エレミヤ書39章1節~18節
包囲戦が解かれたのも束の間、バビロンはエジプトから引き返し、一気にエルサレムを攻め落とします。まさに、剣と飢饉と疫病が襲う、イスラエルの裁きが成就します。
1節:ユダの王ゼデキヤの第九年、第十の月に、バビロンの王ネブカドネツァルは、その全軍勢を率いてエルサレムに攻めて来て、これを包囲した。
・ゼデキヤ王の治世の9年目の第10の月→BC588年 テベテ(12~1月)
※この年に、バビロンによる包囲戦が開始。Ⅱ列25:1、エゼ24:1~2
2節:ゼデキヤの第十一年、第四の月の九日に、都は破られ、
・ゼデキヤ王の治世の11年目の第4の月→BC586年 タンムズ(6~7月)の9日。
→城壁が破壊。その1ヶ月後、第1神殿が破壊され、人々はバビロン捕囚となる。
※神殿破壊は、アブ(7~8月)の7~10日まで。Ⅱ列25:8~9、エレ52:12~13
※タルムード・・神殿焼失は9日~10日まで。ティシャベ・アブ→断食の日の記念日。
豆知識・・「ティシャベ・アブ」ついて
ティシャベ・アブ(Tisha B’Av)・・アブの月の9日の意。
国家的悲劇を追悼する日であり、厳しい断食をする日。
このアブの月の9日に起きた悲劇の数々:
①BC586年 都市と第1神殿の焼失
②AD70年 都市と第2神殿の陥落
③AD135年 バル・コクバ反乱の敗北
④その他・・十字軍による迫害、スペイン追放、第一次世界大戦開始など
※全て「民族の悲しみの日」として記憶されてきた。→断食の日
※この日に読まれるのが「哀歌」である。エレミヤ書や捕囚に関する箇所も。
※ユダヤの伝承によれば、「カデシュ・バルネア事件」も、同日とされている。
3節:バビロンの王のすべての首長たちが入って来て、中央の門のところに座を占めた。すなわち、ネルガル・サル・エツェル、サムガル・ネブ、ラブ・サリスのサル・セキム、ラブ・マグのネルガル・サル・エツェル、およびバビロンの王の首長の残り全員である。
・バビロンの王の首長たちがエルサレムに入城。完全陥落、完全制圧を意味する。
※ネルガル・サル・エツェル・・ネリグリサルという名の、ネブカドネツァル王の婿→王子。
※「ラブ・サリス」、「ラブ・マグ」・・バビロンの軍事称号。宦官の長、司令官。
4節:ユダの王ゼデキヤとすべての戦士は、彼らを見ると逃げ、夜の間に、王の園の道伝いにある、二重の城壁の間の門を通って都を出て、アラバへの道に出た。
・敵の侵入を見たゼデキヤ王の逃走経路。・・夜に逃走開始(Ⅱ列25:2~5)
●王の庭を通り、シロアムの池の近くを通り、二つの特定の壁が交差するところにある噴水の門を通り抜けた。
●ふたつの壁の一つはヒンノムの谷、もう一つはケデロンの谷に面しており、彼らはヨルダン渓谷のアラバに向かった。ワディ→エリコ→ヨルダン川(アラバへの道)へ
●かつてヨシュアがカナンに入った経路と逆の道筋である。
5節:カルデアの軍勢は彼らの後を追い、エリコの草原でゼデキヤに追いつき、彼を捕らえ、ハマテの地のリブラにいるバビロンの王ネブカドネツァルのもとに連れ上った。バビロンの王は彼に宣告を下した。
・エリコの草原で捕まるゼデキヤ王たち。
・彼らはネブカドネツァル王がいるリブラに連行され、王に判決を下される。
6節:バビロンの王はリブラで、ゼデキヤの息子たちを彼の目の前で虐殺し、ユダのおもだった人たちもみな虐殺した。
7節:さらに、バビロンの王はゼデキヤの目をつぶし、バビロンに連れて行くため、彼に青銅の足かせをはめた。
・ゼデキヤの息子たちを彼の目の前で虐殺し、ゼデキヤ王の家来たちも皆、虐殺。
・その後ゼデキヤ王の目をえぐり出した。
・ゼデキヤ王は足枷をかけられバビロンへ捕囚され、生涯を過ごす。
※ゼデキヤ王への預言は全て成就する。
8節:カルデア人は、王宮も民の家も火で焼き、エルサレムの城壁を打ち壊した。
・バビロンのエルサレムに対する仕打ち。
・都市は城壁が壊され、王宮、神殿、民の住居は焼き尽くされ、完全に破壊された。
9節:親衛隊の長ネブザルアダンは、都に残されていた残りの民と、王に降伏した投降者たちと、そのほかの残されていた民を、バビロンへ捕らえ移した。
・親衛隊長ネブザルアダンの指揮。
・残された民をバビロン捕囚へ。→3回目の捕囚となる。
10節:しかし、親衛隊の長ネブザルアダンは、何も持たない貧しい民の一部をユダの地に残し、同時に彼らにぶどう畑と畑地を与えた。
・彼は貧しい人々を土地に残し、捕囚された者たちの所有物を彼らに与えた。
・ブドウ畑や畑地などが与えられ、このことにより、貧しい者たちは生活できた。
11節:バビロンの王ネブカドネツァルは、エレミヤについて、親衛隊の長ネブザルアダンを通して次のように命じた。
12節:「彼を連れ出し、目をかけてやれ。何も悪いことをするな。ただ彼があなたに語るとおりに、彼を扱え。」
・ネブカドネツァル王の、エレミヤに関するネブザルアダンへの指示→エレミヤを厚遇せよ!
