エレミヤ書49章23節~33節

1.ダマスコ(ダマスカス)の事前情報
・ダマスコは、ハマテ、アルパデと共に「アラム地域」の3大都市である。聖書地図4、H/10
※現在のシリア・トルコの東南部であり、国で言えば「レバノン」と「イラク」の一部。
・ダマスコ・・現在はシリアの首都。
※東は砂漠で、それ以外は山に囲まれている。「ダマスカス地方」とも呼ばれる。シリアの南部に位置する。
<エルサレムからダマスコまでの距離>
◎エルサレムからダマスコまでの直線距離がおよそ200~220㎞。
●ちなみに福山から大阪までが190~200㎞
◎ついでに、エルサレムからボツラ(ペトラ)までの直線距離は、190~200㎞

2.聖書のダマスコ(ダマスカス)
・創14:15・・ロトの救出で登場する。(・・ソドムとゴモラのくだりは19章)
・ダビデ王時代・・アラム王国のダマスコを征服→Ⅱサム8:5~6。
・ソロモン王時代・・ダマスコはアラム王国の中心となる。イスラエル南北分列後は、
 勢力を更に拡大した。
 ※Ⅰ列15:18~20・・ダマスコ(アラム)はユダや北イスラエルと同盟関係にあった。
・ダマスコは、アッシリア帝国、バビロン帝国それぞれに征服される。重要な位置にあった。
・新約では、パウロがダマスコに向かう途中でメシアに遭う。使9:1~22。
●ダマスコ、ハマテ、アルパデの3大都市を持つアラム地域・・現在のシリヤ、トルコの南部、レバノンとイラクの一部を覆う領土を指す。聖書地図1
●アラム人は、高台の高原に住んだ。→「アラム」の語源は「高さ」、「高地」の意味あり。

3.ハマテとアルパデについて

◎ハマテ・・シリアの中央部に位置する。聖書地図5、B/3、4参照
・都市であり、州の名でもある。ハマテ地方。
※民13:21・・「レボ・ハマテ」で登場。アモス6:2・・「偉大なるハマテ」など。
・ダマスコの北約170㎞のオロンテス川沿い。
・現在は、シリア西部の「ハマ」となっている。
◎アルパデ・・ハマテの更に、北に位置する。聖書地図7。
・ハマテと関連して聖書に登場。(Ⅱ列18:34、19:13、イザ10:9)
・ハマテと同じ運命をたどる。
・現在は、シリア北西部の「テル・リファート」。

 

アラム王国はイスラエル王国と、ヨルダン北部の領土争いを長く続けてきた。

23節:ダマスコについて。「ハマテとアルパデは恥を見た。まことに、彼らは悪い知らせを聞き、海のようにかき乱され、静まることもできない。
24節:ダマスコは弱り、恐怖にとらわれ、身を翻して逃げた。産婦の陣痛のような苦しみにとらえられて。

・「ハマテ」、「アルパデ」のアラム王国の両都市は、悪い知らせを聞いた。
・「悪い知らせ」・・ダマスコへのバビロンの侵略の知らせ。ダマスコはアラムの首都。
・両都市は、海の波のごとく動揺している。※イザヤ17:1~3、アモス1:3~5参照。
※侵略に弱りはて、苦痛に満ちて、逃避したアラム王国。


25節:どうして、誉れの町、わたしの喜びの都が捨てられたのか。

・「わたしの喜びの都」・・の「わたし」は神ではない。ダマスコを愛する者の嘆き。並行表現。
※「誉の町であり、『私の喜びだ!』と言える都が、・・・」という訳。
※かつての栄光が失われて行くダマスコ→アラム王国の失墜。

26節:それゆえ、その日、その若い男たちは町の広場に倒れ、その戦士たちもみな、黙らされる。──万軍の主のことば──

・アラムの軍隊は広場に倒れ込む。「黙らせる」・・は死を意味する言葉。
※都市、王国が死んで眠ったようになっている光景

27節:わたしは、ダマスコの城壁に火をつける。その火はベン・ハダドの宮殿を食い尽くす。」

・「ベン・ハダド」・・BC9~8世紀のダマスコの王・・Ⅰ列15:18~20、Ⅱ列6:24。
※「ベン・ハダド 」とは、「ハダドの息子」という意味。
※「ハダド」 はアッシリアの嵐の神。象徴動物は牛。
ダマスコは甚大な被害を受け、その偶像は神殿もろとも破壊され消えることになる

 

1.ケダル(サウジアラビア)の事前情報
・アラビヤの山地に様々なアラブ族があり、その代表として2つが示されている。
・ケダルの祖・・創25:13・・イシュマエルの息子の一人。
※イシュマエルの息子たちはアラブ人→砂漠の遊牧民→他部族に敵対。創25:18
・ケダル人は商人(エゼ27:21)・・キャラバン隊で交易。
・ケダル人は弓術に秀でる(イザヤ21:17)。

