哀歌の事前情報

はじめに、「哀歌」とは・・
「神の裁きであるエルサレムの滅亡を見たエレミヤ自身の悲しみと、民の悲しみの代弁であり、神のあわれみを解き明かす預言的意味を持つ詩である。」


その内容は、次の二つ。
①BC6世紀におけるエルサレムの第一神殿破壊とユダの追放について
②国家的危機に対するイスラエルの民の反応について

 

A. タイトル
①ギリシア語聖書のタイトル「哀歌」
・5章で構成されていて、各章が独立した哀歌となっており、英語のタイトルは複数形になっている。
・タイトルは書の内容に基づくものとなっている。
・「預言者エレミヤの嘆き」の副題もついていた。
②ヘブル語聖書のタイトル「ああ」
・哀歌の冒頭の「ああ」がタイトルとなっている。→(ヘ)Eicha 。しかし、正式なタイトルではない。
B. 著者 預言者エレミヤ。
C. 執筆時期 BC586年8月15日~10月の間の可能性大。

・神殿崩壊の直後ということ。
・ユダの破壊がエレミヤの心に残った状態。
D. 教典におけるポジション
※ヘブル語聖書で「哀歌」は、1.律法、2.預言者、3.諸書、の諸書に分類されていた。
※ギリシア語聖書で「哀歌」は、エレミヤ書の直後に置かれた。それは、伝統的に哀歌がエレミヤの著作と考えられていたからであり、論理的な順序と言える。
※Ⅱ歴35:25に「エレミヤはヨシヤのために哀歌を作った」とあるが、これはヨシヤ王の死を扱ったものと考えられ、ここでは、エレミヤが哀歌作成の詩的能力を持っていたと見るべきであろう。 
※「哀歌」はティシャベ・アヴ(ゼカ7:3~5)で朗読されている。
ー「ティシャベ・アヴ」についてー
「アブの月の9日」第1神殿が崩壊した日を記念して、一斉に断食し、伝統行事とした。後に第2神殿が崩壊したときも同じ日の出来事であり、更なる民族的な悲劇の日として位置づけられ、現在も断食は行われている。アヴの月は太陽暦で7月~8月である。

E. 哀歌の神学的3つの教え
①国家的危機に対するイスラエルの民の反応
②不従順がもたらす神の裁きと、神の律法順守の重要性
③神とイスラエルの民との契約関係・・・モーセの律法に従わなければ裁きは厳しい
※「罪」という視点
・偶像礼拝という罪(マナセ王の罪)の裁き。肉体的審判の必要性。
※イスラエル学の視点
・モーセ契約の履行・・守れば祝福、破れば裁き!がなされた。
「哀歌」は神の正義と真理を明らかにし、将来の回復の希望と、神が民を回復させるという約束が含まれていることを示している。

F. 哀歌のテーマ
五つの哀歌という葬送の嘆きをもって、エルサレムと神殿の破壊の悲嘆を示した。
G. 哀歌の文体
・五つの自己完結した詩で構成されている。
※1~4章までは、アクロスティック・ポエム形式(頭字詩形式)の形態をとる。
各節の頭字が、ヘブル語のアルファベット順になっている。詩篇119篇参考。
ヘブル語のアルファベットは22文字。1,2,4章は22節。3章は3節ごと(22×3)。
・1~4章では、A~Zの如く、ユダの滅亡は完全に完結したことと解釈している。
・5章はアクロスティック形式ではないが、22節である。この章の19、20節にアクロスティック形式を用いているという説。
※19節に1番目と11番目、20節に12番目と22番目のヘブル語アルファベットがある。

H1. 哀歌のアウトライン

 

H2. 哀歌の構成 各章を二つに大別
Ⅰ.エルサレムの破壊
a.エレミヤの哀歌 1:1~11、

b.エルサレムの哀歌 1:12~22
Ⅱ.エルサレムに対する神の怒り
a.神の憤り 2:1~10、

b.悲劇とエルサレムの嘆願 2:11~22
Ⅲ.エレミヤの嘆きと祈り
a.エレミヤの悲しみと神の憐み 3:1~33、

b.祈りと告白と慰め 3:34~66
Ⅳ.エルサレム包囲の描写
a.包囲状況 4:1~10、

b.裁きの原因、希望の崩壊、エドムの裁き 4:11~22
Ⅴ.エレミヤの祈り
a. 預言者の悲しみ 5:1~18、

b.回復の祈り 5:19~22

 

『信仰で幸せの綱を掴め!』
・地上の人間は、その肉体の死を経ても、その存在が消えることはなく、身体も得て再び生きることになる。問題は、その身体でどこに行くかということである。
・その領域は二つ。それは永遠のいのちの世界と、永遠の苦しみの世界ということ。永遠のいのちの世界とは神のみもとで生きる幸いであり、永遠の苦しみとはその逆、聖も幸いもない世界。
・エレミヤは地上に最悪の光景を見た。崩壊、死、苦しみ、飢え、病・・。しかし、永遠の苦しみの場所に到着したとき、人はどれほど後悔するのだろう。二度と立ち返れないその場所で。
・結局誰も死なない。地上において、どの領域を選択するかだけが未来の希望の綱なのだ。地上の迫害や苦しみや不公平、そして不満は一切刷新される。信仰によってその綱を掴もう!
「このことに驚いてはなりません。墓の中にいる者がみな、この声を聞く時が来るのです。そのとき、善を行った者はよみがえっていのちを受けるために、悪を行った者はよみがえってさばきを受けるために出てきます。」ヨハネ 5章28~29節 

2026年09月08日