エレミヤ書47章1節~48章10節
47章は、イスラエルの南西部沿岸地域にあるペリシテに対する預言です。
1.ペリシテ(人)について
・申2:23やアモス9:7によれば、彼らはクレタ島から渡って来たとされる。聖書地図5,F2
※ある時期、エーゲ海→地中海→カナンの海岸へ移住、と考えられる。聖書地図1
※「海の民」と言われる由縁。海洋民として交易品が入手できる。
・カナンでの活動
※BC2000年頃→アブラハム、イサクと接触(創21:32、34、26:1、8、18)
※出エジ13:17で存在が示されている。(紅海を渡った後)
※BC13世紀・・ペリシテ人は内陸に移動。ガザ、アシュケロン、アシュドデ、ガテ、エクロンという五大都市国家を創設。
2.ペリシテ(人)とイスラエルとの関わり
・イスラエルにとって、ある時は敵、ある時は味方という関係
※かかわりのあった人物⇒シャムガル(士師3:31)、サムソン(士師13~14章)、サムエル(1サム7:2~17)、サウル(1サム13:1~14:23)、ダビデ(2サム5:17~25)。
※ダビデはペリシテ人を打ち、ソロモン時代にはイスラエルに仕える国となった。
※しかし、南北朝時代には勢力を回復し、イスラエルに抗う。→ヨラム王(2歴21:16~17)、アハズ王(2歴28:16~19)
1節:ファラオがガザを討つ前に、ペリシテ人について預言者エレミヤにあった主のことば。
2節:主はこう言われる。「見よ。北から水が上って来てあふれる流れとなり、地とそこに満ちているもの、町とその住民を押し流す。人々はわめき、地の住民はみな泣き叫ぶ。
・「ファラオがペリシテを打つ前に」ということから、BC609年かBC605年。
※BC609年・・イスラエルを攻める前にガザを攻めた可能性。←可能性大
※BC605年・・カルケミシュから帰還の際にガザを討った可能性。
・BC604年以前であることは間違いないが、可能性はBC609年以前と考えられる。
・エジプトがペリシテを討つ前の時期に、バビロンの厳しいペリシテ侵略が預言された。
・バビロンの侵略が「洪水」の例で示されている。聖書で「洪水」は軍事侵略を指す。
・「北から」・・バビロン。洪水の氾濫の如き猛攻→都市、人々を襲い、絶叫の嵐。
3節:荒馬のひづめの音のため、戦車の響き、車輪のとどろきに、父親たちは気力を失い、子どもたちを顧みない。
・戦闘の様子が「音」で表現されている。
・バビロンの急襲に、ペリシテの民は動揺し、父親は子を見捨てて、慈悲を乞う。
4節:すべてのペリシテ人を破滅させる日、ツロとシドンを助ける生き残りの者すべてを断ち切る日が来たからだ。まことに主は、ペリシテ人を、カフトルの島の残りの者を破滅させる。
・ペリシテ人への神の裁きが示される。(異邦人への戒めとも言えよう)
・バビロンの侵略を生き延びるペリシテ人はほとんど存在しない。
・ペリシテ人は、ツロやシドンを助ける立場にあったが、助けるどころではない状態。
・カフトルの島・・クレタ島。
<豆知識ーペリシテに関する預言>
イザヤ14:28~32、エゼキエル25:15~17、アモス1:6~8、ゼパニヤ2:4~7
5節:ガザは頭を剃られ、アシュケロンは黙らされる。平地の残りの者よ、いつまで、おまえは身を傷つけるのか。」
6節:「ああ、主の剣よ。いつまで休まないのか。さやに収まり、静かに休め。」
・嘆きの手段が3つ示される。
①ガザの人々の剃髪・・喪のしるしとして
②アシュケロンは廃墟となる
③生き残ったペリシテ人の自傷・・喪のしるしとして
・質問・・この侵略はいつになったら静まるのですか?・・・耐えられない心境から。
7節:どうして、休めるだろうか。主が剣に命じられたのだ。アシュケロンとその海岸、そこに剣を向けられたのだ。
・剣は神の裁き。神が裁きを止めない限り、この侵略は終わらない。
・徹底した裁きが下される。アシュケロン、および南部の沿岸平野がその対象。
※この預言は、BC604年~603年に成就している。
※バビロン年代記に、「ネブカドネツァルはカルケミシュ戦後、BC604年に西方諸国制圧、アシュケロン陥落 、ペリシテ沿岸地域制圧」という記録がある。
48章
48章では、モアブへの預言が語られます。先ずは、その破壊について示されます。
モアブについて
・モアブの起源・・創19:30~38
※アブラムの兄弟ハランの息子がロト。ロトはソドムの地に住んだ。
