エレミヤ書43章8節~44章14節
エレミヤの預言を拒否してエジプト定住を決めたヨハナンの一行。43:8~44:30では、ネブカドネツァル王のエジプト征服預言と、エレミヤの人生最後の預言が示されます。
8節:タフパンヘスで、エレミヤに次のような主のことばがあった。
9節:「あなたは手に大きな石を取り、それらを、ユダヤ人たちの目の前で、タフパンヘスにあるファラオの宮殿の入り口にある敷石の漆喰の中に隠して、
・エジプトに入ってから、エレミヤに神のことばがあった。→象徴的行動の指示。
・ユダの民たちの目の前で実施せよ!
・大きな石をファラオの宮殿の入り口のレンガに隠せ!
※タフパンヘスにはファラオの宮殿はない。王が滞在するような政府の建築物であろう。
10節:彼らに言え。『イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。見よ。わたしは人を遣わし、わたしのしもべ、バビロンの王ネブカドネツァルを連れて来て、彼の王座を、わたしが隠したこれらの石の上に据える。彼はその石の上に本営を張る。
・ファラオの宮殿の入り口に隠した石は、ネブカドネツァル王の王座となる預言の意。
・神がネブカドネツァル王をエジプトに送る、ということを示す。
・「隠す」・・時間が経過して後に・・の意味か。
※「わたしのしもべ」・・あくまでも神が用いるということ。信者ではない。
※ネブカドネツァル王が、この石の上、つまりファラオの上に立つという預言の意。
11節:彼は来てエジプトの地を討ち、死に定められた者を死に渡し、捕囚に定められた者を捕囚にし、剣に定められた者を剣に渡す。
12節:わたしがエジプトの神々の神殿に火をつけるので、彼はそれらを焼き、神々を奪い去る。彼は、羊飼いが自分の衣をまとうようにエジプトの地をまとい、ここから安らかに去って行く。
・ネブカドネツァル王が来てエジプトを征服。→死と捕囚が待っているということ。
・バビロンを避けて来た民は、エジプトで再び、バビロン王の恐怖を見ることになる。
・神が火をつけて偶像を焼き払う。神はバビロンを主導し、エジプトは大打撃を受ける。
※ネブカドネツァル王はその権威を誇示し、移住民たちはエジプトの頼りを失う。
13節:また、エジプトの地にある太陽の神殿の石柱を砕き、エジプトの神々の神殿を火で焼く。』」
・「太陽神殿の石柱」の所在地・・(へ)オン 聖書地図3(C・1)。創41:45
※オン→ヘリオポリス・・太陽神ラーの神殿があった偶像礼拝の中心地。オベリスクが立っていた。
※ 「神々」・・エジプトは多神教の国。神々が融合すると考える。←重要ポイント!
※神は偽物の神を焼き払われる。
<記録>
◎ヨセフス(歴史家)・・『ユダヤ古代史』によれば、バビロン王はエジプトを侵略し、そこに住むユダヤ人をバビロンに捕囚したと記録されている。
◎大英博物館所蔵の粘土板・・バビロンのエジプト侵攻はBC568~567年と分かる記録がある。この時からおよそ19~20年後のことである。
44章
1節:エジプトの地に住むすべてのユダヤ人、すなわちミグドル、タフパンヘス、メンフィス、およびパテロス地方に住む者たちに対する、エレミヤにあったことばは、次のとおりである。
・エレミヤに、エジプトに住む全ユダヤ人への神の預言が示される。
※ヨハナンをはじめ、これまでにエジプトに移住したすべてのユダヤ人が対象。
①ミグドル・・ナイル川のデルタ地帯の東の紅海の近く。地図3(B・2)。民33:7など
②タフパンヘス・・エジプトの前線基地。
③メンフィス・・カイロの南、約21km。地図3(C・1)。土地の北部(下エジプト地域)
④パテロス地方・・「南の地方」の意味。上エジプト地域。エゼ29:14
※地図にあるように、エジプトの各地にユダヤ人は移住している。
2節:「イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。『あなたがたは、わたしがエルサレムとユダのすべての町に下した、あのすべてのわざわいを見た。見よ。その町々は今日、廃墟となって、そこに住む者もいない。
3節:彼らが悪を行って、わたしの怒りを引き起こしたためだ。彼らは、自分自身も、あなたがたも、父祖たちも知らなかったほかの神々のところに行き、犠牲を供えて仕えた。
4節:それで、わたしはあなたがたに、わたしのしもべであるすべての預言者たちを早くからたびたび遣わして、わたしの憎むこの忌み嫌うべきことを行わないように言ってきたが、
5節:彼らは聞かず、耳を傾けず、ほかの神々に犠牲を供えることをやめて悪から立ち返ることはなかった。
6節:そのため、わたしの憤りと怒りが、ユダの町々とエルサレムの通りに注がれて燃え上がり、それらは今日のように廃墟となって荒れ果てている。』
・ミツパからの難民たちは、神がエルサレムに下した裁きを体験している。
・エルサレム陥落の理由・・神の民でありながら偶像礼拝に走ったために神に裁かれた。
・神は預言者を与えて熱心に警告したので、彼らに言い訳の余地はない。
・神の警告に、民は不従順で、頑なで、益々偶像礼拝に走る。
・神は、その不従順が招いた結果を、彼らに思い起こさせた。
※神の怒りによる裁きは、すべてを荒廃させる結果となることを・・。
ヨハナンの一行だけではなく、エジプトに移り住んでいるユダヤ人に対しても、神は語っていることに注目!
