哀歌2章1節~22節

2章の構成

a) 神の憤り
・神がなさったこと:1~8節
・神がなさったことの結果:9~10節
b) 悲劇とエルサレムの嘆願
・飢饉の結果と偽預言者たち:11~14節
・敵の嘲笑:15~16節
・神の勅令とエルサレムの嘆願:17~22節

 

1節:ああ、主は娘シオンを御怒りの雲でおおい、イスラエルの栄えを天から地に投げ落とし、御怒りの日に、ご自分の足台を思い出されなかった。

 א「aleph」

アクロスティックワード:eichah 、ake 「ああ」不平、驚き、困惑した悲嘆の思い。
※神はイスラエルを天から地に投げ落とし、かつての栄光を破壊した。
※「足台」・・契約の箱(Ⅰ歴28:2、詩132:7)が破壊された。
※足台→神殿とする説もある。

2節:ヤコブのすべての住まいを主は吞み込み、容赦なさらなかった。憤って娘ユダの要塞を打ち壊し、地に打ち倒して、王国とその首長たちを汚された。

 ב「bet」

アクロスティックワード:bila 「飲み込んだ」 
※神の容赦のないユダの破壊。あっという間の惨劇。
※すべての住居、要塞の破壊は、上層部から民まで全員が対象ということ。

3節:燃える怒りをもって、イスラエルのすべての角を折り、敵の前で右の手を引き戻し、あたりを焼き尽くす炎のように、ヤコブを焼かれた。

 ג「gimmel」

アクロスティックワード:gada 「切り取った」・・角を折り
※「角」・・権力、強さの象徴。
※神はユダの力を削ぎ、さらにその右の手を敵の前で引いた。→敵の圧倒的破壊。

4節:主は敵のようにして、弓を引き絞り、はむかう者のようにして、右の手でしっかり構え、いとしい者たちをみな虐殺した。主は娘シオンの天幕に、火のように憤りを注がれた。

 ד「dalet」
アクロスティックワード: darach 「曲げる」・・弓を曲げる
※民の偶像礼拝による回帰不能点越えにより、神は敵のようになってユダを滅ぼす。
※敵はバビロンに見えるが、実際は神である。
※ユダの中でもエルサレムには、厳しい火の裁きがなされた。

5節:主は、敵のようになって、イスラエルを吞み込まれた。そのすべての宮殿を吞み込み、その要塞を破壊し、娘ユダにうめきと嘆きを増し加えられた。

 ה「hey」

アクロスティックワード:hayu, haya 「なる」「起こる」
※主は敵のようになり、宮殿も要塞も破壊された。
※ユダのうめき、嘆きは、神の裁きの激しさゆえに増加した。

6節:主は、園にするように、ご自分の幕屋を荒らし、例祭の場所を滅ぼされた。主はシオンでの例祭と安息日を忘れさせ、激しい憤りをもって、王と祭司を退けられた。

 ו「vav」
アクロスティックワード:vayachmos、hamas 「激しく奪う」 
※神殿を激しく奪い、園(神殿の敷地)を破壊した。
※例祭、安息日のすべてを忘れさせた。→できないように、敷地まで破壊された。
※王、祭司の存在の不要性を提示された。彼らへの軽蔑を示された。

7節:主は、その祭壇を拒み、聖所を退け、その宮殿の城壁を敵の手に引き渡された。例祭の日のように、彼らは主の宮で声をあげた。

 ז「zayin」
アクロスティックワード:zanach 「捨て去る」・・聖所を捨て去った
※視点を、神殿から祭壇、聖所へと向けさせている。
※宮殿の城壁が破壊され、祭壇、聖所、そして民と、全てが敵の手に渡った。
※まるで祭りでもあったかのように、敵は勝鬨を上げた。

8節:主は、娘シオンの城壁を打ち壊そうと決め、測り縄でこれを測り、滅ぼすことから手を引かれなかった。塁と城壁は悲しみ嘆き、ともに崩れ落ちた。

 ח「chet」

アクロスティックワード:chashav 「目的を持つ」・・打ち壊そうと決め
※「測り縄」・・建設前の測量。破壊についても、神は綿密な計画を持たれている。
※エルサレムの破壊という目的が確実に実行された。容赦はない。
※悲惨なほどに、城壁、塁などは脆く崩れて行く。