※ソドムから脱出したロトとその娘たちは、ツォアル近くの山の洞窟で生活。ロトが酔った時に、 彼の二人の娘がロトと関係を持ち、二人は妊娠した。
●長女の息子がモアブ(創19:37)・・モアブ人の父
●次女の息子がベン・アミ(創19:38)・・アンモン人の父
・土地・・聖書地図5,6参照
1節:モアブについて。イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。「わざわいだ、ネボ。これは荒らされた。キルヤタイムも辱められ、攻め取られた。その砦は辱められ、打ちのめされた。
2節:もはやモアブの誉れはない。ヘシュボンは、これに悪事を企んでいる。『行って、あの国民を絶ち滅ぼし、無き者にしよう』と。マデメンよ、おまえも黙らされる。剣がおまえの後を追っている。
3節:ホロナイムから叫び声がする。『暴行だ。大いなる破滅だ』と。
・モアブに対する神からの預言。
・神に裁かれるモアブの都市群。聖書地図4。
・「ネボ」・・正確な位置は不明・・モーセが死んだネボ山の近くと考えられる。
・「キルヤタイム」・・正確な位置は不明・・かつてルベン族の都市。(民32:37ほか)
・「砦」・・(ヘ)要塞の意味。要塞のような街、キルヤタイム。
・「ヘシュボン」・・(ヘ)企てるの意。モアブに陰謀をはかる。かつてはシホンの国の首都。民数記21章参照
・「マデメン」は驚き、「ホロナイム」は、荒廃と破壊に叫び声をあげる。正確な位置は不明
4節:モアブは打ち破られる。その幼き者たちは叫び声をあげる。
・国が打たれ、幼き者たちの叫び声が町に響く。守る力は全くない状態。
幼き者⇒(ヘ)ツォアル・・モアブの出身地と被る。
5節:まことに、ルヒテの坂は嘆きの中にあり、彼らは泣きながら上る。ホロナイムの下り坂では、痛々しい破滅の叫びが聞こえる。
・「ルヒテの坂」・・地名であるが、正確な位置は不明。
※モアブ人は高い場所を求めて、上る途中で激しい破壊に嘆く。
※頂上からホロナイムを経由して下る時も、破滅の叫び声を聞くことになる。
6節:逃げて、自分自身を救え。荒野の中の灌木のようになれ。
・エレミヤはモアブに逃げるように呼び掛ける。
・「灌木」・・(ヘ)aroer 低木の意味のほかに、裸、貧困の意味もある。
7節:おまえは自分が作ったものと財宝に拠り頼んだので、おまえも捕らえられ、ケモシュはその祭司や首長たちとともに、捕囚となって出て行く。
・モアブ人は、自らの業績、富に信頼し、ケモシュ神を崇めていた。
※この高慢と愚かさが神の裁きの原因。捕えられ、国を追いやられる。
・このケモシュ神も祭司とともに捕囚されて行くことになる。
8節:荒らす者がすべての町に入って来る。町は一つも逃れられない。谷は滅び失せ、平地は根絶やしにされる。──主がそう言われる──
・モアブの都市は全て破壊され、谷や高原さえも破壊されると神は預言する。
・平地にいのちを支える力はない。生産性のない状態を示す。
9節:モアブに翼を与えて、飛び去らせよ。その町々は住む者もなくて荒れ果てる。
・翼を使って飛び去る・・一瞬にして全員がこの地を離れる様を想起させる表現。
※一人のモアブ人も残らない状態まで裁きは続くということであろう。
10節:主のみわざをおろそかにする者は、のろわれよ。その剣をとどめて血を流さないようにする者は、のろわれよ。
・破壊する側の者たちに対する戒め。
※神の働きに怠慢で応答するなら、その者が裁かれると警告。
※神の裁き側の民族は記されていない。
『人生の大転換』
・エレミヤ書の終わり近くに、異邦人に関する裁きについて記されているが、これは神が異邦人にもしっかりと目をむけておられるという証ではないでしょうか。
・ユダヤ人をはじめ異邦人に対して、神はイエス様を通して救いの道を示されました。自己中を捨て、聖なる者を目指せ!と、三位一体の神が励まし、導いてくださっています。
・イエス様は、人類に復活の奇蹟を示すために来られたとも言えます。これは人類史上特筆すべき最大かつ唯一無二の大イベントであり、二度とない機会とも言えます。
・人類の歴史はイエス様の御業で大転換しました。私たちも信仰によりその時から人生が大転換しました。そう、私たちは聖なる者となる道を歩む、神の子に変えられたのです。
「しかし、貴方がたは選ばれた種族、王である祭司、聖なる国民、神のものとされた民です。それは、あなたがたを闇の中から、ご自分の驚くべき光の中に召してくださった方の栄誉を、あなたがたが告げ知らせるためです。」ペテロ 第Ⅰ 2章9節