かれることになる。
22節:娘シオンよ、あなたへの刑罰は果たされた。主はもう、あなたを捕らえ移すことはなさらない。だが、娘エドムよ、主はあなたの咎を罰し、あなたの罪を暴かれる。
ת「tav」
アクロスティックワード:tam 「成し遂げられた」
※エレミヤは、エルサレムの罪の罰は果たされ、二度と追放はないと宣言。
・この宣言は、今回の罪ではなく、メシア的王国に備えたイスラエルの回復の未来。
※イスラエルの最終的回復の後、エドムは罪を明らかにされ、裁かれる。
・エドムに関する預言書→オバデヤ(5~9節、17~21節)、イザヤ(34:1~17)、エレミヤ(49:7~22)、エゼキエル(25:12~14)、ヨエル(3:19)、アモス(1:11~12)
※エドムは、燃える硫黄の地、悪霊の住む地となる→きわめて不名誉な扱い。
※エレミヤ時代、エドムは喜んでいるが、将来エドムは永遠に罰せられ、ユダは回復されるという対比になっている。
『たとえ貧者と言われても』
・いま、エドムは喜びに満ちている。一方のエルサレムはどん底状態。しかし、神は必ずイスラエルの民を回復させ、エドムは絶望の淵に落される。エレミヤは将来の祝福を民に告げた。
・さて、今の世に目を転じると、大半の人々は富や地位を第1に追い求めて生きる。クリスチャンはこの世の富や地位に心奪われずに歩む事を第1とする。優先順位は神なのだ。
・神は、地上の人々を富や地位で判断しない。その人の信仰にご興味がある。地上の幸いは一時的な幸い。それは必ず朽ちる。朽ちない幸いとは、次に来る神の御国にある。
・地上は死後の世界を隠す。終に行くところは苦しみの世界。我々は未来を学び、地上で貧者と言われても気に留めず、備えられた幸いを確信して、将来に希望を持って歩みましょう。
「私の愛する兄弟たち、よく聞きなさい。神は、この世の貧しい人たちを選んで信仰に富む者とし、神を愛する者に約束された御国を受け継ぐ者とされたではありませんか。」
ヤコブ 2章5節