7節:今、イスラエルの神、万軍の神、主はこう言われる。『なぜ、あなたがたは自分自身に大きなわざわいを招き、ユダの中から男も女も、幼子も乳飲み子も断って、残りの者を生かしておかないようにするのか。
・人々の頑なさが彼ら自身を傷つけるということを示される神。
※ユダ、エルサレムは過去の偶像礼拝の罪で裁かれた。なぜ、同じ罪を犯すのか?
・「ユダの中から・・断って・・」・・神と離れ偶像礼拝に行くのか・・の意味。
※残りの民として正しくあってほしいのに、結果は滅びとなる。
8節:なぜ、あなたがたは、寄留しようとしてやって来たエジプトの地でも、ほかの神々に犠牲を供えて、自分の手のわざによってわたしの怒りを引き起こすのか。こうして、あなたがたは自分たち自身を絶ち滅ぼして、地のすべての国々の中で、ののしりとそしりの的になろうとしている。
・彼らの偶像礼拝が、神の怒りを引き起こしていると強く警告している。
・神の裁きに遭い、身の破滅となり、更に諸国からの嘲笑の的となる。
※エルサレムの恥に加え、移住した者たちに恥が上塗りされる。
9節:あなたがたは、ユダの地とエルサレムの通りで行った、自分たちの先祖の悪、ユダの王たちの悪、王妃たちの悪、自分たちの悪、自分たちの妻たちの悪を忘れたのか。
・お前たちは、ユダの地、エルサレムの地で行われていた過去の罪を忘れたのか?
・5つの罪を示される神。最注目は、「自分たちの妻の罪」である。
※女性の登場。「妻」ということから、家族を伴う、これまでにない罪の指摘である。
10節:彼らは今日まで心砕かれず、恐れず、わたしがあなたがたとあなたがたの先祖の前に与えたわたしの律法と掟に歩まなかった。』
・エルサレムが破壊されたにも拘らず、いまだに気付きがない状態。
・その結果、平気で律法を破って、エジプトに住まうユダヤの移住者たち。
※神にも、律法にも立ち返ることがない不従順なユダヤの民。
11節:それゆえ、イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。『見よ。わたしはあなたがたに顔を向け、わざわいを下し、ユダのすべての民を絶ち滅ぼす。
12節:わたしは、エジプトの地へ行ってそこに寄留しようと決意したユダの残りの者を取り分ける。彼らはみな、エジプトの地で、剣と飢饉に倒れて滅びる。身分の低い者も高い者もみな、剣と飢饉で死に、のろいと恐怖のもと、ののしりとそしりの的となる。
・神はユダヤ人難民を全て滅ぼすと宣言された。
・「取り分ける」・・取り去る、連れて行くの意。
※神の裁きは、ユダの残りの者を対象に、剣と飢饉により、裁かれる。
・更に、のろいと恐怖、ののしりとそしりの的となる。
13節:わたしは、エルサレムを罰したのと同じように、エジプトの地に住んでいる者たちを、剣と飢饉と疫病で罰する。
14節:エジプトの地に寄留した後、ユダの地へ帰ろうとしているユダの残りの者には、逃れる者も生き残る者もいない。彼らはそこに帰って住みたいと心から望んでいるが、わずかな逃れる者以外は帰らない。』」
・エジプトのユダヤ人の裁きは、ユダ、エルサレムと同じく、剣、飢饉、疫病。
・ほとんどが死ぬが、わずかに殺されずに「残れる者」がある。
※「残れる者」(レムナント)が必ず用意されているのは、神の憐みである。
※こうした中にも、神の目にかなう信仰者がわずかに存在する。
※裁かれたユダの民を見て反省せず、同じことを繰り返す移住のユダヤ人が裁かれる。
『霊的環境づくり』
・神は、イスラエルの民が、エジプトという多神教の社会に入れば、いとも簡単に偶像の影響下に入ることをご存じで、神は彼らを引き留められた。
・しかし、ヨハナンたちは環境を変えて自分たちを守ろうという考えのままエジプトに入った。それで、神は裁きを預言された。史実を見ると、裁きにはおよそ20年の猶予があり、そして裁きは下される。
・環境を変えて自分を守ろうとしても、その心が変わらなければ無意味。逆に、自分の心に悪い影響を与える環境にいることも良いことではない。ユダでもエジプトでも、結局神に裁かれる民。
・今私たちは、聖書を手に、聖霊の内住を得て、この社会に生きている。皆さんは、そんな中にあって、信仰心を守り、成長するために、どんな習慣作り、霊的環境作りをしていますか?
「ですから、だれでも、これらのことから離れて自分自身をきよめるなら、その人は尊いことに用いられる器となります。すなわち、聖なるものとされ、主人にとって役に立つもの、あらゆる良い働きに備えられたものとなるのです。」テモテ第2 2章21節