※ケダル人は、裕福であり、強い部族であった。
・バビロンとの関係・・ネブカドネツァル王はBC599年にケダル人を討つ(エレ49:28の成就)。しかし、ケダル人は、その1世紀後、エジプト国境まで領土を回復する。


2.ハツォル(サウジアラビア)の事前情報
・アラビヤ半島の北から北西部に定住していたと考えられる。
※ガリラヤ北部のハツォルとは異なる。聖書地図4、F/9。
※都市と思われるが、詳細は不明で、場所は現在未特定。
ケダルとハツォル両者ともに、BC599年に、バビロンによる侵略を受けている。

 

この預言は、両者がBC599年に、バビロンに侵略されたのを見て示された。
28節:バビロンの王ネブカドネツァルが討ったケダルとハツォルの王国について。主はこう言われる。「さあ、ケダルへ攻め上り、東の人々を荒らせ。

・ケダルとハツォルの諸王国に対する預言。先ずはケダルから。
※アラブ諸国は強靭で、ネブカドネツァル王だけが、BC599年にこれらの部族を侵略。
「東の人々」・・アラビヤ部族を指す表現。(ヘ)benei kedom。
※創29:1、Ⅰ列4:30、イザヤ11:14など。

29節:その天幕と羊の群れは奪われ、その幕屋も、すべての器も、らくだも、運び去られる。人々は彼らに向かって叫ぶ。『恐怖が取り囲んでいる』と。

・バビロンはケダルのテント、羊の群れ、ラクダ、器類などすべて奪い取る。
※ケダルのテントは美しさで有名。ラクダはキャラバン隊を想像させる。
・「恐怖が取り囲んでいる」・・バビロンがケダルに近づくときに上がる恐怖の叫び声。

30節:ハツォルの住民よ、逃げよ。遠くへ逃れよ。深く潜め──主のことば──。バビロンの王ネブカドネツァルが、おまえたちに対してはかりごとをめぐらし、おまえたちに対して計略をめぐらしているからだ。

・神がハツォルに、逃げるように促している。逃げられるなら急げという感覚。無理なことではあるが。
・「ネブカドネツァル王が計略を巡らしている・・」・・これはハツォルの殲滅計画。

31節:さあ、安んじて住む穏やかな国に攻め上れ。──主のことば──そこには扉もなく、かんぬきもなく、その民は孤立して住んでいる。

・神はバビロンに攻め上れと命じている。
・「そこには扉も、門もなく孤立して住んでいる」・・砂丘や荒野に安穏に生活している。
※砂漠、荒野が防御柵。故に門や城を構えず、安心材料としていた。
※しかし、神の裁きを免れることはできない。

32節:彼らのらくだは獲物になり、その家畜の群れは分捕り物になる。わたしは、もみ上げを刈り上げている者たちを四方に吹き散らし、あらゆる方向から彼らに災難をもたらす。──主のことば──

・「もみ上げを刈り上げている者たち」・・アラブ部族の象徴→ユダヤ人には禁止事項。
・「四方からの風」とは、命を失う様々な災難が彼らを襲うということ。
・ハツォルの資産、財産は全てバビロンに戦利品として奪われる。

33節:ハツォルはとこしえまでも荒れ果てて、ジャッカルの住みかとなる。そこに人は住まず、そこに人の子は宿らない。」

・ハツォルはこの侵略で荒廃し、人は住まない地となる。
※現時点でサウジアラビアは豊かな産油国である。
※この預言は、終末において実現し、千年王国で 継続する。エドム、バビロンのように。

『絶対的主権の本質』
・神は、イスラエルの周辺諸国であるダマスコやケダル、ハツォルの最終的な扱いを決めておられる。これは、創造主の主権により、被造物の存在の有無が決まるということであるが、・・
・つい、自分の判断で神を見定めてしまうことがある。しかし、特に旧約聖書を見れば、神の忍耐は計り知れないことが分かる。ここに、私たちが何を学ぶかのヒントがある。
・ 聖書は、自分たちが救われるにはどうするのかを見つける書であるが、救われた者にとっては、私たちが信頼する神はどのようなお方であるかを心に描き出す手がかりの書でもある。
・ 学びによって、神を絶対的主権者であると言った時、その背後に愛を見る者となりましょう。裁かれる者、軽視する者はいずれ神の恐ろしさを知りますが、私たちは真の喜びと平安に至るのです。
「また、あなたがたの心の目がはっきり見えるようになって、神の召しにより与えられる望みがどのようなものか、聖徒たちが受け継ぐものがどれほど栄光に富んだものか、また、神の大能の力の働きによって私たち信じる者に働く神のすぐれた力が、どれほど偉大なものであるかを、知ることができますように。」エペソ 1章18~19節 

 

2026年07月02日