・その理由は?
①バビロン王はエレミヤについて、捕囚された民から聞いていた。(捕囚されよ!)
②バビロン王は、ダニエルと3人の仲間からの情報があった。
→彼らはエレミヤの預言を捕囚前に聞いていた。且つ、バビロン政府の高官である。
※特に預言者と言われるエレミヤについて、ネブカドネツァル王の夢解きをしたダニエルの証言は、相当に王の心に刻まれることだったと考える。
※どちらか一方というより、両方の要因がこの命令をさせたものと思われる。
13節:こうして、親衛隊の長ネブザルアダンと、ラブ・サリスのネブシャズバンと、ラブ・マグのネルガル・サル・エツェルと、バビロンの王のすべての高官たちは、
・ネブカドネツァル王の命令に、すべての高官たちが動いている。
※王の指示が、どれほどエレミヤの保護を強く求めていたかが分かる。
14節:人を遣わして、エレミヤを監視の庭から連れ出し、シャファンの子アヒカムの子ゲダルヤに渡して、家に連れて行かせた。こうして彼は民の間に住んだ。
・アヒカムの子ゲダルヤ・・後の知事となる人物。エレミヤのサポーターの一人。
・ゲダルヤは、エレミヤの身の回りの世話をする責任を負う。
・エレミヤは地元の住民の中で生活することになる。
※弊害→バビロンの兵士は王の命令を知らず、エレミヤを捕える危険がある。
15節:エレミヤが監視の庭に閉じ込められているとき、エレミヤに次のような主のことばがあった。
・エレミヤが「監視の庭」に移された後で、エベデ・メレクに関する預言があった。
※この出来事は38章と39章の中間で起こったことと考えられる。
※「ちなみに神は、神殿破壊の前にこんなことを預言されていた・・」という感じか。
16節:「行って、クシュ人エベデ・メレクに言え。『イスラエルの神、万軍の主はこう言われる。見よ、わたしはこの都にわたしのことばを実現させる。幸いのためではなく、わざわいのためだ。それらはその日、あなたの前で起こる。
・神はわざわいのためにエルサレムを破壊する。神の裁きの実現。
・エチオピア人エベデ・メレクはその目撃者となる。彼はエレミヤが語った預言の成就を見る。
※その状況は、命が助かるとは思えない悲惨な状態。
※陥落前は飢饉がひどくなり、そこに敵が攻めてくるのだからひとたまりもない!
17節:しかしその日、わたしはあなたを救い出す──主のことば──。あなたは、あなたが恐れている者たちの手に渡されることはない。
・異邦人の宦官が、エルサレムの破壊を生き延び、捕囚されないという約束。
※「あなたが恐れている者たち」とは、①バビロン軍の兵士②ユダヤ人政府の首長たち(エレミヤ殺害を妨害された者たち)と推測されるが、何かは不明。
18節:わたしは必ずあなたを助け出す。あなたは剣に倒れず、あなたのいのちは戦勝品としてあなたのものになる。あなたがわたしに信頼したからだ──主のことば。』」
・神はエベデ・メレクのいのちを保証した。→彼が神を心から信頼していたから。
※アブラハム・イサク・ヤコブの神を信じ、エレミヤを救うことで信仰を証明した。
・神は彼の信仰を喜び、彼のいのちを戦勝品として与えることを約束された。
※アブラハム契約の守り→イスラエルを祝福する者は、祝福される!
『真のいのちに生きる!』
・ゼデキヤ王は、盲目で捕囚された。周囲にはこれまでの取り巻きはいない。心鎮めて神に向き合い、神の愛に触れたであろう。自らの不従順を反省し、神に信頼する者となったと思いたい。
・エレミヤは、命の危機に瀕しながらも最終的には敵の王の配慮で命が守られた。神はエレミヤを守る約束をした。神に忠実であったエレミヤは、地上がどのような状況でも必ず守られる。
・エベデ・メレクは異邦人でありながら、エレミヤを助け、肩身の狭い思いをしていた。しかし神は彼の信仰を喜び、彼を救われた。たとえエルサレムが滅びても、神は異邦人にさえ配慮されるお方。
・この地上において、勝者には見えない状況であっても、神は必ずクリスチャンを勝利に導かれる。私たちの信仰は地上の困難に妨害されるようなものではないから!
「神から生まれた者はみな、世に勝つからです。私たちの信仰、これこそ、世に打ち勝った勝利です。世に勝つ者とはだれでしょう。イエスを神の御子と信じる者ではありませんか。」ヨハネ第1 5章4~5節