9節:彼女の城門は地に沈み込み、主はそのかんぬきを打ち壊して砕かれた。その王も首長たちも異邦の民の中にあり、もはや律法はなく、預言者たちも、主からの幻を見出さなかった。

 ט「tet」
アクロスティックワード:tavu、 tava 「沈む、沈没する」 
※門が破壊され、まるで地に沈んだようになった。
※上層部は囲いを失い、律法のない所に移された。
※真の預言者も、神の幻を見る事が出来なくなった。

10節:娘シオンの長老たちは、地に座して黙し、頭にちりをかぶり、身に粗布をまとった。エルサレムのおとめたちは、頭を地に付くほど垂れた。

 י「yod」
アクロスティックワード:yeishvu、yasab 「座る」 
※長老・・政治的指導者、部族の長→申19:12(指導的立場)
※何の助言もせず、征服者に従い黙っている状態。喪に服している状態でもある。
※エルサレムのおとめたちも、地に頭が付くほど悲しみに打ちひしがれている。

11節:私の目は涙でかすみ、はらわたはかき回され、肝は地に注ぎ出された。私の民の娘の破滅のために。幼子や乳飲み子が都の広場で衰え果てている。

 כ「kaph」
アクロスティックワード:kalu、kala 「失敗する」・・涙にくれる、失敗に涙する
※話者は、感情的に疲弊。原因はエルサレムの人々の死。(内部器官と感情の関係)
※飢饉の被害は幼子、乳飲み子に及び、皆死んでゆく光景。

12節:彼らは母親に言い続ける。穀物とぶどう酒はどこにあるのかと。町の広場で負傷した者のように衰え果てたときに、母親の懐で息絶えそうなときに。

 ל「lamed」
アクロスティックワード:L’imotam 「彼らの母たちへ」・・母→ame 
※母は子らに食物を求められても、それはどこにもない。
※飢饉は、兵士が傷ついて死ぬように、子らを母の懐で息絶えさせる。
※ある学者は、エルサレムを母とし、民衆を守れない状態を示すと解釈。

13節:娘エルサレムよ。あなたのことをどう証言し、何になぞらえよう。おとめ、娘シオンよ。あなたを何に比べて、あなたを慰めよう。実に、あなたの傷は海のように大きい。だれがあなたを癒やすことができよう。

 מ「mem」
アクロスティックワード:mah 「何」 
※エルサレムはこの仕打ちを、何にたとえ、何と較べて証言しようか。→エレミヤのエルサレムの民を慰めたいという欲求が示されている。
※その破壊は、海よりも広範囲で、治療の方法はないほど。

14節:あなたの預言者たちは、あなたについて、むなしい、ごまかしの幻を見た。あなたの咎を暴いて、あなたを元どおりにしようとはせず、あなたについて、むなしい宣告と、惑わすことばの幻を見た。

 נ「nun」

アクロスティックワード:nabi 「話者、預言者」
※偽預言者の幻は嘘。→嘘の希望は実現せず、災いとなり絶望となった。
※偽預言者は民の不義を暴くことができず、不正にとどまらせた。→捕囚へ。偽預言者に従えば、捕囚という結末となった。(エレ6:13~14、8:10など)

15節:道行く人はみな、あなたに向かって手を打ち鳴らし、娘エルサレムを嘲って頭を振り、「これが、美の極み、全地の喜びと言われた都か」と言う。

 ס「samek」
アクロスティックワード:safku、sapaq 「拍手」
※道行く異邦人たちは、エルサレムを通りすぎると、その滅んだ姿に拍手をする。軽蔑。
※更に嘲笑する。(sharak は、口笛を吹くという意味もある)
※これが、かつて美を極め、全知の喜びと言われたあの都か、と彼らは軽蔑して言う。

16節:あなたの敵はみな、あなたに向かって大きく口を開け、口笛を吹き、歯をむき出しにして言う。「われわれがこれを吞み込んだ。ああ、これこそ待ち望んでいた日。これに巡り会い、じかに見た」と。

 פ「pey」

アクロスティックワード:patzu、pasa 「広く開いた、口を開く」 
※ここで、16番目と17番目のアルファベットが逆転している。理由は不明。
※敵は大きく口を開け、口笛を吹いて、嘲笑し誇った。しかし、ユダを滅ぼしたのは神。バビロンはその道具に他ならない。

