エレミヤ書38章1節~13節
書記ヨナタンの地下牢から、幸いにも脱出できたエレミヤは、食事も与えられる環境に移されましたが、更なるいのちの危機が、容赦なくエレミヤに襲い掛かってきます。
1節:さて、マタンの子シェファテヤと、パシュフルの子ゲダルヤと、シェレムヤの子ユカルと、マルキヤの子パシュフルは、エレミヤが民全体に次のように語ることばを聞いた。
・4人の首長たち
①マタンの子シェファテヤ・・特に情報なし
②パシュフルの子ゲダルヤ・・20:1か21:1のどちらかのパシュフルの子
③シェレムヤの子ユカル・・37:3で登場→警備隊長イルイヤの兄弟の可能性
④マルキヤの子パシュフル・・21:1で登場
※これらの首長(政府関係者)たちは、王が気遣うほどの権威、権力を掌握。
・この首長たちは、彼らにとって耳障りなエレミヤの預言を聞いていた。
2節:「主はこう言われる。『この都にとどまる者は、剣と飢饉と疫病で死ぬが、カルデア人のところに出て行く者は生きる。そのいのちは戦勝品として彼のものになり、彼は生きる。』
・エレミヤの2者択一の預言。
①都市にとどまり、剣、疫病、飢饉の3大わざわいで死ぬ。
②バビロンに降伏して生き延びる。参考21:9。
3節:主はこう言われる。『この都は、必ず、バビロンの王の軍勢の手に渡される。彼はこれを攻め取る。』」
・もう一つのエレミヤの預言。
・エルサレムは陥落して焼き払われるということ。
※エレミヤはこの預言を何十年も前から続けてきた。
※神がそのようになさる決定事項の伝達役。
4節:そこで、首長たちは王に言った。「どうか、あの男を死刑にしてください。彼はこのように、こんなことばを皆に語り、この都に残っている戦士や民全体の士気をくじいているからです。実にあの男は、この民のために、平安ではなくわざわいを求めているのです。」
・首長たちはエレミヤを王に告発します。
・彼らはエレミヤの死刑を求めた。正式裁判のない、政治的処刑→37章に同じ。
・理由①預言者がエルサレム市民の士気を低下させた。②平安ではなく、わざわいを求める反逆罪である!
5節:するとゼデキヤ王は言った。「見よ、彼はあなたがたの手の中にある。王は、あなたがたに逆らっては何もできない。」
・ゼデキヤ王の応答
・「ゼデキヤ王があなたがたに逆らうことはない」・・F博士は、臆病者と評価。
※王は彼らに権限を委譲し、面倒を避けている。中川先生は優柔不断と評価。
※エレミヤの反逆罪は確定する。
6節:そこで彼らはエレミヤを捕らえ、監視の庭にある王子マルキヤの穴に投げ込んだ。彼らはエレミヤを綱で降ろしたが、穴の中には水がなく、あるのは泥だったので、エレミヤは泥の中に沈んだ。
・エレミヤの刑の執行・・処刑のない抹殺による死刑。
・エレミヤを監視の庭の別の場所にある「王子マルキヤの穴」に 移した。
※書記ヨナタンの地下牢→監視の庭→王子マルキヤの穴へ。
※王子マルキヤが所有する(ヘ)bor 「貯水槽」に投獄された。
・「水がなく」・・包囲戦の影響で水が無く、底が泥状態。
※放置すれば、エレミヤが疲労でへたり込んで頭を泥に埋め死ぬことは必至。
7節:王宮にいたクシュ人の宦官エベデ・メレクは、エレミヤが穴に入れられたことを聞いた。また、そのとき王はベニヤミンの門のところに座っていたので、
・救出者 宦官エベデ・メレク
※クシュ人→エチオピア人の宦官。宦官はイスラエルの集会に不参加(申23:1)
※(ヘ)eved・・「しもべ」の意味。(ヘ)melech・・「王」の意味。
※固有名詞であるが、王宮に仕える奴隷という立場。
・注目すべきは、異邦人であるこの人物がエレミヤを心配しているということ。
・この時、王はベニヤミン門に座っていた。→エレミヤが最初に逮捕された場所。
8節:エベデ・メレクは王宮から出て行き、王に告げた。
9節:「わが主君、王よ。あの人たちが預言者エレミヤにしたことは、みな悪いことばかりです。彼らはあの人を穴に投げ込みました。もう都にパンはありませんので、あの人はそこで飢え死にするでしょう。」
・エベデ・メレクは、王にエレミヤの不当な扱いを告発する。
※地下牢は貯水槽で、食事もなく、体力は衰えて行き、やがて死ぬことになる。
※これは首長たちの意図したこと。
10節:すると王は、クシュ人エベデ・メレクに命じた。「あなたはここから三十人を連れて行き、預言者エレミヤを、まだ死なないうちに、その穴から引き上げなさい。」
・ゼデキヤ王は肯定的な命令を発する。(今度は神を恐れたのか?優柔不断?)
・エベデ・メレクに30人を従わせて、エレミヤの救出を命じた。
※これほどの人数を付けたのは、首長たちの余計な干渉を避けるためと思われる。
※ゼデキヤ王の慌てる様子が伺える。(悪事の片棒は担ぎたくないと思ったか?)
11節:エベデ・メレクは人々を率いて、王宮の宝物倉の下に行き、そこから着古した衣服やぼろ切れを取り、それらを綱で穴の中のエレミヤのところに降ろした。
・実際の救出
※宝物倉の衣裳部屋の衣服をいくつか取り、それらをロープで地下牢に降ろした。
12節:クシュ人エベデ・メレクはエレミヤに、「さあ、古着やぼろ切れをあなたの脇の下の綱に当てなさい」と言ったので、エレミヤがそのとおりにすると、
・エベデ・メレクはエレミヤに指示する。
・「ぼろ切れを脇の下に当てて、その上にロープを巻きなさい」と。
※エレミヤの衰弱は進み、ロープが体に食い込むほどであった。
※首長たちの手荒で残虐な扱いに対して、エベデ・メレクは 配慮が行き届いている。
13節:彼らはエレミヤを綱で穴から引き上げた。こうして、エレミヤは監視の庭にとどまった。
・エレミヤは救出され、前の監視の庭の拘束部屋に移された。
※食事も与えられ、二度目の命の危機は、異邦人によって 乗り越えられた。
『用いられる器』
・エレミヤを2度目の命の危機から救出した異邦人エベデ・メレク。周囲のほとんどが悪の首長たちの意見に同調する中で、正しさを見失わず、王に進言するその姿勢は、称賛に値します。
・更に彼は、エレミヤの救出にあたってもエレミヤの体を労わっていることが分かります。ロープを巻き付ける際に、ぼろ切れをあてがう様に指示し、無事引き上げに成功しました。
・我々の求める正しさとは、神が期待し、神が喜ぶことを忠実に実践するということではないでしょうか。エベデの心の底には、不正を憎む心とともに、人を労わる愛がしっかりと根付いています。
・私たちは霊的な成長を目指して歩んでいます。それは、益々神に喜ばれる人格の形成です。そうしていつの間にか私たちは、エベデのように、神に用いられる器となって行くのです。ハレルヤ!
「ですから、誰でもこれらのことから離れて自分自身をきよめるなら、その人は尊いことに用いられる器となります。すなわち、聖なるものとされ、主人にとって役に立つもの、あらゆる良い働きに備えられたものとなるのです。」テモテ 第二 2章21節