17節:主は計画したことを行い、昔から命じていた自らのことばを成し遂げられた。滅ぼして、容赦せず、あなたのことで敵を喜ばせ、逆らう者の角を高く上げられた。

 ע「ayin」
アクロスティックワード:(ヘ) asah 「行う、される」  
※神は古代に計画しておられたことを行われた。実行に容赦はない。
※それは、民が回帰不能点を越えたため。神は敵を喜ばせ、その権威を高められた。

→バビロンは神の道具である。そのことを弁えねば道具は破滅となる。

18節:彼らは主に向かって心の底から叫んだ。娘シオンの城壁よ、昼も夜も、川のように涙を流せ。自分に休みを与えるな。あなたの瞳を休ませてはならない。

 צ「tzadi」
アクロスティックワード:tza’ak 「泣く、泣き叫ぶ」
※民は泣き叫んだ。そして城壁に向かって、「涙を流し続けよ!」叫んだ。→壁は民を守れなかったから。
※休みなく泣き続けよと、この都市の城壁に、そして自分たちに語っているようだ。

19節:夜、見張りの始まりに、立って大声で叫べ。あなたの心を主の前に、水のように注ぎ出せ。あなたの幼子たちのいのちのために、主に向かって両手を上げよ。彼らは街頭のいたるところで、飢えのために衰えきっている。

 ק「koph」
アクロスティックワード:kumi、qum 「立ち上がる」
※エルサレムは、夜の巡回の交代のときのように立ち上がり叫べ!→夜の巡回を始める際の叫び。
※死んでゆく幼子の為にも、神に両手を挙げて悔い改めよ!エルサレムへの勧告。

20節:「主よ、よくご覧ください。だれにこのような仕打ちをなさったのかを。女たちが、自分の胎の実を、養い育てた幼子を食べてよいでしょうか。祭司や預言者が、主の聖所で虐殺されてよいでしょうか。

 ר「resh」
アクロスティックワード:raah, reih, ra’a 「見る」
※祝福されるはずの民が、神の激しい仕打ちを受けた、この姿を見てください。
※母親がその子を食し、忠実な祭司、預言者が神殿で虐殺されるという事態。
→本来なら、起きてはならないことが起こったという厳しい仕打ち。

21節:幼い者も年寄りも道端で地に横たわり、若い女たちも若い男たちも剣に倒れました。あなたは御怒りの日に虐殺し、屠り、容赦されませんでした。

 ש「shin」
アクロスティックワード:shachvu、sakab 「横たわる」
※幼子、老人、若者が横たわり・・・特に若者の死は次世代の存続が断たれる。
※この仕打ちは神からのもの。神の厳しい審判を示している。

22節:あなたは、例祭の日のように、私の恐怖を、四方から呼び集めました。そのため主の御怒りの日には、生き残る者も逃れる者もいませんでした。私が養い育てた者たちを、私の敵は滅ぼし尽くしました。」

 ת「tav」
アクロスティックワード:ti-kra, 「呼び出す」
※祭司の宣言によって祭りが始まるように、神は都市の破壊を命じた。
※その結果、エルサレムを恐怖が取り囲んだ。
※エルサレムで育った者たちは、神の怒りの前に全て、敵に滅ぼされた。

 

『容赦ない裁きの回避』
・神はシナイ契約をイスラエルの民と結んだが、民が契約に違反してしまう。神は預言者を幾人も送り、気付きを促したが、とうとうバビロン捕囚という容赦ない裁きが下された。
・この捕囚は、将来への警告ではなかろうか。申命記にも預言されたこの捕囚は、後の人々に、最後に神は容赦ない裁きを全人類に向けて下される日が来ることを示している。
・いつの時代も人は自分たちの偽善的平和作りを推し進め、偽りの平和を訴える。このようにして徹底的に神を無視する。こうしたことが神の怒りの対象になっていることを覚えよう。
・神は全人類に向けて、聖書に平和の道を示された。この神と和解する者こそが、容赦ない最後の神の怒りを回避できる。神との和解が得られて歩めることを、イエス様に感謝します。
「神は、私たちが御怒りを受けるようにではなく、主イエス・キリストによる救いを得るように定めてくださったからです。主が私たちのために死んでくださったのは、私たちが、目を覚ましていても眠っていても、主とともに生きるようになるためです。」

テサロニケ第1 5章9~10節 

 

2026年09月24日